- ボッシュとCeres Power社は本格生産に向けたパートナーシップを強化
- 年間生産目標は約200メガワット
- ボッシュは2024年までに固体酸化物形燃料電池(SOFC)に数億ユーロの投資を計画
- ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーのクリスチアン・フィッシャー:「当社では、高エネルギー効率の固体酸化物形燃料電池は、持続可能なエネルギーを供給するために必要不可欠であると考えています」
- SOFCの総合エネルギー効率85%超は、他のエネルギー変換器を圧倒
シュトゥットガルト(ドイツ)/ホーシャム(イギリス) – ボッシュは現在、商用・産業用燃料電池の開発に一段と注力しています。革新的なテクノロジーとサービスを提供するボッシュは、2024年に固体酸化物形燃料電池技術をベースとする分散型電源の本格稼働生産開始を視野に入れ、Ceres Power社との連携強化に合意しました。プロトタイプの生産を成功裏に収め、両社は、商用・産業用燃料電池の商品化に向けて更に一歩前進します。 SOFCシステムについて、ボッシュは年間約200メガワットの生産を目指しています。これは約40万人分の家庭での消費電力をまかなうのに十分な量です。ボッシュでは、バンベルク、ヴェルナウ、ホンブルクにある同社の製造拠点に加えて、シュトゥットガルト-フォイヤバッハおよびレニンゲンの開発拠点も活用し、商用・産業用燃料電池システムの生産計画のもと、2024年までに数億ユーロを投資する予定です。これは、ボッシュがセルおよびスタック分野において独自の価値を創出し、商用・産業用燃料電池のシステムサプライヤーとして位置付けていることを意味します。 SOFC技術の用途例として、都市、工場、通商貿易、データセンター、電気自動車の充電インフラで使用可能な、ネットワーク化に対応した小型の分散型電源が挙げられます。ボッシュは、2030年までに分散型電源の市場規模は200億ユーロに達すると予想しています。現在、合計250名以上(昨年比150名増)のボッシュ従業員が、将来有望なこの新しい事業に取り組んでいます。
「当社では、高エネルギー効率の固体酸化物形燃料電池は、持続可能なエネルギーを供給するために必要不可欠であると考えています。この実現に向け、ボッシュの複数の部門から専門知識を備えた人材を確保しています」と、エネルギー・ビルディングテクノロジー事業セクターを担当するボッシュ取締役会メンバーのクリスチアン・フィッシャーは述べています。「商用・産業用燃料電池システムにより、ボッシュは開発、製造、営業、サービスをワンストップで提供する新しい事業分野を確立しようとしています。パートナーであるCeres Power社と共に、本格生産という次の重要な段階に向けて動き始めています」と、フィッシャーは続けました。
ボッシュはCeres Power社との連携を強化
2018年8月から、ボッシュとCeres Power社は、燃料電池と燃料電池スタック開発の分野における協働で成功を収めています。2019年秋には、ボッシュは早くもドイツ初の燃料電池システムのプロトタイプ生産を開始しました。2020年1月に、ボッシュは英国企業であるCeres Power社の株式の約18%を取得しました。今回の合意書は、2024年の本格生産に向けた段階にまで範囲を拡大し、ボッシュがCeres Power社の技術を今後どのように活用するかまでも定義しています。「当社の重要なパートナーであるボッシュとの協働において、このマイルストーンに到達したことを誇りに思います。Ceres社の革新的な技術とボッシュの生産技術を組み合わせることで、エネルギー転換という地球規模の課題を克服するための先駆的な商用・産業用燃料電池システムの開発に至りました。今後も継続してボッシュと緊密に連携を図っていきます」 と、Ceres Power社のCEOであるPhil Caldwell氏は述べています。
SOFCシステムはすでに水素に対応
Ceres Power社は、革新的な固体酸化物形燃料電池およびスタックの開発で業界をリードしています。ボッシュはCeres Power社から広範囲な技術ライセンスを取得し、2019年以降、燃料電池とスタックを内製しています。固体酸化物形燃料電池をベースとしたパイロットプラントは、すでにボッシュの複数拠点で試験に成功しています。SOFCシステムは、エコフレンドリーなバイオガスや天然ガスを使用して運用されており、未来のエネルギーシステムに向けて水素にもすでに対応しています。
エネルギー需要量が多い都市や広域都市圏では、SOFCシステムにより持続可能な電力供給を確保でき、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)、CO2の排出量もゼロになります。SOFCの総合エネルギー効率は85%超と、他のエネルギー変換器を圧倒しています。ボッシュのSOFCプロジェクトを統括するWilfried Kölscheidは、「将来的にはエネルギー供給の必要要件に応じて、出力が同じ任意の数のプラントを相互接続できるようになります。この相互接続により、連携して動作する仮想発電所が実現し、必要な場所に必要な量の電気を供給できるようになります」と語っています。
このプレスリリースは2020年12月7日に Robert Bosch GmbH より発行されました。
原文をご覧ください。世界のボッシュ・グループ概要
ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2019年の従業員数は約40万人(2019年12月31日現在)、売上高は777億ユーロ(約9.5兆円*)を計上しています。現在、事業はモビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの4事業セクター体制で運営しています。ボッシュはIoTテクノロジーのリーディングプロバイダーとして、スマートホーム、インダストリー4.0さらにコネクテッドモビリティに関する革新的なソリューションを提供しています。ボッシュは、サステイナブル、安全かつ魅力的なモビリティを追求しています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスに関する豊富な専門知識と「Bosch IoT cloud」を活かし、さまざまな分野にまたがるネットワークソリューションをワンストップでお客様に提供することができます。ボッシュ・グループは、AI(人工知能)を搭載する、もしくはAIが開発・製造に関わった製品を提供することで、コネクテッドライフを円滑にすることを戦略目標に掲げています。ボッシュは、革新的で人々を魅了する全製品とサービスを通じて生活の質の向上に貢献します。つまり、ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」-人と社会に役立つ革新のテクノロジーを生み出していきます。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社440社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界126の拠点で約7万2,600人の従業員が研究開発に、約3万人がソフトウェアエンジニアリングに携わっています。
ボッシュの起源は、1886年にロバート・ボッシュ(1861~1942年)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの企業としての自立性を保証するものであり、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができます。ロバート・ボッシュGmbHの株式資本の92%は慈善団体であるロバート・ボッシュ財団が保有しています。議決権の大半はロバート・ボッシュ工業信託合資会社が保有し、株主の事業機能を担っており、残りの株式は創業家であるボッシュ家とロバート・ボッシュGmbHが保有しています。
*2019年の為替平均レート、1ユーロ=122.0058円で計算
公式プレスリリースはこちら: ボッシュ、2024年より商用・産業用燃料電池の本格生産開始。Ceres Power社との連携強化