フジクラ・ダイヤケーブルは、地下鉄など列車無線のデジタル方式の導入に対応した高発泡ポリエチレン絶縁43D漏えい同軸ケーブルの納入を開始しました。従来ケーブルの絶縁コアが、内部導体に銅管、絶縁体に紐状のポリエチレンを内部導体上にら旋状に巻付けた上にポリエチレンパイプを施していたのに対し、本ケーブルは内部導体に波付銅管、絶縁体に高発泡ポリエチレンを適用しました。その効果として、約20%の軽量化が図られ、ケーブル曲げ剛性も約30%小さくなり、ケーブル布設時の施工性が向上しました。また、本ケーブルのコネクタも、従来コネクタに対して小型・軽量化を行いました。部品点数を大幅に削減したことにより、コネクタ組み立て時間が短縮され、約40%の軽量化によりコネクタ取付け時の作業性が向上しました。150MHz帯を使用するデジタル列車無線は、過密ダイヤに伴う列車の安全走行を確保する上で関心が高まっており、デジタル化を進めるためにアナログ誘導無線方式からデジタル漏えい同軸方式への早期の移行が推進されています。
項目 構成、特性値 形名:EM-L-LCX-43D-F 155 156 157 158 内部導体 波付銅管、φ17.3mm 絶縁体 高発泡ポリエチレン、φ43mm 外部導体 波付ラミネートアルミテープ(スロット付) 支持線 亜鉛めっき鋼より線、7本/2.6mm 被覆 難燃ノンハロゲンポリオレフィン
本体部51mm
支持線部13mm
ケーブル高さ67mm概算質量 1.5kg/m 特性インピーダンス 50Ω 電圧定在波比 1.5以下 結合損失at150MHz 55dB 60dB 70dB 80dB 伝送損失at150MHz 13dB/km 12dB/km 11dB/km 11dB/km 直流抵抗 内部導体 1.3Ω/km以下 外部導体 1.5Ω/km以下
漏えい同軸ケーブルとは、通信の伝送を行いながら、ケーブルを敷設した一定範囲内に電波を漏えいさせ、その付近に無線通信を可能とするエリアを作り出すケーブルです。
このケーブルを敷設することで、何もしなければ電波の届かないトンネル内や地下鉄内でも、地上の電波を、ケーブルを介して伝搬させることができます。
中継器の先はケーブルを敷設するだけですので、電波を中継するアンテナを設置することと比較するとコスト面で非常に有利な施工方法です。漏えい同軸ケーブルは、昔から列車無線で用いられてきました。遠方の駅や監視センターと線路を走る列車との無線通信を行う場合も、線路を並行して敷設された漏えい同軸ケーブルによって、少ない空中線電力で遠方との通信が可能でした。
携帯通信、テレビなど電波を使用する機器の通信用電波のデジタル化が進んでいますが、列車用無線も例外ではありません。
無線通信のデジタル化により、電波の使用帯域幅が減少するため、電波チャネルの空き状況が増えますので、総務省が陣頭指揮をとって電波のデジタル化に乗り出しています。
列車用無線も今後、そうした流れを受けて、デジタル化がされていく状況で、通信用漏えい同軸ケーブルの張替工事なども増えていくものを考えられます。
この場合、同軸ケーブルの絶縁体に高発泡ポリエチレンを採用したことで、従来のケーブルよりも軽量化されました。また、それに伴いケーブルを曲げやすくなったことで、施工性も従来よりよくなりました。
鉄道関連の工事は、列車が動かない終電から始発までの短い期間に工事を完工しなければなりません。工事の遅延により、始発に間に合わないなどの事態が発生してしまえば、ニュースにもなってしまいます。
そのため、ケーブルを接続するコネクタの部品点数を削減し、施工に係る工数を削減しました。
このケーブルは列車無線のデジタル化需要に応えるために、施工しやすく作られた漏えい同軸ケーブルです。