電気の豆知識 第1回 そもそも電気ってなんだろう?

~そうだったんだ! 電気の歴史~

本日はこのコーナーへお立ち寄りくださいまして、ありがとうございます。このコーナーでは電気と電設業界、そこで働く人々にまつわる、さまざまな出来事やエピソードをご紹介していきたいと思います。

記念すべき第1回は、いまさら人に聞けない「電気っていったい何?」。
この業界にいる人は「そんなの読まなくても解ってるよ」とおっしゃるかもしれません。そこで今回は、このHPへお立ち寄りいただいた一般の方々に向けてお話してみたいと思います。しばらくお付き合いいただければ幸いです。

現在、私たちの暮らしは「電気」がなければ生活できないというほど、電気と深く結びついています。
TVや冷蔵庫などの家電製品、通勤通学に使う電車、オフィスではパソコン、空調、エレベーター、タイムカードにいたるまで、ありとあらゆるものが電気によって生命を吹き込まれています。
近年では電気自動車の躍進も目覚ましく、近い将来ガソリン車に取って代わるのではないか、ともいわれています。

毎日の暮らしに必要不可欠な「電気」ですが、いったいいつ頃、誰によって発見(発明?)されたのでしょうか?
そしてどんな過程を経て、私たちの生活に溶け込んでいったのでしょうか?
ところで、そもそも電気っていったい何なの?
今回はそんな疑問に、順を追ってお答えしていきたいと思います。

人類がはじめて「電気」を発見したのは古代ギリシャ時代

「電気」が人類の歴史にはじめて登場したのは、古代ギリシャ時代だといわれています。
紀元前600年頃、ギリシャの哲学者・ターレスは琥珀(植物の樹脂が化石になったもの)を布でこすると、糸くずなどの軽いものがくっつくことを発見して記録に残しました。


ターレス

みなさんも、小学生の頃に下じきで頭をこすって離すと髪の毛が逆立った、という経験があると思います。
これは、こすったときに発生する「静電気」の作用によるもので、人類が発見した最初の電気だといわれています。その当時、琥珀は「エレクトロン」と呼ばれていました。これが英語で「電気」という意味の「electricity」の語源になったのです。


琥珀

教科書にも出てくる科学者・フランクリン


フランクリン

それから時代は進み18世紀になりました。イギリスで産業革命が起こっていた時代のことです。
1752年、アメリカの科学者・フランクリンは、雷の中で凧をあげて雷が電気でできていることを証明しました。今から考えるととても危険な実験ですね。絶対にまねしないでください。
これは、凧の先端に針金を取り付けて雷雨の空にあげ、電気がよく通る麻ヒモでつないで地上のライデン瓶(中に電気を貯めることのできる容器・コンデンサの一種)に電気を貯めようというもの。

実験はみごとに成功。凧の先端に落雷し、電気は麻ひもを通ってライデン瓶の中に流れ込みました。これに金属棒を入れると火花が出て、電気の存在が確認されました。

銅・亜鉛・食塩水で「電池」を作ったボルタ


ボルタ

それから約半世紀後、イタリアの自然哲学者(物理学者)・ボルタによって世界で最初の「電池」が作られました。
電気の研究をしていた彼は、1800年に銅と亜鉛の2種類の金属と、電解水(食塩水)があれば、電気が発生することを発見します。銅と亜鉛の間に塩水を含ませた布をはさみ込み「ボルタ電池」を発明しました。

この功績を記念して、1881年には電圧の単位が「V(ボルト)」と命名されました。

針金に電気を流すと磁力線が生まれる


アンペール

1831年、フランスの物理学者・アンペールは、電池を使って針金に電気を通すことで、磁力線が発生することを確認しました。
また「電流が生み出す磁力線の向きは、電流の方向に向かって常に右まわりである」という右ネジの法則(アンペールの法則)を発表しました。

さらに電気を流したコイル(グルグル巻いた電線)には、磁力と同じ磁力線ができることも発見。
電流の単位「A(アンペア)」は彼の名前にちなんだものです。

磁石とコイルで「電気」を作り出すことに成功

1831年、イギリスの物理学者・ファラデーは、コイルのそばで磁石を動かすと電気が発生することを発見しました。


ファラデー

これは「電磁誘導の法則」といい、現在の発電機やモーターなどにも応用されています。また2つの磁石の間に金属の円盤を回転させ、連続して電気を発生させる方法も発明します。

人類はこれまで、人力、風力、水力、火力、原子力など、さまざまな動力を作ってきましたが、これらのエネルギーを電気に変換する原理は、このファラデーの発明がその基礎となっているのです。
ファラデーはその偉大な功績によって「電気の父」と呼ばれています。

エジソンの登場! ついに電気が生活の一部となった

ここまでご紹介してきたのは、電気に関する発見や実験、あるいは基礎的な応用です。しかし、ついに電気が人々の生活に活用される時代がやって来たのです。
1879年、エジソンは電灯を発明します。


エジソン

それは長時間使用できる「白熱電球」というものでした。
この発明は日本と深い関わりがあって、じつはフィラメント(電球の細い線・発光コイル)には、京都八幡村の竹が使用されているのです。
彼の作った白熱電球は、なんと2450時間もの長い間、灯り続けたといいます。この電球は製品となって販売され、各家庭に明かりを灯しました。

また発電所を建設し、送電システムを考案したのもエジソンです。
その他、蓄音機、映写機、アルカリ蓄電池など、電気に関わるさまざまな実用品を発明・製造・販売もしています。

19世紀は、電信・電話、配電網の整備、電灯・照明、発電機、変圧器、電動機などの技術が飛躍的に発展していきました。それらはやがて実用化され、生活の一部となっていったのです。

これが20世紀の人類の発展の基礎になったことは、いうまでもありません。
このように「電気」は多くの人たちの研究・発明・開発によって、実用化が図られてきました。
私たちは、ただその恩恵にあずかるのではなく、よりよい社会が未来に続くように、これからも電気を大切に使っていきたいものです。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。