【ダイキン工業株式会社】同志社大学とダイキン工業による包括的連携協力の締結

~室温でのCO2回収・分解・再利用をめざす~

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同志社大学とダイキン工業株式会社は、環境課題をテーマにした実践的研究開発をめざし、包括的連携協力に関する協定書を締結しました。ダイキン工業が事業を通じて取り組む温室効果ガス排出の削減に向け、学術成果の社会還元をめざす同志社大学の、独自の環境技術や関連分野の知見、実社会での活用までをめざした実践的学術研究力を生かし、両者でCO2の回収・分解・再利用技術の実用化や、空調機のさらなる高効率化に取り組みます。また、共同研究を通じた協創イノベーション人材の育成も進めていきます。

同志社大学では、教育・研究活動の学術的な成果を追求するだけでなく、教育研究成果の積極的な発信、知的財産の技術移転、新技術及び新産業の創出を通じて社会に貢献したいと考えています。しかし大学単独では社会実装へのハードルが高く、産学連携による企業のリソース活用を模索していました。

一方、ダイキン工業はグローバルで空調事業を展開していますが、世界の空調機需要が2050年までに現在の約3倍になると予測される中、電力消費の増大による地球温暖化への影響が大きな懸念となっています。持続的な事業発展のためには環境課題への対応が不可欠であり、空調機の高効率化はもちろん、省エネインバータ、低温暖化冷媒等の環境技術の普及を進めています。こうした複雑な課題解決のためには外部の技術や知見を取り入れ、新たな価値を生み出す「協創」も必要です。社外とのイノベーション創出を通じ、2050年に向けて温室効果ガス排出の実質ゼロを達成しながら、さらなる成長をめざしています。

今回の包括連携では、環境課題をテーマにした実践的研究開発を推進するため、同志社大学内に『同志社-ダイキン「次の環境」研究センター』を設立します。同センターでは、同志社大学の独自技術である「CO2の電気分解技術」に、ダイキン工業の「フッ素化学技術」を組み合わせた、新たな「室温環境下でのCO2回収・分解・再利用技術」の開発に取り組みます。 また、ダイキン工業が強みとするインバータ、圧縮機、熱交換器等の「空調の要素技術」と、同志社大学の特徴である「理論・基礎研究に留まらない実践的学術研究力」を融合し、各要素技術の最適設計を通じた空調機の高効率化の極限追求もめざします。

さらに、これらの共同研究を通じ、「協創イノベーション人材」の育成にも取り組みます。実践的学術研究テーマを推進する中で、ビジネスの提案も含めて学術成果の社会での実用化を描ける人材の育成に挑戦し、産学連携による教育の有用性を高めていきます。

なお、協定の期間は2020年3月から10年間、ダイキン工業から拠出する資金は10億円規模(初年度は設備投資を含む2億円規模)を予定しています。

本協定を通じ、同志社大学としては、世界に向けた総合的な環境に関する新たな学術の発信とそれを可能とする人物の育成、ダイキン工業としては、環境技術の商品・事業化や、CO2の回収・分解・再利用まで踏み込んだ温室効果ガス排出の実質ゼロをめざします。

実施事項の具体的内容

1. 『同志社-ダイキン「次の環境」研究センター』の設立

本協定に基づいた温室効果ガスの削減につながる実践的研究開発と、それを担う人材の育成に向け、連携の推進母体として同志社大学内に『同志社-ダイキン「次の環境」研究センター』を設置します。同志社大学、ダイキン工業の双方から人材を派遣し、両者が密に交流しながら共同研究のテーマ立案、実行を推進します。

名称 同志社-ダイキン「次の環境」研究センター
センター長 同志社大学 理工学部環境システム学科 教授 後藤 琢也
設立 2020年4月
場所 同志社大学 京田辺キャンパス 訪知館内 (京都府京田辺市)

2. 環境課題に関する実践的研究開発

同志社大学、ダイキン工業の双方の技術を持ち寄り、まずは下記テーマの共同研究からスタートします。研究テーマは今後拡充していく予定です。

(1) CO2回収・分解・再利用技術の開発(1件)
同志社大学独自の「溶融塩を用いたCO2の電気分解技術」に、ダイキン工業の「フッ素化学技術」を組み合わせ、フッ化物系のイオン液体を用いたCO2分解(酸素、炭素分子への分解)の実現に取り組みます。この研究ではダイキン工業の「マテリアル・インフォマティクス」のノウハウも用い、室温環境下でのCO2分解の研究を進めます。自然界では植物が大気中のCO2を吸収することで温室効果ガスを減らしていますが、今回の取り組みは、その植物による炭素固定を凌駕する機能を創出しようとする壮大な研究開発です。これらの技術を通じて温室効果ガス排出の削減に取り組みつつ、将来的には空調システムへCO2濃度コントロールシステムを搭載し、健康増進、集中力向上等の新たな空気の価値化や、CO2を原料とした高機能材料の創出もめざします。

(2) エネルギー損失の極限を追求する環境技術テーマの研究(3件)
ダイキン工業が得意とする「空調の要素技術」と、同志社大学の強みである「理論・基礎研究に留まらない実践的な学術研究力」の融合により、インバータ、圧縮機、熱交換器の3分野において、それぞれエネルギー損失の極小化や材料の強度・耐食性向上を追求します。同志社大学はインバータに関わる電磁エネルギーシステムや、圧縮機の潤滑現象等に関し、実際の製品を用いた実践的研究による知見を有しています。両者で各要素技術の最適設計をめざすことで、空調機のさらなる高効率化や冷媒漏洩の低減に取り組みます。

3. 同志社-ダイキン協創人材育成プログラムの開発・実施

『同志社-ダイキン「次の環境」研究センター』における研究テーマの実行を通じ、本共同研究に従事する研究者を対象に、協創イノベーション人材の育成に取り組みます。同志社大学がめざす自然科学と人文・社会科学の文理融合による人材育成と、ダイキン工業がめざす組織の壁を越えて協創を推進する人材の育成を組み合わせ、複数の専門性や俯瞰力、コーディネート力を持ち、学術成果を実際の社会で活用していくためのビジネス提案ができる人材の育成を進めます。

以上


公式プレスリリースはこちら: 同志社大学とダイキン工業による包括的連携協力の締結~室温でのCO2回収・分解・再利用をめざす~