【電材流通新聞社実施】平成30年度景況アンケート

電材流通新聞社は4月下旬、全日電材連傘下の組合員を対象に「景況アンケート調査」を実施した。今後については、10月からの消費税増税の影響など、不安材料があるものの、堅調さを維持できるとの見方が強い。そういったことも含めて、今回も例年同様、さまざまな視点から設問し調査した。

質問事項は、①売上高②営業利益③好調の要因④業界の課題⑤対応策⑥期待できる商品(システム)⑦景気の現状⑧景気回復の時期⑨メーカーへの要望⑩工事、卸業界への要望――の10項目。今回は、「関東ブロック(東京含む)」「関東ブロック(東京以外)」「東京地区」のアンケート結果を掲載する。


関東ブロック(東京含む)

売上高 2ケタ増が約7割
積極的な提案営業が奏効
一番の課題は「価格の低下」

回答率は36.8%。
◇売上高(昨年4月から今年3月まで)
2ケタ増が7割近くでもっとも多く、次いで1ケタ減が3割近くとなった。

◇営業利益(同)
売上高とおなじく、2ケタ増が7割強でもっとも多く、次いで1ケタ減が1割強となっている。

◇好調の要因(複数回答)
増収増益企業の好調の要因としては「積極的な提案営業」が6割近くともっとも多く、これに「取引先の増加」が3割強、「高額商品の増加」「経営の効率化」がそれぞれ2割強と続く。

◇業界の課題(複数回答)
いま業界で一番課題となっているのは「価格の低下」が8割強で圧倒的。次いで「異業種の参入」「配送」がそれぞれ5割強で続く。

◇対応策(複数回答)
トップは「営業の見直し」が6割弱で、「提案営業の強化」が5割弱で続いている。
「IoTへの対応」は、1割にも満たなかった。

◇期待できる商品(システム)(複数回答)
「LED照明」「蓄電池」が4割強で並ぶ。続いて、「HEMS」「セキュリティ関連」が4割弱で並ぶ。
「太陽光発電」との回答は、1割にも満たなかった。

◇景気の現状
「景気は悪い」が8割近く、「少し良い」が2割強あった。

◇景気回復の時期(「景気の現状」で「悪い」と答えた人のみ回答)
「全く期待できない」が7割弱、「来年秋以降」が2割強となっている。

関東ブロック(東京除く)

1ケタ減5割、2ケタ増4割
対応策トップは「営業の見直し」
景気の現状は「悪い」が6割

回答率は40.0%。
◇売上高(昨年4月から今年3月まで)
1ケタ減が5割でもっとも多いが、2ケタ増が4割ある。

◇営業利益(同)
売上高とは対照的に、2ケタ増が5割弱でもっとも多く、次いで1ケタ減が3割となっている。

◇好調の要因(複数回答)
増収増益企業の好調の要因としては「積極的な提案営業」と「取引先の増加」が5割で並び、「高額商品の増加」「コスト削減」「経営の効率化」が2・5割で並ぶ。

◇業界の課題(複数回答)
いま業界で一番の課題となっているのは「価格の低下」が8割にのぼり、次いで「取引先の減少」「異業種の参入」が5割、「配送」が4割となっている。
その他では、「同業者間の競争」といった意見があがっていた。

◇対応策(複数回答)
全員が「営業の見直し」が7割、「提案営業の強化」が6割となっている。
「IoTへの対応」との回答は、1割だった。
その他では、「工事業者への指導・研修の強化」といった意見があがっていた。

◇期待できる商品(システム)(複数回答)
トップの「LED照明」「蓄電池」「HEMS」が5割で並ぶ。8割強となり、これに「セキュリティ関連」が4割、「スマートグリッド関連」「4K・8K伝送関連」がそれぞれ3割と続く。
「太陽光発電」との回答は、1割だった。

◇景気の現状
「景気は悪い」が6割ある一方、「少し良い」も4割あった。

◇景気回復の時期(「景気の現状」で「悪い」と答えた人のみ回答)
「全く期待できない」が7割近く、「来年秋以降」が3割強となっている。

◇メーカーへの要望
①安易な値引きや返品ができないシステム作りを
②配送の安定化
③販売ルートの整理
④電子タグ(RFID)の普及
⑤配送費の体系化
⑥AI・IoTの活用と相互の業務効率化

◇工事、卸業界への要望
①配送費の徴収
②返品の乱れの修正
③情報の事前伝達
④働き方改革の推進
⑤共同配達の研究

東京地区

売上高・営業利益 2ケタ増が9割超す
オリンピック需要などが反映か

回答率は34.4%。
◇売上高(昨年4月から今年3月まで)
「2ケタ増」が9割強でもっとも多く、オリンピック需要などを反映した数値となっている。

◇営業利益(同)
売上高とおなじく「2ケタ増」が9割強となった。

◇好調の要因(複数回答)
増収増益企業の好調の要因としては「積極的な提案営業」が6割でもっとも多く、これに「取引先の増加」が3割、「経営の効率化」が2割となった。
「その他」では、「景気が少し良くなっただけ」といった意見があがっていた。

◇業界の課題について(複数回答)
業界の課題としては「価格の低下」が8割を超える。これに「配送」が6割強、「異業種の参入」が5割強と続く。
「その他」では、「供給過多」「働き方改革」といった意見があがっていた。

◇対応策(同)
対応策については、「営業(取扱商品)の見直し」が4割強、「提案営業の強化(工事業者とのタイアップ)」が4割弱となっている。
「IoTへの対応」との回答は、ひとりもいなかった。
その他では、「メーカーが無理な要求をのむことが問題」といった意見があがっていた。

◇期待できる商品(システム)(同)
「LED照明」「蓄電池」「セキュリティ関連」がおなじ4割近くで並ぶ。
このあと、「HEMS」が3割近くで続いている。
また、「スマートグリッド」が2割近くあった一方、「太陽光発電」「EV」はゼロだった。
その他では、「商品の問題ではない」といった意見があがっていた。

◇景気の現状
「悪い」が9割を超えた。

◇景気回復の時期(「景気の現状」で「悪い」と答えた人のみ回答)
「全く期待できない」が7割、「来年秋以降」が2割、「今年秋以降」を超えている。

◇メーカーへの要望
①ネットでの安売りをやめてほしい
②利益を確保しやすい商品の開発
③大手の現場には高く売るという発想の転換を
④品薄にならないようにしてほしい

◇工事、卸業界への要望
①メーカーからの値上げ分を客先にスライドしやすくしてほしい
②運送費を徴収できるようにすべき
③展示会等に足を運んでいただきたい

電材流通新聞2019年6月14日号掲載