古河電工は1月26日、ラマン増幅器用励起光源FRL1441Uシリーズについて、新たにU帯用途を開発したと発表した。1月からサンプル出荷し、S帯・C帯・L帯用とともに4月から量産を開始する。また、レーザチップ設計の最適化を図り、C帯での35℃動作において1Wファイバ出力を達成し、さらなる低消費電力駆動を可能とする励起光源を開発した。
FRL1441Uシリーズは、S帯・C帯・L帯において、既存のラマン増幅器用励起光源と比べて消費電力を37%削減しており、また、デュアルポート光源の開発により従来は2台必要だった励起光源を1台に置き換えることで省スペース化を可能にした。
今回、さらなる帯域拡張に対応するため、より高出力化が課題となるU帯用ラマン増幅器用励起光源(波長範囲1千520—1千545nm)をラインナップに加えた。
また、C帯において、35℃での4A駆動時には従来製品のファイバ出力は800mWだったが、レーザ素子設計の最適化により1Wを達成した。
同製品は従来同様、14ピンバタフライパッケージでの製品開発を行い(写真参照)、無効電力を削減し、さらなる低消費電力化に貢献する。
また、構造設計を最適化することでレーザチップの電気抵抗を10%以上低減し、より低消費電力駆動で高出力動作が可能なレーザチップを開発した。開発には、25年以上培ってきたInP系光半導体材料を用いた光半導体プロセス技術と高精度のファイバ結合技術に加え、独自の低損失・高効率の半導体レーザ素子構造が採用された。また、特許取得済みの高効率動作の半導体レーザ素子構造の設計最適化が生かされている。
通信伝送速度の高速化に伴い、信号光の品質を劣化させずに光出力を増幅するラマン増幅器がより重要となってくる。高速伝送により信号の波長幅が拡がるため、大容量伝送を行うためには波長帯域の拡大が必要となり、励起用光源の波長を選択することで任意の信号光源を増幅できるラマン増幅器には高い柔軟性が求められる。一方で、U帯への帯域拡張により、使用される励起光源の数が増加するため、高出力低消費電力駆動であることが重要になる。