【日本配線システム工業会】 第5次中期計画〈2年目〉

昨年度の配線器具市場の年間出荷金額は対前年度比97.9%の965,9億円で、若干のマイナス伸長となった。今回は、そうしたなかでの各メーカーの商品動向や日本配線システム工業会が取り組んでいる第5次中期計画などについて紹介する。


配線器具と密接に関連する新設住宅着工件数は、このところ堅調に推移している。国土交通省資料によると、2018年度は対前年度比0.7%増の95万2936戸で、昨年度の減少から再びの増加に転じた。今年度に入り、6月は前年同月比0.3%増の8万1541戸となっており、国土交通省では「引き続き、今後の動向をしっかりと注視していく必要がある」としている。
昨年度の配線器具市場は、年間出荷金額が対前年度比97.9%の965,9億円となり、若干のマイナスとなった。
日本配線システム工業会による5月の自主出荷統計では、点滅器84.5%、接続器95.4%、住宅用分電盤102.7%、総計93.9%(いずれも対前年同月比)となった。
同工業会では、扱い品目であるHEMS対応住宅盤や、感震機能付住宅盤、電気自動車充電設備、高機能配線器具類の伸びを期待している。2019年度の事業計画のなかで、出荷金額について、消費税増税の影響を考慮し、「点滅器100.1%、接続器100.6%、住宅盤101.3%、その他を含む合計で 100.3%、絶対額で969,2億円」と推定している。

このような環境下、各メーカーでは市場ニーズに合わせた製品開発に取り組んでいる。
パナソニック ライフソリューションズ社では現在、「感熱お知らせコンセント」と「熱線センサ・8Aタイプ微動検知形」を発売している。「感熱お知らせコンセント」は、火が出る前の異常発熱の段階で検知して発火を未然に防ぎ、さらなる温度上昇で負荷への通電を自動遮断する。6月に発売されたばかりの「熱線センサ・微動検知形」は、事務所や教室、トイレなどの小さな動きを検知する機能をそなえる。
東芝ライテックでは、「人感スイッチ天井取付形 広角検知シリーズ」を昨年8月から発売している。同製品は、共用の廊下、ホールやトイレなどに最適で、1台で広いエリアをカバーできる広角検知タイプの人感スイッチ。今年4月には取付カバーを発売し、天井埋め込みができない場所でも設置を可能とするなど商品性を高めている。
アメリカン電機は、電線を壁面から近い場所で這わせることができるL型プラグを使用時に最適な、防水形のカバー開閉式コンセント用プレートを発売している。使用時・未使用時ともに、カバー全閉時に保護等級IPX3の防水性能を有しているほか、カバーは全開位置(120度)で静止させることができ、全閉時には容易に開くことがないように簡易ロック機能がある。また、L型プラグをコンセントにさし込んでいる状態のままでも、カバーの開閉が可能である。さらに意図していないカバーの開閉防止のために、カバー両側面にある施錠穴と南京錠を使うことで、L型プラグ使用時・未使用時どちらの場合にもカバーと本体を施錠することが可能である。
明工社は、すでに紹介している黒いOAタップ(MR7904TJ3BB)は舞台・劇場・撮影現場・オフィスビル等で好評を得ている。さらにハーネスプラグ付のタイプの製品も欲しいとの要望に応え、OAタップ本体・コンセントの駒・コード・プラグ全てを黒で統一したOAタップのハーネスプラグ付を販売することとした。ラインアップとしては、横形OA用抜け止め接地タップ・パイロットランプ・マグネット付・ハーネスプラグ付の4コ口と6コ口、VCTの3mと5mの4種類となっている。
神保電器は、主力製品である「Jワイドスリムシリーズ配線器具」を中心に展開している。標準色のピュアホワイトに加え、メタリック調の3色(シルバー・メタリックブラック・ダークブラウンメタリック)を新たに展開している。彩りと落ち着いた輝きを加えた新色のシリーズである。また今年販売を開始したJワイドスリムスクエアも同じ色を揃えており、好評価を得ている。

一方、日本配線システム工業会では、第5次中期計画の2年目となる今年度、同計画の重点テーマを中心に活動していく。
特に、「新規分野開拓活動」を積極的に推進していく。そのため、「配線システム」の名にふさわしい新たな事業分野拡大を指向する。IoT時代の配線器具として、AIスピーカなど他の機器から配線器具を遠隔操作することが、繋がる基礎となるため、専門委員会を横断して技術委員会などを中心に、配線器具の遠隔操作の安全性を維持する技術的要求事項を日配工でまとめ、提案する。

最重点課題としている第5次中期計画5大活動テーマは次の通り。
①配線システムからの火災事故を撲滅する「安全品質の追及活動」
②交換リニューアル市場を構築する「安全・点検リニューアル活動」
③低炭素社会を配線システムで実現する「環境対応推進活動」
④新しい配線システムの標準化で安心を造りだす「標準化推進活動」
⑤新しい分野の市場を開拓する「新規分野開拓活動」。
そのほか、重点項目として①配線システム及び配線器具に関する生産、流通等の調査及び研究=出荷統計調査(接地極付きコンセント含む)、需要動向・流通動向の早期集計②配線システム及び配線器具に関する技術の調査及び研究=技術動向、技術課題等に関する調査及び研究③配線システム及び配線器具に関する情報の収集及び提供=市場動向、環境問題等に関する情報収集及び提供④配線システム及び配線器具に関する普及及び啓発=日配工の提案する製品の普及と安全点検など使用者への啓発⑤配線システム及び配線器具に関する規格の立案及び推進=各種規格作成委員会活動の推進と取り纏め⑥配線システム及び配線器具に関する内外関係機関等との交流及び協力=国内関係機関及び海外関係機関との協調体制構築⑦前各号に掲げるもののほか、本会の目的を達成するために必要な事業――を推進する。

電材流通新聞2019年11月7日号掲載