令和2年建設業活動実態調査

国土交通省はこのほど、令和2年建設業活動実態調査の結果を公表した。この調査では、建設業許可業者のなかで大きな市場シェアを有するとともに多角化・国際化等の面で実績を有する大手建設業者を対象に、企業活動の実態を調査している。         (一部既報)

1、人員の状況(子会社・関連会社を除く)

①業種別・職種別従業者数
調査対象企業合計17万7141人(前年比1・8%増)であり、その業種別の内訳は、総合建設業11万5073人(同1・6%増)、設備工事業6万2068人(同2・2%増)、また職種別の内訳は、事務職3万9474人(同0・4%増)、技術職12万946人(同2・1%増)、技能職1万4755人(同3・3%増)、その他1966人(同0・5%増)となった。

②業務部門別常時従業者数
常時従業者数は、国内17万640人(前年比1・8%増)、海外6501人(同0・8%増)であった。そのうち、国内の内訳を見ると、設計・エンジニアリング部門2万2727人(同2・9%増)、本社の分社化による関連企業部門786人(同17・4%減)、兼業部門4593人(同3・5%増)、研究部門2633人(同5・0%増)、情報処理部門1523人(同12・2%増)、海外事業部門1259人(同0・4%増)、上記以外の国内建設事業・その他の管理部門13万7119人(同1・6%増)であった。

②—1 国内在住外国人社員の国籍及び受け入れ目的
国内在住外国人労働者を擁する企業は53社中47社であり、外国人労働者の総人数は795人であった。その内訳を国籍別に見てみると、中華人民共和国353人、ベトナム社会主義共和国98人、大韓民国88人の順になっている。
職種別では、技術職667人、事務職89人となっており、大半が技術職となっている。さらに具体的な業務別に見ると、施工・施工管理444人、設計・積算167人、事務69人、研究56人、営業20人の順となっている。

2、多角化の状況(子会社・関連会社を除く)

①事業別国内売上高
国内売上高の総額は16兆8148億円(前年比3.5%増)で9年連続の増加となった。事業別に内訳を見ると、土木建築工事が12兆5937億円(同2.5%増)、設備工事業が3兆6207億円(同7・5%増)であった。
また、建設工事以外の売上げは、建設関連業が1442億円(同10.4%増)、不動産業、設備機器の製造・販売等のその他の事業が4562億円(同0.5%減)であった。

②設備投資の状況
設備投資額は4051億円(前年比22.4%増)となり、6年連続の増加となった。分野別に内訳を見ると、研究所276億円(同23.5%増)、資機材センター31億円(同1.7%増)、情報センター5400万円(同89.2%減)、その他の設備投資3744億円(同22.7%増)となった。
その他の内容としては、機械設備・器具等290億円(同11.2%減)、社屋等の業務用土地・建物923億円(同20.9%増)、情報システム関連設備131億円(同86.3%増)、その他2400億円(同26.9%増)であった。

3、国際化の状況

①海外建設事業の契約金額
海外へ展開している会社は47社ある。海外建設事業の契約金額の総計は2兆5066億円(前年比4・4%増)となり3年連続の増加となった。

②海外建設市場の状況
今後の展開として、拡大としたのは34社と、令和元年の32社から2社増加した。
また、海外建設事業で解決しなければならないと考えている事項として「現地での労務管理・教育」の回答が最も多く、今後の海外展開において重点・比重を置く項目として「情報収集・調査・コミュニケーション能力」との回答が最も多かった。
海外建設事業について、「受注高の多い国と地域」と「受注高を伸ばしたい国と地域」は、ともに東南及び東アジアが上位を占めており、同地域への関心の高さがうかがえる。

③資機材の輸入高
資機材の輸入高は858億円(前年比10.0%増)であった。

4、技術開発等の状況(子会社・関連会社は除く)

①工業所有権の自己開発所有件数・年間出願状況・年間取引件数
●(1)工業所有権の自己開発所有件数
工業所有権の自己開発所有件数は、合計は1万8275件(前年比0・7%増)で、3年連続の増加となった。その種類別に内訳を見ると、特許権1万7570件(同0・4%増)、実用新案権138件(同4・8%減)及び意匠権567件(同15・2%増)であった。

●(2)自己開発工業所有権の出願目的及び共同開発パートナー
 ▽特許・実用新案権
出願の目的(重複回答)は、「施工品質高度化・耐久性向上」(33社)、「新技術・新素材の活用」(25社)、「設計・施工の情報化」(25社)の順であった。
共同開発の場合の主なパートナー(重複回答)は、「ゼネコン」(30社)、「大学」(26社)、「建設資材メーカー」(23社)の順であった。
 ▽意匠権
出願の主な目的(重複回答)は、「建築」(13社)、「土木」(6社)、「その他」(6社)の順であった。
共同開発のパートナー(重複回答)は、「建設資材メーカー」(8社)、「設備機器メーカー」(2社)、「建設機械メーカー」(1社)、「外国企業」(1社)であった。

●(3)工業所有権に係る実施権の取引
工業所有権を導入した件数は56件(前年比28.2%減)、供与した件数は405件(同59.6%減)であった。

●(4)工業所有権の取引による収入
工業所有権の取引による収入があった企業は、36社であった。収入は、合計で9億9222万円(前年比18.0%増)で、その内訳は総合建設業が9億8320万円、設備工事業は902万円であった。

②環境保全への取組み

特に力を入れている取組みを3項目以内で挙げてもらったところ、「環境負荷要因の削減等に関する目標・計画設定・監査」(32社)、「社内の環境保全啓発活動、研修の実施」(26社)、「廃棄物・建設副産物の再利用及び再利用計画の策定、調査、再利用の奨励・指導」(19社)等の回答が多かった。

5、企業集団の状況

 ①子会社及び関連会社の状況

●(1)子会社及び関連会社の有無
子会社・関連会社のいずれか又は両方を有する企業は53社中51社であった。

●(2)子会社及び関連会社の1年間の増減数、直近の期末の現在数
子会社の増減は、130社増、51社減の79社純増で1315社、関連会社は53社増、33社減の20社純増で427社であった。
国内・海外別では、国内にある子会社は52社純増の813社、海外は27社純増の502社であった。国内にある関連会社は3社純増の340社、海外は17社純増の87社であった。

●(3)子会社及び関連会社の増減形態について
子会社及び関連会社の増減の形態を見ると、増加の形態は、「自社グループのみによる設立」が多く、減少の形態は、「通常精算」の回答が多かった。

●(4)子会社及び関連会社の事業領域について
子会社及び関連会社の事業領域について(重複回答)は、「その他の非製造業」(33社)、「金融・保険」(27社)、「ゼネコン」(25社)、「資機材・車両等販売」(25社)の回答が多かった。

電材流通新聞2021年10月28日号掲載