銅価上昇や円安が増収に寄与 価格転嫁の進捗が明暗分ける
中堅電線メーカー6社の22年度第3四半期業績(一部2月期あるいは暦年第3四半期)が出揃った。営業益ベースで6社中4社が増収増益、2社が増収減益となった。銅価上昇や円安が増収に寄与した。なお、本紙では従来、「中堅7社」として扱ってきたが、買収に伴って東京特殊電線が非上場となったため、今回から同社を除く「中堅6社」とした。
中堅6社の決算を、増収増益の4社からみると、平河ヒューテックは、売上高246億9千400万円(前年同期比15.3%増)、営業利益23億8千100万円(同38.0%増)となった。半導体検査装置ケーブル、産業機器用ケーブルなどが堅調に推移した。
JMACSは、売上高38億5千923万7千円(前年同期比9.4%増)、営業利益2億3千783万6千円(同126.8%増)となった。計装ケーブルや交通信号線の売上が好調だった。
オーナンバ(12月決算)の通期連結業績は、売上高436億3千800万円(18.1%増)、営業利益25億2千800万円(同128.8%増)となった。サプライチェーンの改善が寄与した。
カナレ電気(12月決算)の通期連結業績は、売上高111億6千700万円(前年度比11.3%増)、営業利益11億7千700万円(同16.6%増)だった。国内外で放送関連市場が活況だった。
次に増収減益の2社をみると、タツタ電線は、売上高465億9千100万円(前年同期比3.2%増)、営業利益13億5千600万円(同43.6%減)となった。昨年10月発表の通期予想を下方修正し、前回発表比では2割の減益とした。
三ッ星は、売上高74億5千万円(前年同期比7.7%増)、営業利益1億2千800万円(同40.0%減)となった。電線事業は7.5%増収も、セグメント利益が同66.5%の減益となっている。金融引き締め、物流の混乱とコスト上昇、半導体不足、原材料の高騰、円安などが響いた。
今回の中堅6社の決算では、販売量は減少しても、銅価上昇により増収となる企業が目立った。利益面では、価格転嫁の進捗が明暗を分けた。