当社は、電線を高精細に撮像し、深層学習(ディープラーニング)による画像解析で異常箇所を自動検出する「架空送電線撮像検査システム」を開発しました。同システムを用いることで、従来の検査方法と比較して架空送電線の異常箇所検出に掛かる時間を大幅に短縮するとともに疲労を軽減し、点検漏れを防止します。
開発の背景
従来、架空送電線の点検作業は、撮像BOXを取り付けた自走式の装置を使って電線を撮像した後、目視で異常箇所を特定していたため、多大な時間を要していました。そこで当社では撮像BOXや自走式装置を設計から見直すとともに、鉄道の架線検測技術を持つ株式会社明電舎と共同で、撮像した映像から深層学習により異常箇所を自動検出して報告書を作成する検査アプリケーションを新たに製作しました。
架空送電線撮像検査システムの特長
①これまでの開発で培った技術による自走式装置の軽量化ならびに長時間連続運転の実現
②架空送電線の振動防止のために取り付けられている架空線径間ダンパの通過機能
③撮像BOX内で電線を高精細に全周撮像可能(夜間の点検にも対応)
④新幹線などの架線検測に使用される明電舎の技術により、
- 線種の違いに影響されない検査技術
- 異なる形状の異常を検知可能
- 学習データなどの蓄積による低誤検出率の実現(現在、誤検出率約7%以下を実現)
架空送電線撮像検査システムの仕様
①外形寸法 :[W]350mm×[H]600mm×[D]745mm
②総重量 :46kg(走行装置:32 kg、撮像BOX:5 kg、電池:9 kg)
③適用線種 :外径7.8mm~18.2mm
④走行速度 :高速時12m/分、低速時3m/分
⑤走行可能傾斜 :乾燥時30度、湿潤時15度
⑥連続使用時間 :300分
検査アプリケーションのPC推奨スペック
①CPU :Intel Core i7-8750H(2.2GHz/6コア)以上
②GPU :NVIDIA GeForce GTX1070 8GB以上
③OS :Windows 10
今後の展開
自走式装置が走行不能になった場合を考慮し、架空線径間ダンパに対応した支援自走機を開発中です。また、学習データなどを蓄積し検査アプリケーションを更新して、検出精度の向上に努めます。今後も当社はさまざまなニーズに対応し、作業効率化を実現する製品や工法の開発を通じて、高品質で低コストの設備をご提供したいと考えています。
公式プレスリリースはこちら: 深層学習による画像解析で異常箇所を自動検出「架空送電線撮像検査システム」を開発