富士経済(社長清口正夫氏)はこのほど、業務・産業施設向け空調システムの国内市場を調査し、その結果を「2019年版 業務・産業施設向けHVAC国内市場の全貌」にまとめた。それによると、システム市場は19年をピークに縮小し、今後は既存機器に対する付加価値提案が重要になるとしている。
空調システムの関連機器としてパッケージエアコン(PAC)など熱源機器11品目、全熱交換器など二次側機器9品目、制御機器2品目の市場を調べたもの。それによると、17年の業務・産業施設向け空調システムの市場は7010億円。建築需要がピークを迎える19年には17年比8.5%増の7603億円を予測。その後、緩やかに市場は縮小し、25年には17年比3.6%減の6756億円が予測されるとしている。
調査結果では、熱源機器、二次側機器ともに個別空調システム向けの市場が大きいとしている。個別空調はユーザーによる温度調節が容易であり、大規模施設であっても局所的に設置されることもあるため、幅広い用途・規模の施設が導入している。一方、中央空調の熱源機器は対人空調だけでなく、厳正な湿度管理や低温維持が可能なため、熱源機器・二次側機器共に中央空調でなければ実現できない空調条件を要求される施設で採用がみられるという。
パッケージエアコン、ビル用マルチエアコン(VRF)、ガスエンジンヒートポンプエアコン(GHP)の熱源機器の容量市場(累積ベース)は新設向け、更新向け需要が滅失を上回る状態が続くとみられ、25年には17年比2.4%増の36万1450メガワット(MW)が予測されるとしている。
PAC市場は18年で1528億円を見込み、19年で1637億円、20年で1452億円をそれぞれ予測。このうち、店舗PAC(事務所や店舗などのビル用に設計)市場はすでに成熟しているものの、東京オリンピックに向けた新設需要に加え、18年は災害後の復興需要、猛暑の影響などにより需要が増加したため、17年に引き続き18年も拡大が見込まれる。19年は18年の猛暑の影響から学校の普通教室で導入が進むとみられ、学校特需が予想される。20年以降は前年に設置しきれなかった教室への設置が進むなど学校需要は続くものの、基本的にはリプレース需要が中心になるとみられるとしている。