【電線新聞】トップインタビュー 因幡電機産業 守谷承弘社長 

東西の合計目標は来場者3.7万人(5%増)
売上高より集客へ、ロボット事業も促進

因幡電機産業の守谷承弘社長は、自社展示会「ジャンボびっくり見本市」を目前にし「大阪と東京の合計で専門メーカー462社、1千276小間が出展して売上高177億円、来場者数3.68万人超(前年比5%増)を見込む。目標は売上高より来場者数に置き、様々な産業の施主やそれに近い方々に同見本市をPRし、取引先を増やす。さらに情報交換や商品の企画化等にも繋げたい」とした上で、商品企画の成功例として協業ロボット・システム事業を掲げて「同事業で19年度は売上高(前年度比)3割増が目標」と語った。また、自社製品事業にも傾注し、19年度の同売上高600億円(同5%増)を目指す、とした。一方、守谷社長は電線需要にふれ「電線によって品薄リスクも抱え、特にVCT—F(ビニルキャブタイヤコード)がショートしている」と述べた。

—最初に、今回のジャンボびっくり見本市について伺いたい。
「今年は『ここにある! 賢い未来の新情報』をキャッチフレーズに、4月12、13日に大阪会場(インテックス大阪6号館C・Dゾーン)、4月26・27日に東京会場(東京ビッグサイト青海展示棟ホールA)で開催する。同見本市は、電線を含めた電設資材、照明、工具、電子・制御、情報・通信・セキュリティ、空調・住宅設備などの展示会で、電設業界では国内最大規模。昭和50(1975)年に始まり、今年で第45回を迎える。とりわけ自分が入社した頃に始まった展示会のため、特別な思い入れがある。毎年規模が拡大する一方で、マンネリ化しないように、中身を濃くするよう努めている」

目標は東京1.5万人、大阪2.18万人以上

—その流れの中で、今回の見所は?
「今回は『超スマート社会Society(ソサエティ)5.0の実現に向けて』と題しテーマゾーンを開設する。ソサエティ5.0とは、IoTやAI、ロボット等の最先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、様々な問題の解決を試みることである。このキーとなる製品・技術を『スマートシティ』『スマートホーム』『スマートビルディング』の3ゾーンで紹介する。これと関連し、FAプロダクツ代(取)会長の天野眞也氏が『産業用ロボット導入の正しい進め方』というテーマでテクニカルセミナーを行う。人手不足の中、最新鋭スマートファクトリープロジェクト推進方法や実際にロボットを導入するまでの正しいやり方などについて語っていただく。
さらに『いちおし商品コンテスト』を実施する。これは、出展企業が推奨するいちおし商品を一堂に展示して、来場者が投票を行う人気コンテストである。加えて『子供抽選会』『ショッピングモール』『全国各地のB級グルメ』のコーナーなど、バラエティに富んだ盛り沢山の企画を用意している。
このほか、直接ビジネスに結びつきやすい話題の最新製品の情報提供なども盛り込んでいく」

—今年の同見本市の出展企業数や売上高などの目標は?
「全体的な数値目標は、大阪と東京の合計で専門メーカー462社、1千276小間が出展し、売上高177億円、来場者数3万6千800人超(前年比5%増)を見込んでいる。
会場別では、大阪会場が出展企業257社で705小間、売上高107億円。東京会場は出展企業205社で571小間、売上高70億円を見込む。このうち売上高は、出展企業にアンケートし、積み上げた数字である。
ターゲットは売上高よりも、来場者数を増やすことにある。従来からの顧客に加え、例えば銀行・証券などの電気設備担当者、納入業者やエンドユーザーなどにも同見本市をPRしていく。つまり多岐にわたる産業分野の施主及びそれに近い方々であり、当社の全取引先プラスαが対象となる。また、単なる受注獲得だけでなく、情報交換や商品の企画化などにも繋げたい。
来場者数重視に戦略転換したのは05年頃からで、来場者の増加は顧客開拓につながり、それと連動して業績が向上した。今年の目標は大阪が2万1千800人以上(前年比5%増)、東京は1万5千人以上(同8%増)に設定している。
また、地域の市場規模から見ると、東京・関東のほうが伸びしろが大きい。25年までには来場者数で東京が大阪を上回ることを目指したい」

伸びしろは東京会場、25年には大阪を超す

—ところで来場者数重視策など、理想とする同見本市の姿から、あえて点数をつけると?
「百点を満点とすると、19年のジャンボびっくり見本市は70点で、まだまだ伸びる余地がある。満点への道のりは遠いが、全社員が一丸となって創意工夫を重ね、できるだけ早く高得点を出したい」

