MEMSセンサ:MEMSベースの「シリコンチップ・ソナー」
計測距離を拡大したTime of Flight方式の超音波センサの販売開始
- 戦略顧客を手始めにCH-201超音波センサを2020年第二四半期に世界に向けて発売開始
- ChirpブランドのSmartSonic™プラットフォームを拡充するCH-201が、最大5メートルの計測距離をサポート
- 業界で最も低い消費電力で、ミリメートル精度の距離センシングを実現
TDK株式会社(社長:石黒 成直)は、計測距離を拡大したChirpブランドのMEMSベースの超音波Time of Flight(以下、ToF)センサ(製品名:CH-201)を、一部のOEM向けに販売開始しました。このToFセンサは小さな超音波振動子チップを使用して超音波パルスを発信し、センサの視野角にある対象物から返されたエコーを検出します。反射時間を基に距離を計算することで、センサは対象物のデバイスからの相対位置を特定し、センサはデバイスと相対的な対象物の場所を測定します。
TDKのMEMS超音波技術は、独自のToFセンサを3.5 mm x 3.5 mmパッケージに収めたもので、MEMS超音波振動子、電力効率の高いデジタル・シグナル・プロセッサ (DSP) 、カスタマイズした低電力・ミックスドシグナルのCMOS ASICを組み合わせています。本センサはさまざまな超音波信号処理機能を取り扱い、距離検出、存在/近接検知、対象物検出/回避、3D位置追跡を含む、幅広い使用事例において、お客様に柔軟なインダストリアル・デザインを提供可能にします。
民生電子機器、AR/VR、ロボティクス、ドローン、IoT、自動車および産業市場に向けた最初のMEMSベースの商用超音波ToFセンサであるCH-101の昨年の発売に引き続き、TDKはSmartSonic™ MEMS超音波プラットフォームを拡充して参ります。このプラットフォームには、CH-201超音波ToFセンサとルームスケール検知関連ソフトウェアソリューションが含まれ、プライバシー懸念のない、人感検知用途の超低電力の常時センシングや、他の多くのアプリケーションへの応用が可能になります。
TDKのMEMS超音波ToFセンサプラットフォームは、光学TOFセンサに比べ、以下の数多くの利点を提供します。
- バッテリー内蔵デバイスの常時センシング向け超低消費電力
- ガラスなど透明な対象物を含む、サイズや色に左右されない正確な距離測定が可能
- 犬や猫など家庭のペットの聴覚にも影響を及ぼさず、環境ノイズの影響も排除
- 直射日光の下で動作しないIRセンサとは異なり、あらゆる照明条件で動作可能
- レーザーベースのIR ToFセンサと異なり、目に安全
- カスタマイズ可能な最大180°の視野角で対象物を検出し、 1台のセンサで室内規模のセンシングをサポートすることが可能
TDKグループ会社であるChirp MicrosystemsのCEO、Michelle Kiangは下記のように述べています。「CH-201センサは、圧電MEMS技術と低電力ASIC設計における画期的なイノベーションをベースにした継続的な開発により、高性能で、低電力の超音波センシングを小型パッケージで実現することができました。拡大した計測距離により、製品設計者はToFセンサの新しい選択肢が増え、幅広い民生電子機器製品に新しい機能を付加することで、独自のユーザーエクスペリエンスを開発できます。CH-101とCH-201の2つのセンサは、主要なブランドのロボット掃除機、(スマート)スピーカー、PC、さらに多くの製品等で、検討されています。CH-101は、HTC社のVive Focus PlusモバイルVRシステム向けにおいて、当社のSonicTrack™ 6DoFコントローラトラッキングソリューションが採用されています。またTDKのMEMS超音波製品群によって実現される、新しい商品展開の発売を期待しています」。
ChirpブランドのSmartSonicプラットフォーム(CH-101、CH_101モジュール、CH-101デベロッパーズキット)は、本日より代理店を通して世界中で取り扱いを開始します。また、CH-201は現在、一部のお客様に出荷開始しております。2020年1月7日から10日にラスベガス・コンベンションセンターで開催されるCES 20のセントラルホール、ブース#11448で、TDKはChirpブランドのCH-101およびCH-201プラットフォームがVR/AR、ロボティクス、オーディオ製品で使用される様子を展示します。また、受動部品、センサ、電源装置、バッテリーなど、幅広いTDKグループの製品をご覧いただけます。詳細については、www.chirpmicro.comをご覧いただくか、sales@chirpmicro.comにお問い合わせください。
用語
- 6-DoF:6 Degrees of Freedom
- 3D:3次元
- AR/VR:Augmented Reality(拡張現実) / Virtual Reality(仮想現実)
- 超音波:超音波または超音波振動を利用すること、それによって生成されること、またはそれに関連するもの
主な用途
- スマートホームおよびコネクテッドIoT機器
- PC、ディスプレイ
- ロボティクス、ドローン
- AR/VR
- モバイル、ウェアラブル
- 自動車、産業
主な特徴と利点
- 超低消費電力
- 対象物のサイズに関わらず、正確な距離測定
- ガラスなど透明なものを含む、あらゆる色の対象物を検出
- 周囲雑音に対する耐性
- あらゆる照明条件で動作
- 拡張された視野角(FoV)
主要データ
製品 パッケージサイズ 距離 ノイズ範囲 インターフェース 視野角 CH-201 3.5 mm x 3.5 mm x 1.25 mm 最大5 m 1mm RMS(TYP) I2C 最大180° TDK株式会社について
TDK株式会社(本社:東京)は、各種エレクトロニクス機器において幅広く使われている電子材料の「フェライト」を事業化する目的で1935年に設立されました。
主力製品は、積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクタ、フェライトコア、高周波部品、ピエゾおよび保護部品等の各種受動部品をはじめ、温度、圧力、磁気、MEMSセンサなどのセンサおよびセンサシステムがあります。さらに、磁気ヘッドや電源、二次電池などです。これらの製品ブランドとしては、TDK、Chirp、EPCOS、InvenSense、Micronas、Tronics、TDK-Lambdaがあります。
アジア、ヨーロッパ、北米、南米に設計、製造、販売のネットワークを有し、現在、情報通信機器、コンシューマー製品、自動車、産業電子機器の分野において、電子部品のリーディングカンパニーを目指しビジネスを展開しています。2019年3月期の売上は約1兆3000億円で、従業員総数は全世界で約105,000人です。Chirp Microsystemsについて
Chirp Microsystemsは、カリフォルニア大学での先駆的な研究開発に基づき、2013年に創立されました。Chirp社のミッションは、超音波を用いた製品により、人々の暮らしをより豊かにすることです。Chirpの圧電MEMS超音波振動子は、小さなパッケージで長距離および低電力センシング機能を提供し、3次元空間を正確に認識できる製品を実現しました。
Chirpの組み込みソフトウェアライブラリと組み合わせることで、これらのセンサはVR / AR、モバイル、ウェアラブル、ロボティクス、ドローンおよび存在/近接検知でより良いユーザーエクスペリエンスを提供します。詳細については、www.chirpmicro.comをご覧ください。ダウンロード
公式プレスリリースはこちら: MEMSセンサ:MEMSベースの「シリコンチップ・ソナー」
計測距離を拡大したTime of Flight方式の超音波センサの販売開始