セキュリティシステム特集

五輪を控え関心一層高まる

6月、大阪で「防犯防災総合展inKANSAI 2018」が開催され、多数の来場者が集まった。一般ユーザーの防犯への意識も年々高まっているなか、電材業界においてもセキュリティ関連機器が期待する商品の上位にあげられている。

近年の社会経済情勢の変化は、一方で犯罪の多様化や巧妙化を招いている。工場、倉庫、資材置き場等への不審者の侵入・放火が相次ぎ、商品等への異物・毒物混入などは企業の社会的責任の根幹を大きく揺るがすものとなっている。
2020年に東京オリンピックが開催されることもあり、より高度なセキュリティの構築が求められるといえる。
6月7・8の両日、インテックス大阪で「防犯防災総合展inKANSAI 2018」が開催された。2万人近くの来場者を集め、セキュリティへの関心の高まりを証明するものとなった。
安倍晋三首相も昨年4月の「第27回犯罪対策閣僚会議」の席上、「2020年にオリンピック・パラリンピックの開催を控え、セキュリティ基本戦略に掲げた事項を確実に実施していただきたい。良好な治安は日本が世界に誇る強みだが、これを守り続けていくためには常に全力を尽くしていくことが求められる」と述べている。

セキュリティ関連製品への業界の期待は年々高まる

警備、セキュリティーサービス会社のALSOKはこのほど、「第3回 担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査」の結果を発表した。この調査では、児童の防犯意識、児童の被害状況、留守番時の注意点、インターネットリスク教育の4つの観点からまとめられている。
クラス担任の先生に、現在担当するクラスの児童たち自身の「安全・安心」への危機意識の変化について聞くと、「以前より高まっている」が40.7%で、昨年の41.7%、一昨年の42.7%とほぼ同率だった。
昨年3月末、千葉県の小学3年生が登校中に保護者会元会長に連れ去られ殺害される事件が発生したが、千葉県に勤務する先生の回答結果を抽出すると「児童の危機意識が高まっている」と回答した割合が全国の集計値と比較して10.9%多かった。
ちなみに、昨年のアンケートでは、誘拐・監禁されていた女子中学生が2年ぶりに保護された事件が起きた埼玉県で同様の回答傾向が見られた。
児童の防犯意識を高めるための取り組みとしてもっとも多かったのは「集会・ホームルームでの注意喚起」で、7割以上のクラスで実施されていた。「学校だより」などの紙媒体での注意喚起も多く、防犯に特化した「授業」の形式で指導を実施するのは全体の3割程度だった。
防犯ブザーの所持率については、1年生で6割以上のクラスで全児童が所持しているが、高学年になると所持率は4割を割り込み、学年が上がるにつれて所持率が下がる傾向がみられる。
現在担当するクラスに危険な目に遭った経験のある児童がいるとの質問については、8.8%が「危険な目に遭った経験のある児童がいる」と回答している。
被害に遭った時期を聞くと、新学期シーズンにあたる「4月から6月」が36.3%でもっとも多く、時間帯別では「下校中」が49.5%、「外出中(日没前)」が36.3%となっている。
「危険な目に遭った児童がいる」と回答した先生のうち、42.9%が「声掛けにより連れていかれそうになった」児童がいると回答。誘い文句については、子供が興味・関心を持つ物事で誘おうとする「興味系」が47.4%、子供の親切心につけ込む「親切系」は31.6%だった。
過去に留守番中に不審者が訪問したり不審な電話がかかってきた経験のある児童の有無については、10クラスに1クラスの割合で「留守番中に不審な電話や訪問者が来たことのある児童がいる」と回答した。
インターネットのリスクの教育が以前より必要と感じるか聞くと、84・8%が「以前よりも必要性を感じる」と回答。実際にインターネットのリスク教育を実施しているのは、学年が大きいほど割合が高い傾向があるが、低学年のうちから指導を実施している割合も増加している。
指導を実施している先生にどのような内容の指導をしているのかを聞くと「個人情報や顔写真の公開・送信」がもっとも多く、全般的に「情報を受信・閲覧するとき」に比べて「情報を発信するとき」の注意点について指導を実施する傾向があるとしている。

電材流通新聞社が今春実施した全日電材連傘下の主要組合員への「景況アンケート調査」では、「期待できる商品」として「セキュリティ関連」がどの地区においても上位にあがっている。

全国 49.0% 北海道 33.3% 東北 50.0% 関東 56.5% 北陸 50.0%
中部 45.0% 近畿 44.4% 中国 71.4% 四国 33.3% 九州 50.0%

各メーカーにおいても高まるユーザーのニーズに応えるべく、本来持っている技術を応用したセキュリティ関連の製品が数多く発売されている。
今後、さらに高まるニーズに応え続けるためには、「工・製・販」がこれまで以上に連携を密にすることが必要不可欠となる。市場の活性化はもとより、電材業界そのものの活性化にもつながるのはいうまでもない。

電材流通新聞2018年8月30日号掲載