—そうした流れで生まれた事業は?
「最近の事例ではロボット事業があり、19年度売上高は前年比3割増を目指す。人と働く協業ロボット・システムを展開し、種類は単軸ロボット、垂直多関節ロボット、双腕型ロボットなどに加え、無人搬送機、工場の一部工程を自動化する自動機、さらにその各種システムも手掛ける。未経験者でも簡単に使いこなせるローコストな製品を多種多様に取り揃えている。東京と大阪にショールームを開設し、トライアルユースサービスやセミナーなども実施している。
ロボット事業は、デンマーク・ユニバーサルロボット社の事例では、18FY上期だけで、取扱高が17FY通期の2倍強となった。18FY下期にやや鈍化したものの、同通期では、前年度比3・5倍を見込む。ロボット事業は単体に加え、その電気や通信周りのビジネスにも繋がり、その範囲が拡大している。 同様のことは他の事業でも言えるので、情報交換など顧客との関係を大切にしていきたい」

電線の需要は上向く、VCT—Fが品薄へ

—電線を含む市販分野など御社を取り巻く市場情勢は?
「首都圏再開発や東京五輪を控えた明るいムードのなか、電線需要は上向き傾向にある。当社の18年度取り扱い電線銅量は、前年度比約9%増加する見通し。19年度は、一層の伸びに期待している。ただ電線によっては、品切れ、品薄のリスクを抱えているケースもある。特にVCT—F(ビニルキャブタイヤコード)がショートしている。VCT—F用導体の細線・伸線メーカーの減少が背景にあるようだ。他の電設資材については18、19年度と前年度比数%増の見通し」

—ヤマト運輸や日本郵政などの配送費値上げの影響は?
「自助努力に限界があり、顧客に個別に負担をお願いしている。ただ、浸透まではやや時間が掛かる見通し」

—都市再開発や東京五輪など首都圏建設ラッシュへの御社の物流面での対応は?
「東京物流センター(東京都江東区)をカナメに、15年5月に新設した南関東物流センター(神奈川県座間市)と昨年11月に拡張移転した北関東物流センター(埼玉県久喜市)などで対応していく。これら物流センターの新設や拡張により、倉庫を含む物流能力は約2倍に増強された。そうした拠点を活用し、今後はより細やかな物流サービスを展開したい。また、首都圏では営業マンの大幅な増員を図る方針だ」

—ラグビーW杯、大阪万博・IR(カジノを含む統合型リゾート)への取り組みは?
「19年のラグビーW杯、20年の東京五輪、21の関西ワールドマスターズゲームズと、メガスポーツイベントの開催が3年続く。こうしたケースは世界で日本が初めて。ホテル建設などが増えると思うので、商機をものにしていきたい。一方、調査機関の試算によると、24年までの万博・IRの経済効果は、IR開業前が2千600億円/年、IR開業後が9千500億円/年となる見通し。さらに25年にはこれが2兆6千億円/年となり、26年以降は1兆1千億円〜1兆3千億円/年と見込まれている。当社は70年万博で急成長させてもらったが、今回も積極果敢な営業展開で一連の需要を捕捉し、成長の糧にしたい」

—御社の事業戦略は、どうか?
「大きな事業戦略の一つとして、組織戦略がある。具体的には、4月1日付けで組織変更を実施し、責任者の若返りも図った。組織再編については、市場変化に即した迅速な意思決定のもと、中長期的な成長を目指すために、3本部(営業戦略、生産・技術、管理)を設け、その下に4カンパニー(電材、電設、産機、電工)を置いた。カンパニー長には執行役員以上を据え、カンパニーへ権限を委譲し分社制度に近い組織内容にした。従来の事業部体制以上に、カンパニー同士の連携を強め、協調・協力しながら、より一層の相乗効果を発揮して、会社全体の生産性を向上させたい」

カンパニー制を導入し、自社製品展開に注力

—御社の注力製品は?
「自社製品事業を伸ばし、19年度は売上高600億円(前年度比5%増)を目指す。例えば、被覆銅管を含む空調部材、各種の表示灯『パトライト』、マルチメディア対応配線システム『Abaniact』などの自社ブランドがある。顧客の現場ニーズを開発に活かし、メーカー機能を備えた技術商社ならではの視点から、価値ある商品を提案する。注力製品はほかに、前述の協業ロボット等がある」

—子会社の展開は?
「前述の表示灯を取り扱う『パトライト社』のメキシコ営業拠点を、今年1月に設立した。現地進出の日系自動車メーカーや関連部品メーカーの設備向けに、生産設備の稼働状況を知らせる信号灯などを販売する。従来は、米・販売子会社から供給していたが、新会社が在庫を持ち納期を短縮し出荷する。22年3月期には同拠点で売上高5億円を目指す」

—中期事業戦略は?
「自社製品の開発・拡充、首都圏市場のシェア拡大などで業績を伸ばしていく。これによって通期売上高目標は、19年度2千850億円、20年度2千900億円、21年度2千950億円に置いている」

—19年度の最重要課題は?
「先に掲げた組織戦略をしっかりと推進し、業績に繋げていくことだ」

電線新聞4157号掲載