総出荷容量 2.73GW(前年同期比109.9%)
総出荷台数 26万3603台(前年同期比117.5%)
日本電機工業会は(JEMA)このほど、2019年度上期の太陽光発電用パワーコンディショナの出荷量動向調査の結果を公表した。
総出荷 容量・台数
2019年度上期の総出荷容量(図1)は2.73GWとなり、前年同期の2.48GWに対して109.9%と増加、総出荷台数(図2)は26万3603台で、前年同期の22万4295台に対して117.5%と増加した。
また、用途別出荷容量(図3)および用途別出荷台数(図4)を見ると、国内住宅向け出荷は容量ベースで前年同期比103.1%(台数ベースで102.2%)と増加、国内非住宅向け出荷は前年同期比容量ベースで113.0%(台数ベースで151.3%)と増加した。
容量帯別出荷容量(図5)および容量帯別出荷台数(図6)を見ると、10kW未満の容量ベースで前年同期比123.7%(台数ベースで119.7%)、10kW以上100kW未満の容量ベースで前年同期比104.9%(台数ベースで95.0%)、100kW以上の容量ベースで前年同期比95.6%(台数ベースで71.5%)となった。
PCSの各仕様の内訳
①単相・三相
単相・三相の区別について図7(容量ベース)、図8(台数ベース)に示す。国内住宅向けは従来どおり単相のみとなっている。国内非住宅向けでは、容量ベースでは三相の割合が高く、台数ベースでは単相の割合が高い。
②直流入力電圧(750V超・750V以下)
入力電圧750V超の割合(図9)は、容量ベースで前年同期44.1%(1094MW)から39.1%(1066MW)と減少、台数ベースでも前年同期4.7%(1万518台)から3.3%(8642台)と減少している。
③自立運転機能
自立運転機能の有無を図10(容量ベース)、図11(台数ベース)に示す。国内非住宅向けにおいて、自立運転機能「あり」の割合が減少した。
④国内生産品・輸入品の割合
用途別国内生産品・輸入品の割合を図12(容量ベース)、図13(台数ベース)に示す。国内住宅向けでは輸入品の割合が容量ベースで25.3%から4ポイント下がり21.3%(台数ベースでは24.7%から3.8ポイント下がり20.9%)となった。国内非住宅向けでは、輸入品の割合が容量ベースで43.9%から変わらず(台数ベースでは38.1%から10.2ポイント下がり27.9%)となった。
次に、容量別国内生産品・輸入品の割合を図14(容量ベース)、図15(台数ベース)に示す。10kW以上100kW未満の容量帯で輸入品の割合が高い状況が続いている。なお、今回の調査では、輸入品の定義として次の事項を定めている。
(1)国内企業が海外の生産拠点で生産して出荷したもの
(2)一度海外に輸出したものの再度日本に輸入されたもの
(3)海外メーカの日本法人としてまたは代理店として仲介し出荷するもの
容量帯別出荷量
図5・図6をさらに細かく分類した容量帯別出荷量を図16(容量ベース)、図17(台数ベース)に示す。特に500kW以上750kW未満の容量帯の前年同期比が、容量ベース、台数ベースともに大幅に減少したが、750kW以上においては容量ベースで増加し、1台当たりの容量が前年同期の約1.10MWから約1.55MWに増加している。10kW未満の容量帯においては、容量ベースで123.7%(台数ベースでは119.7%)と増加した。
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2019年度上期調査結果は、容量ベース、台数ベースともに増加という結果となった。国内非住宅向けは容量ベースで減少傾向にあったが、2018年度下期から増加となった。国内住宅向けも容量ベースで2018年度上期から前年同期を上回っている。
2012年7月から新たに設備認定された事業用太陽光発電システムは、2019年6月末までの7年間で累積3万9401MW、58万7686件、住宅用と合わせて4万5685MW、194万543件が運転を開始した。課題であったFIT未稼働案件に運転開始期限が設けられたこともあり、事業用はその認定量(6万5305MW、73万4953件)に対し容量で6割、件数で8割の導入が図られた。
このFITによる太陽光の売電価格は、経済産業省の調達価格等算定委員会を通じて設備認定年度ごとに定められている。
発電コストの低下が反映され、2019年度も500MW以上は入札、10kW以上500kW未満については1kWhあたり14円+税である。高圧受電の電気料金を下回る水準の発電コストが見えたことで、電力を消費する側の事業者自らが自家消費目的で太陽光発電システムを導入、あるいは第三者が設備を所有する形で安価な再エネ電力供給を受けるTPO(Third Party Ownership)、PPA(Power Purchase Agreement)によるビジネスも利用されている。
太陽光発電システムは、経済合理性とレジリエンスも併せ持つ、再エネ分散電源に進化できたことで、脱炭素社会構築に向けた主力電源として、さらなる導入拡大が期待されている。