電設・ウォッチ! 第2回 人手不足をどうやって解消するか?

2・女性が働きやすい環境を整備する
最近ニュースで「働き方改革」という言葉をよく耳にします。
その中で「女性の活躍推進」が大きな目標として掲げられています。では、具体的にどのようなことを言っているのでしょうか。

女性は家庭内において、家事・育児・介護の担い手になっている場合が多く、それを社会全体で引き受ければ、女性が労働参加しやすくなる、というのです。

長時間の労働が評価されるのではなく、限られた時間の中での実績が正しく評価され、早退や休暇取得をしやすい職場づくりを実現していけば、フルタイムの労働が難しい女性も働きやすくなるはずです。

次に電気工事の現場に目を向けてみましょう。この業界はいまでも男性中心のイメージが定着しています。

しかし近年、少しずつではありますが、この電気工事業界で活躍する女性が増えているのも事実です。求人サイトなどでも「女性歓迎」「女性が活躍できます」などといったコピーをよく見かけます。

ではなぜ「女性歓迎」なのか、そのあたりを探ってみましょう。

まず近年は、どんな仕事においても男女の垣根がなくなりつつあること。例えば、看護師・保育士・ドライバー・営業職など。電気工事士も例外ではありません。

一般住宅向けの電気工事(エアコン設置、配線工事など)で、高齢者世帯・単身女性の部屋に入って工事を行う場合があります。そんなとき、屈強な(?)男性を部屋に入れるより、女性の方が安心というお客様からの要望があります。電気工事をする会社側にしても「女性スタッフが対応します」というのはセールスポイントになります。

オーム社発刊の「電気と工事」の表紙でも電工女子が紹介されている

また一般的に女性の方が器用で細かい作業が得意だったり、男性だけの職場よりも「現場の雰囲気が和む」というメリットもあります。

一方、女性が不利なことは「体力面」でしょうか。重い資材を運んだり配線・配管を切ったり曲げたりすること。現場で男性に手伝ってもらうこともできますが、業務上避けて通れないことなので本人の自覚が必要となります。

電気工事業界の今後のことを考えると、「電工女子」が増えることは業界のイメージアップにもつながり、さまざまな面での好循環が期待できます。

3・外国人労働者の雇用促進
ビルの建設現場の前を通りかかると、外国人と日本人が一緒になって働いている光景を目にすることがあります。どんな業界にもいえることですが、人手不足解消のひとつに「外国人労働者の受け入れ」があります。

外国人を大量に受け入れる…これは正式にいうと「外国人技能実習制度」を利用するということです。「外国人が自分の国のために、日本で技術を習得して帰国してもらう」という制度です。

さてここで問題です。

型わく工(土木)・型わく工(建築)・左官・鳶・鉄筋工(土木)・鉄筋工(建築)・配管工・電気工事のうち、技能実習の職種として国から指定されていないのはどれでしょう?

答えは「電気工事」です。

2018年現在、電工は外国人技能実習生を受け入れる職種になっていません。理由は定かではありませんが、業界としても手をこまねいているわけではありません。

一般社団法人日本電設工業協会(JECA)は外国人技能実習制度の対象職種に「電工」を追加するために、厚生労働省や経済産業省などと本格的に協議を開始しました。海外の電気工事の品質を高める国際貢献という側面とともに、国内の人手不足解消が狙いで、受け入れる企業の準備や研修体制の整備などを進め、2020年をめどに実現したいとしています。

外国人に従事してもらうのは、電気設備機器の取り付けや配線の敷設、ソーラーパネル・架台の設置など、電気工事士の国家資格が必要ない作業が中心となる見込みです。

外国人技能実習制度の導入が人手不足解消の切り札になるか、今後の展開が待たれるところです。