エコ電線、品不足懸念も

4月出荷73%増と動く 石化メーカーは20%増


エコ電線の出荷が上向いてきた。電線工業会がまとめたEM電線ケーブルの月別出荷を見ても2月以降、好調に推移し、前年同月比は2月6・1%増、3月18・4%増、4月は72・7%増と尻上がりに伸びてきた。大手電線問屋の中には「品薄の品種も見受けられる」とした声もある。東京五輪向け各施設や首都圏再開発の案件などの建設工事が、本格的に動き出したことが、背後にあるようだ。


ある大手電線問屋によると「エコ電線は品種やサイズによってはタイトになっている。この背景には、東京五輪、首都圏再開発、インバウンド関連需要などが動き出したことがあるようだ」という。
一方、電線ケーブル用の大手石化材料メーカーも「最近、エコ電線ケーブル用の材料は、前年同月比2割増で伸びている。例年になく、感触が良い」と述べている。加えて、ある大手電線メーカーでは「EM電線やエコ電線ケーブルを、造り切れないような事態には至っていないものの、確かに上向いてきた」としている。
電線問屋や材料メーカー、電線メーカーとも、エコ電線ケーブル需要に関する回答は、業種の違いがあってか、やや温度差があり、マチマチだった。ただ、例年になく、エコ電線が上向いてる点では、全社が一致した。
エコ電線ケーブルの需要は、建設電販向け工事用汎用電線ケーブルの出荷に連動する形で伸長している。

電線工業会がまとめたEM電線・ケーブル(注を参照)の最近の出荷数量統計を見ても、好調に動き出した。前年同月比では、2月6・1%増、3月18・4%増、4月は72・7%増と尻上がりに伸びてきた。
EM電線・ケーブル出荷グラフの月次推移を見ると、季節要因があり蛇行しているが、総じて捉えると、矢印の傾向線のように上昇傾向を示している。
背景には、冒頭で述べたように、東京五輪向け各種施設や首都圏再開発の各プロジェクトなどの建設工事が、本格的に動き出したことがある。さらには電鉄駅舎のリニューアルや改築なども原動力となっている。東京五輪の施設建設は、当初の計画から遅れていることなどを鑑みると、ピーク需要期にエコ電線の品薄感が強まる可能性もあり、懸念を残す。
注=EM電線・ケーブルはJCS規格の25品種が対象であり、機器用、消防用等のノンハロタイプの電線は含まれない。

電線新聞 4168号掲載