【TDK】フェライトシールドタイプのパワーインダクタに関するテックノートを公開

フェライトシールドタイプ車載用パワーインダクタ

フェライトシールドタイプ車載用パワーインダクタSLF-H/LTF-D/CLF-NI-Dシリーズは、フェライトのリングコアで磁気シールドされた巻線タイプの車載用パワーインダクタです。幅広いサイズ、インダクタンス値をラインナップしており、また車載での厳しい使用環境にも耐えうる高い信頼性も備えています。メーター、ヘッドライトからECMまで各種車載用機器に最適な製品です。

製品の概要

TDKでは3種類のフェライトシールドタイプの車載用インダクタを取り揃えています。図1に各シリーズの概要をまとめます。

製品の構造

各シリーズの構造を図2に示します。全シリーズ、ドラム型コアに巻線を行い、その外側をリング型コアでシールドする構造を採用しています。

製品の特徴

各シリーズの特徴を図3に示します。

フェライトシールドタイプのインダクタは、磁束がリングコアを通過する為磁気抵抗が小さくなります。その為、リングコアのない樹脂シールドタイプに比べると少ない巻数で同等のインダクタンスを得ることができ、RDCを低減できます。また漏れ磁束も少なくなりますのでEMI低減に効果があります。

開発トレンド

フェライトシールドタイプ車載用パワーインダクタの開発トレンドを図6に示します。 車載用部品に対する高い市場品質要求に応える為、高温度対応、完全自動生産化、溶接によるワイヤー接合などTDKがこれまで蓄積してきた材料技術や製造工法などを駆使して進化を遂げてきました。

製品一覧

各シリーズ、形状毎の製品一覧を図7に示します。タイプ名をクリックすると詳細な情報を見たりサンプルを購入する事ができます。

パワーインダクタとは?

パワーインダクタとはDC-DCコンバータなどの電源回路で使用されるインダクタのことで、パワーコイル、パワーチョークなどと呼ばれることもあります。インダクタは自己誘導作用によりエネルギーを蓄える性質をもっており、チョッパ方式のDC-DCコンバータなどは、このインダクタとスイッチング素子を組み合わせることにより、電圧の変換を行っています。(図8参照)
インダクタは工法によって積層タイプ、薄膜タイプ、巻線タイプに分けられますが、パワーインダクタには大電流を流せる巻線タイプが主流で、これにフェライトや軟磁性金属のコアを組み合わせた様々な製品があります。また小型、薄型化が可能な積層タイプ、薄膜タイプも近年では大電流化が進んできています。


フェライトシールドタイプのパワーインダクタは主に車載用電子機器を制御する際に使用されます。
最近では、電気自動車の普及もあり、大容量のDC-DCコンバータなどを車載用機器として搭載することも多くなりました。パワーインダクタから発生する磁束がカーナビや自動車用の他の制御機器に誤動作をさせないようにフェライトによるシールドを行う構造のパワーインダクタの種類などの解説をテックノート上に公開しています。
年々、大容量のDC-DCコンバータが小型化されていることに伴い、構成部品でもあるパワーインダクタの小型化も大きな開発テーマとして挙げられています。
そのような場合でもフェライトによるシールドで、他機器への影響を最小限にします。また小型化により部品同士の間隔も狭くなることが考えられますので、今後、さらなる技術開発が求められます。