【かがつう】稲の生育に影響の少ないLED防犯灯の販売開始

『かがつう(株)』は、山口大学農学部環境情報学研究室(山本晴彦教授)が、農作物の生育への悪影響である「光害」をおよぼさない発光ダイオード(LED)照明技術の研究開発成果を用い、同大学発ベンチャー企業の株式会社アグリライト研究所(園山芳充代表取締役)と共同で、実用化に向けた商品開発を 2011 年7月より行ってまいりましたが、来春、街路用の LED 防犯灯(街路灯)として発売致します。
自然環境で生育している農作物は、夜間に蛍光灯や水銀灯、LED など街路灯の夜間照明により光を受け続けることで昼が延長したと錯覚し、昼夜の長さによる季節の移り変わりが感じられなくなり正常な生育が妨げられることがある。このような夜間照明による農作物への悪影響を「光害」といい、環境省によるガイドラインが策定され、その対策が求められていました。
稲などの短日性植物は、夏至を過ぎて日長が一定時間より短くなると、穂を出す準備を始める性質があるため、水田の一部に屋外照明の光が当たると、その部分だけ穂が出る時期が他の正常な稲よりも遅れるといった現象が起こり、稲の成熟が遅れ青米(未熟粒)の混入によりお米の等級が下がるなど、農業生産者の収入に影響があると言った問題が発生していました。
このため農地に隣接した道路には防犯灯を設置しないケースや、農繁期には街路照明を消すなどの対応策をしている地域が多くあり、昨今の農地の宅地化や郊外農地への新道建設が進む中で、農地隣接道路と生活道路や通学路が重なるケースが増加し、照明が無いことによる防犯上の危険性が問題となっていました。
今回開発の LED 照明(防犯灯)器具は、青色と黄緑色の LED 素子を組み合せて特別な波長に調整し、人間にとっては白色に近い色に見えるが、人の目で見えない速度で特殊な点滅をさせることで植物には感じにくい光とし、生育に悪影響が生じる事がなくなり、稲の穂の生育が正常なものより遅れたり、等級に影響が出ることを防止します。
この器具の効果については、山口大学の研究施設で人工気象器により管理された環境でイネを栽培し、遺伝子レベルでの植物への影響評価を科学的に実施するとともに、大学内および大学近郊の実際の水田で効果を確認、さらには量産化に向けて千葉県や滋賀県の一部にも試験的にこの光害阻止 LED 防犯灯器具を取り付けて検証し、問題ない事を確認しています。
新たに光害阻止機能を搭載したこの器具を、日本全国に販売を目標に、本格的な量産立上げを進め、来年 3 月初めの販売予定です。
今回、光害阻止器具の品揃えは、1機種で防犯灯の電力区分は40VA タイプで、蛍光灯20W相当の明るさの照明器具となっています。
尚、販売価格はオープンです。販売に関するお問合せ先は各営業所、または HP の問い合わせ先にお願い致します。


水田が多い地域にはあまり街灯がないことに気づくことはありませんでしょうか?
これは、夜間に街灯を灯すことで、夏以降の稲の発育が遅くなり、収穫時期が遅れたり、発育途中で収穫してしまうためにお米の等級が下がるというものです。
こうした夜間照明による影響の対策を定めたガイドライン(光害対策ガイドライン)が平成10年に発表されています。
この中では、夜間照明による動植物への影響や、天体観測などの人間の活動への影響の度合いなどを策定しています。(http://www.env.go.jp/air/life/hikari_g/full.pdf
この製品はこの中の動植物への影響として、稲の発育への影響が少ない街灯として開発されています。
稲は夏至以降の日照時間の短さを感じ取り、秋が来たと思って米になる種を作り始めます。
しかし、近隣に農道があり、街灯がともっているような場所では、街灯が放つ光の種類によっては太陽光と勘違いしてしまい、米を作る時期が遅れてしまい、収穫時に未成熟米となってしまう等農業への影響が問題となっていました。
しかし農道に街灯を全く設置しない場合、防犯上の問題もでてくるため、稲の発育に影響が出にくい照明の開発が求められたものです。

この製品の例は稲への影響でしたが、この光害対策ガイドラインの中には、様々な条件での夜間照明に対する規定が書かれております。
中でも街灯については、動植物への影響もさることながら、街灯設置による近隣の居住エリアへの夜間光の流入(障害光)の記載です。
店舗の照明や駐車場の照明として街灯を設置する場合には、設置する環境に応じて、明るすぎる照明は避けなければならないというものです。
しかし、施設や駐車場に照明が全くないと防犯上の観点からも好ましくないため、設計、施工時の照度計算といった建設工事での配慮が必要です。
こうしたガイドラインを押さえておけば、建設時には、周辺にマンションなどがなかったが、後日マンションができたために、障害光による苦情に対応するために照明設備を改修するといった需要にも十分に対応することができるでしょう。

公式プレスリリースはこちら: http://www.kaga-bouhantou.jp/news/detail.php?id=53