【TDKラムダ】アプリケーション & 使用例:「双方向DC-DCコンバータと蓄電システムの協調によるスマートなパワーシステム」が公開

TDKの絶縁型双方向DC-DCコンバータEZAシリーズは、通信機能を搭載した、直流給電システムにおける電力変換のプラットフォームとなる電源で、1台で直流電力を双方向にやりとりします。デジタル制御により高性能化を実現。柔軟なシステム設計が可能です。

双方向DC-DCコンバータEZAシリーズ

【主な特長】

  • 安全性が高くノイズ対策にも有利な入出力絶縁タイプ
  • デジタル制御による最適化により、高効率変換を双方向で実現
  • 入力・出力電圧を一定にするため、変換方向を自動的に切り替える自律運転が可能
  • コンバータを停止することなく変換方向の高速切り替えが可能
  • シリアル通信(RS485)により、電流、電圧、変換方向の制御や状態モニタが可能
  • 1Uフルラックサイズの小型・省スペースタイプ

【主な用途】

  • 蓄電デバイス(HVDCバスに接続されるリチウムイオン電池、鉛蓄電池など)の充放電制御
  • モータ利用の産業機器(クレーン、エレベータ、ロボット、自動搬送車、フォークリフトなど)の回生エネルギーの活用

1台で充放電(双方向)動作が可能、絶縁型で高効率な電力変換を実現

次世代の電力インフラとして、ICT技術などを利用して電力の需給バランスの最適化を図るスマートグリッドの実証実験が各地で進められています。また、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用することで、オフィスビルなどのエネルギー収支を年間でゼロにするZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)の取り組みも進んでいます。こうしたシステムでは、余剰電力を貯蔵する蓄電池の利用と、貯蔵した電力を効率よく自家消費して電力ピークをカットする技術が重要になります。

このため、電源システムにも、さらなる省電力化が求められています。電子機器は直流で駆動するため、商用交流は直流に電力変換して利用されています。しかし、電力変換には半導体素子などの発熱ロスがともなうため、できるだけ変換回数を減らすことが省電力化につながります。そこで、スマートグリッドやZEBなどにおいては、従来の商用交流のかわりに直流電力を供給するHVDC(高電圧直流)バスを構築し、HVDCバスを介して電気電子機器を稼働させたり、蓄電池を充電したりする直流給電システムが注目されています。

TDKの絶縁型双方向DC-DCコンバータEZAシリーズ(TDKラムダブランド製品)は、直流給電システムにおける電力変換のプラットフォームとなる電源で、HVDCバスと蓄電池との間で、1台で直流電力を双方向にやりとりします。
再生可能エネルギーを活用するオフィスビルや商業施設、公共施設などにおいて、蓄電システムと連系させることで、直流給電、消費電力の平準化、停電時のバックアップなど、さまざまな機能をもつ柔軟で拡張性の高いパワーシステムが実現できます。


太陽光発電設備や燃料電池発電設備など、特定規模電気事業者や需要家による自家発電設備が増えております。
今までは三相交流の発電設備が当たり前だったのですが、上記に挙げたような発電設備はパワーコンディショナなどを介さない限り発電直後の電力は直流となります。
また、電子機器においても直流電源を要するものが多く、交流を一旦直流として使用しているものが殆どです。

これらの交流から直流、直流から交流に変換する際のロスを最小限としようというものがこのDCDCコンバータとなります。
直流で送らなければならない箇所や交流に変換するために送る直流系統、不足している電力を商用系統から受電させるなど、負荷変動に応じて制御を行い、配下のエネルギーの最適化を行います。

これらは、直流需要が多くなるデータセンターなどの建設時に有効と言えるでしょう。コンピュータなどは生活には欠かせないものとなっている現在、データセンターのような先端設備を構築するような場合以外にも、新しいオフィスビルやファクトリーオートメーションを徹底化した工場などにも適用できるものと考えられます。

特に工場では敷地面積が広く、屋根などに太陽光発電設備が設置されるケースが増えてきました。燃料電池も化学工場であれば、製造過程の廃棄物として出ていた物質(メタンガス等)が燃料として使用できる可能性もあるためこちらも設置されるケースも出てきております。

こうした直流の需要と、直流で発電する発電設備が増えたことで直流給電を行うメリットも今までの比べても多くなったことにより登場した製品であると考えられます。
また、クレーンやフォークなどの動力負荷は、始動時の瞬間電力が大きく、それに伴い契約電力も増やして契約し、使用する場合としない場合を比較する需要率の低下が課題となっておりました。
今回のDCDCコンバータを導入することで、モータ始動時は蓄電池等から電力供給を行い、クレーンの引き下げなどの電力回生時に蓄電池に充電を行うことで、契約電力を下げ、回生エネルギーを有効活用できる用途にも利用できます。
通信機能により、エネルギーの利用状況を監視することができ、時間帯によってどのような運転パターンとすればエネルギーの最適化ができるかなどの検討もデータを基に行うことも可能となります。

今までは交流が受電、給電部分では常識でした。しかし、直流系統が増えたことと、直流による需要が増えたことで、今までは必要な個所に交直変換を導入していたものを一本化し、さらに最適化制御を行うことで、ビルや工場全体で電力の変換ロスを抑えようという製品となります。

公式プレスリリースはこちら: https://product.tdk.com/info/ja/techlibrary/techjournal/index9.html