当社と岡山大学、関西学院大学、英国Surrey大学の国際共同研究グループは、細孔が豊富に含まれる階層的かつ高比表面積である多孔質炭素材料の開発に成功しました。
本研究では、亜鉛を含むMetal-organic frameworks(MOFs)を高温で焼成し、その亜鉛や酸素の含有比率が、焼成後の多孔質炭素材料の比表面積に大きく影響することを明らかにしました。
この多孔質炭素材料は、市販の活性炭を超える高い比表面積をもち、電気二重層キャパシタの電極に用いることで高容量化を実現しました。
本成果は、新規の多孔質炭素材料の製法として、今後の期待が高まるエネルギー貯蔵デバイス電極材料や燃料電池触媒担体の開発へつながります。
本研究成果は、2021年12月4日にWiley社の学術誌「Energy & Environmental Materials (Impact factor:15.122)」のResearch Article(First published)として掲載されました。
※多孔質炭素材料
表面に無数の小さな細孔がある炭素材料
※Metal-organic frameworks
有機金属構造体または多孔性配位高分子と呼ばれ、金属に有機リガンドが配位し、それが自己集合することで得られる、多孔質のネットワーク構造をもつ材料
※電気二重層キャパシタ
電極表面にイオンを物理吸着・脱着させることにより電気の充放電を可能にする蓄電デバイス
二次電池と異なり化学反応をしないため、蓄えられるエネルギーは二次電池と比較して低いが、高出力が可能、寿命が長いなどの優れた特徴がある
※Wiley社
理工医学から人文社会科学まで幅広い分野で、約1,600誌の良質なジャーナルを出版する世界的な学術出版社である
今回論文が掲載されたWiley Open Accessにはいずれも厳格な査読を行い良質な論文のみが掲載される
※「Energy & Environmental Materials」
Wiley社発刊の査読付き国際学術誌プレスリリースはこちら(岡山大学のHPへ移動します)
◆論文情報◆
論 文 名:Zinc-based metal-organic frameworks for high-performance supercapacitor electrodes: Mechanism underlying pore generation
掲 載 紙:Energy & Environmental Materials
著 者:Shigeyuki Umezawa, Takashi Douura, Koji Yoshikawa, Daisuke Tanaka, Vlad Stolojan, S. Ravi P. Silva, Mika Yoneda, Kazuma Gotoh, and Yasuhiko Hayashi*
D O I:https://doi.org/10.1002/eem2.12320
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/eem2.12320
公式プレスリリースはこちら: 高比表面積キャパシタ炭素電極の開発