【静岡電工組】 ワークショップ「電気工事業における女性活躍推進」

女性が活躍できる環境づくりを探る

ワークショップ「電気工事業における女性活躍推進」

静岡県電気工事工業組合(松田良克理事長)は1月25日、静岡市駿河区の静岡県男女共同参画センター「あざれあ」でワークショップ「電気工事業における女性活躍推進」を開催した。女性が活躍できる環境をどう整備するのかを探るための企画で、講演やパネルディスカッションが行われた。

あいさつする松田理事長

 はじめに、主催者を代表して松田理事長があいさつ。「少子高齢化による人手不足は電気工事業界でも深刻な問題となっているが、静岡県内では少しずつ明るい兆しも見えている。現場で女性が活躍する姿を目にする機会も増えているが、女性特有のキメの細やかな作業やユーザーに与える印象の良さなど特性も活かされている。今回のワークショップを通して、女性の元気力を県内に浸透させるにはどうすればよいかを探り、業界の活性化とイメージアップにつなげたい。本日は一歩先を行く息吹をしっかり受け止め実りあるものにしたい」と呼びかけた。

左:祝辞を述べる菊井静岡電材副理事長 右:松本電気工事協力会社長

続いて、来賓の静岡県電設資材卸業協同組合の菊井信之副理事長、静岡県電気工事協力会の松本高明代表取締役社長が登壇。菊井副理事長は「あらゆる職人の領域においても女性が活躍しているが、技術職であるわれわれの業界にもどんどん女性が進出することで男性の入職者も増えるのではないか。そのためにも受け入れのための環境づくりが大事であり、卸業界としてもイメージアップをはかれるようバックアップしたい」と、松本社長は「組合としてこのようなワークショップは初の試みではないか。今後日本の人口が減少することが予測されるなか、活力をもたらすのは女性の元気力だと信じるのは私だけではないと思う。私自身、微力ながら女性進出のお役に立てることは光栄なことである」とそれぞれ祝辞を述べた。

映像講習

映像講習では、昨年3月に開催された建設産業女性活躍セミナー全国大会から国土交通省の青木由行建設流通政策審議官(当時)のあいさつが上映された。

講師の籠田氏

キックオフ講演「『女性力』で業界に構造改革を起こす」は、一級建築士でゼムケンサービス代表取締役の籠田(こもりた)淳子氏を講師に迎えた。籠田氏は、実家が工務店という環境のなかで幼少期から職人たちとかかわってきた。そんななかで、「これからは女性も手に職を付ける時代になる」と考え、父親の猛反対を押し切って建設の道に進んだという。
人材の確保や育成については、「人材育成には10年かかるが、人材を育成できればおのずと売上げも伸びる」とし、「地域を守る中小企業に女性進出の必要性がまだまだ響いていないが、若い人たちが入職するように現場の雰囲気を良くするためにも女性のチカラが必要だ」と強調した。
現場における女性力については、自社において「生活」「動線」「事細か」「関係づくり」「安心」「思い出」「色・イメージ」の7つの観点からのチェックシートを作成して工事を管理していることを紹介した。
そして、これからの会社のありかたについては、「多様な人材が安全で働きやすくやりがいを持てる労働環境を整備する」「建設産業の魅力を積極的に発信することにより希望して入職者を増やす」といった取り組みが必要であるとし、「組合の皆様が地域において発信することで認知度を高めていただきたい」と呼びかけた。

イキイキした表情が印象的なパネリストたち

 パネルディスカッション「働く場を知り、見直し、そしてキラキラするために」は、籠田氏がコーディネーターを務め、第3回電気工事技能競技全国大会に出場した石黒加奈さんら電気工事業界で活躍する女性6人と青年部の磯谷洋之副会長がパネリストとして登場。産後すぐに現場に従事していたことなど女性ならではの苦労が語られる一方で、「男性の側からも自分たちも身ぎれいにしないといけないと思わせられる」との意識改革につながっているといった声もあがった。
また、女性が定着するために必要なことについては、「キレイな洋式トイレの設置」「育児に手がかかる時の配慮」といった声があがり、籠田氏も「社員の子どもは会社の子どもだと思って関わっている」とみずからの考えを示した。
また、技能競技全国大会に出場したことについて石黒さんは、「出場したことで女性がもっと活躍してもいいんだと自信がついた。この経験を活かして今後大会に出場する女性をサポートするとともに、みずからも女性の活躍のために発信したい」と語った。

総括する西野青年部会長

閉会にあたり、青年部の西野浩史会長が「パネリストの皆さんの表情がキラキラしていたが女性がいきいきと活躍する職場には明るさを感じる。男性がなかなか気づけないような話も多く聞かれて大変勉強になった。本日学んだことを活かして女性の入職者が増えるよう努力したい」と総括し、長谷川吉昭副理事長が「大変有意義な話を聞かせていただいた。女性の目線で細やかに対応することも立派な武器である。各支部でも女性力を取り入れて一歩も二歩も前進したい」と結んだ。

〈女性パネリスト〉
望月由紀江さん
(静岡・光電気工事)
植山 藤枝さん
(島田・ウエヤマ電設工業)
石黒 加奈さん
(袋井・モンヤ電気)
小栗 啓枝さん
(浜松・北都電気)
大石 玲子さん
(牧之原・南榛原電気工事協同組合)
村松 由承子(ゆうこ)さん
(浜松・浜松電気工事協同組合)

電材流通新聞2019年2月7日号掲載