水銀に関する水俣条約
2018年4月19日
2013年10月10日に熊本県で開催された国連環境計画(UNEP)の外交会議で、
水銀汚染防止に向けた国際的な水銀規制に関する
「水俣条約(Minamata Convention on Mercury)」が採択されました。
条約の発効には50カ国以上の批准が必要なため、日本では水銀の取り扱いに関する法整備に着手し、早期の批准を目指しています。※2016年2月2日 水銀に関する水俣条約の締結の閣議決定がされました。
水俣条約の主な内容
電池、化粧品や血圧計など水銀を含む9種類の製品の製造・輸出・輸入を2021年以降禁止
- 輸出の際は輸入国の事前の書面同意を義務づけ
- 歯科用水銀合金の使用を削減
- 小規模金採掘は使用を削減し可能なら廃絶
- 新規水銀鉱山の開発禁止
- 既存鉱山からの産出は発効から15年以内に禁止
- 石炭火力発電所からの水銀排出削減
- 50カ国が批准してから90日後に発効
照明に関しては
- 一般照明用の高圧水銀ランプの製造・輸出・輸入を2021年以降禁止
- メタルハライドランプ・高圧ナトリウムランプは規制対象外
- 紫外線ランプなど一般照明用以外の特殊用途用ランプは規制対象外
- 蛍光ランプは、水銀封入量を規制(5~10mg)
次に該当するランプの製造・輸出・輸入を2021年以降禁止。
一般照明用※1の高圧水銀ランプ(HPMV)
※メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプなどは含みません。LEDまたはセラミックメタルハライドランプなどの高効率光源へ切り替えが必要です
次に該当するランプの製造・輸出・輸入を2017年末日までに禁止。
30W以下の一般照明用※1コンパクト蛍光ランプ(CFL)
・水銀封入量が5mgを超えるもの
※コンパクト蛍光ランプには電球形蛍光ランプも含みます。一般照明用直管蛍光ランプ(LFL)
・60W未満の3波長蛍光体を使用したもので、水銀封入量が5mgを超えるもの
・40W以下のハロリン酸塩を主成分とする蛍光体を使用したもので、水銀封入量が10mgを超えるもの日本のメーカーは、ほとんど※2のランプが規制値以下
引き続き製造・販売が可能※1「報告書案」の中で、「一般照明用」とは「照度を確保するためのものであって、高演色用及び低温用その他特殊の用途にのみ用いられるもの以外のものをいう。」と定義されています。
※2「ほとんど」とは、日本照明工業会会員の製造販売するランプを指します。弊社商品への影響
弊社商品の中では、高圧水銀ランプに分類される、一般照明用の以下の製品の製造・輸出入が禁止されます。一方、セラミックメタルハライドランプなどの商品は影響を受けません。
※高圧水銀ランプとは…ガラス管内の水銀蒸気中のアーク放電により発生する光放射を利用した光源。主に一般的な水銀ランプを指します。× 製造・輸出入禁止
アイ 水銀ランプ
セルフバラスト水銀ランプ
ツインマーキュリー
アイ ツインアーク○ 製造・輸出入可
セラミックメタルハライドランプ
- FECセラルクスエースシリーズ
- セラルクスシリーズ
- ツインセラルクス
- CDM-R
メタルハライドランプ
- ハイラックス
- アイクリーンエース
- FECマルチハイエースH
- UVカット形 FECマルチハイエースH
- FECマルチハイエース
- アイ マルチハイエース
- 電子安定器用 アイ マルチメタルランプ
- クウォーツアーク
- アイ マルチメタルランプ
- UVカット形 アイ マルチメタルランプ
高圧ナトリウムランプ
- FECツインサンルクスエース
- FECサンルクスエース
- アイ サンルクスエース
- アイ スペシャルクス
- アイ サンルクス
蛍光ランプ
(直管形・コンパクト形蛍光ランプ)※特殊用途ランプ
- 高圧水銀ランプ
- 紫外線ランプ など
※直管形蛍光ランプ・コンパクト形蛍光ランプは水銀を含んでいますが、岩崎電気の直管形蛍光ランプ・コンパクト形蛍光ランプは水銀封入量が規制値(5~10mg)以下となりますので、引き続き製造・販売が可能です。
なお、水銀条約にかかわらず弊社として「蛍光ランプ」の生産終了を決定しております(最長で2019年9月末)。水銀ランプ[2020年]アイコン(カタログやウェブサイトでの表示)
規制の対象となるページには左のアイコンを表示しております。購入される前に規制の内容をよくご確認ください。
水銀を海に流したことにより多くの人が水銀中毒となった水俣病の名前を取って2013年に締結された水俣条約は、世界各国で一般照明用の高圧水銀ランプの製造、輸出入を2021年までに全面的に禁止するという法律です。
日本でも、2016年に正式批准が閣議決定され、条約による国内の法整備が始まります。
高圧水銀ランプを製造する岩崎電気でも、この条約の対象となる製品の製造の段階的な中止と、輸出禁止の適用となります。
同時にこれから新規や修繕で高圧水銀ランプを設置する場合は水俣条約の対象製品であるかをよく確認する必要があります。
将来的な計画でランプ設置がある場合、過去の設計ではランプが高圧水銀ランプとなっている可能性もありますので注意が必要です。
今までも高圧水銀ランプの代わりとなる光源が見つからなかったため、水俣条約のような水銀規制は進んでいませんでしたが、LED照明が一般的になった昨今では、こうした条例も手伝って水銀ランプは徐々に姿を消していくものと考えられます。
公式プレスリリースはこちら: 水銀条約 – 水銀に関する水俣条約について