【インタビュー】「業界のアイコンとなる人物が必要だ。」 ヨッシー親方【株式会社CiRCUS 代表 鍔田 佳宏(つばた よしひろ)】

はじめに

建設系YouTuberで主にスーパーゼネコン案件のビル断熱工事、保温工事を行う親方で、TikTokなど総フォロワー約3万人の『ヨッシー親方チャンネル』を運営中のヨッシー親方こと鍔田 佳宏氏にお話を伺いました。YouTubeとTikTokではこれから建築業に携わる人に建築業を動画でわかりやすく紹介しています。

ヨッシー親方【株式会社CiRCUS 代表 鍔田 佳宏(つばた よしひろ)】

きっかけは求人情報

聞き手:ヨッシー親方様が「断熱屋」になろうと思ったきっかけは何ですか。

ヨッシー親方:今の仕事をする前は工場の夜勤で働いていましたが、日勤の仕事をやりたいと思い求人情報を開いた際に、家の近くにあったのが配管屋と断熱屋の2社で両方に電話をかけました。ですが、どちらにも繋がらず、折り返しかかってきたのが断熱屋の親方でした。

聞き手:もしそこで、配管屋さんから電話が先にあったら配管屋さんになっていた可能性もあるということですね(笑)

ヨッシー親方:そうですね(笑)それまで建設業はやったことなかったのですが、電話をかけた断熱屋さんの謳い文句が「道具も少なく、移動もすいすい、働き方自由」みたいなキャッチーなフレーズで「なんだ!?働き方自由って!」と気になって応募しました。はじめは手に職をつけて5年くらいで独立をしたいと考えていましたが、親方が優しく同僚の方々の人柄にも恵まれ約10年親方のもとで働いてから独立しました。

通常はこの業界のことを「保温屋さん」と呼ぶのですが、業界を知らない方には「本屋さん」に聞き間違われることが多いので、あえて「断熱屋」と言っています。

聞き手:ということは空調関係とかになるのでしょうか。

ヨッシー親方:そうですね。商業施設やビルなどの空調・衛生の配管やダクトに断熱材を巻いたり、主にスーパーゼネコンさんの仕事が9割です。

意外なニーズに刺さり広がったYouTube動画

聞き手:次にYouTubeを始めたきっかけを教えてください。

ヨッシー親方:コロナ禍で2週間現場が止まってしまった際、親方として現場以外で保温の仕事を教えるにはどうしたらいいかと考え、昔副業でブライダル系の動画編集をしていたこともあり、業界についての動画を作ってみようと思いました。また、その動画をYouTubeにアップしたらこの業界のことをもっと多くの方に知ってもらえるのではないかと思いYouTube投稿を始めました。建設業界のYouTuberは既にたくさんいるのですが、保温屋さんというニッチな職業はだれにも刺さらないと思ったので、建設業のこと全体を中心に、女性や若い方でも見やすいアニメーション動画にしました。

聞き手:アニメーションの動画すごくわかりやすかったです。

ヨッシー親方:ありがとうございます。はじめは全然再生回数が伸びなくて、チャンネル登録者も僕の別アカウント含め、3人しかいなくて…ちょっと落ち込んだりしましたが、ある日、お世話になっている行政書士の先生にこう言った動画を作成していると話したら、是非見せて欲しいと言われて、試しに見せてみたんです。そしたら、「すごくわかりやすい!これは建設業界の仕事を担当している他の行政書士の人たちにも見てもらいたい!」とその方がいろんな方に僕の動画を紹介してくださって、行政書士の先生の界隈で広まり、徐々に登録者数が伸びました。その後、若い世代はTikTokのような短い動画の方が見やすいかなと思って、TikTokもはじめて、おかげさまでTikTokは約2万人の登録者数がいます。今はTikTok からYouTubeを見に来てくれる方も多いです。

聞き手:すごいですね。層が二つに別れているのがおもしろいですね。

ヨッシー親方:SNS関係は、どこで当たるのか分からないので知ってもらうのがいかに大事か感じます。なので、僕のYouTubeは行政書士の先生と建設業界の方がほとんどです。他にも、建設DXの建設業者向けにセミナーにも登壇して講師としても活躍しています。

この人と働きたいと思ってもらえるように

聞き手:最後に建設業界の課題について何かございますか。

ヨッシー親方:僕の中で2つ課題があって1つ目は人材不足。特に保温屋はニッチな業界なので、知らない方も多く人集めが難しいです。今の若い人たちは「なにをしたいかがわからない。でもやりたくないことはたくさんある」という人が多いので「この人となら働きたい」と思えることが大切だと感じています。僕の社員のうちの2人はSNSを見て僕の元で働きたいと言って来てくれました。働いている人たちの、人となりがわかることが今後差別化のポイントになると思います。

聞き手:一般の人々がこの業界に入ってもらうために中の人たちが盛り上げて頑張っていきたいですよね。

ヨッシー親方:まだ大工や電気屋は人気が高いのですが、その他の建設業はそもそも入りたい人が少ないです。例えば、ハンバーガーといえばマクドナルドみたいに、建設業界のアイコンになるような人がでてきて、若い人たちや未経験の人たちに魅力をもっと発信していかなくてはいけないと考えています。

2つ目は高齢化。職人さんのセカンドキャリアが課題でこの業界はまだまだ言語化するより「見て覚えろ」の世界なので、技術はあるのに伝承されてないことが多いのが課題です。引退された職人が先生となって技術を繋いでいくのにも限界があると思うので、技術や知識を動画に残して、次の世代にバトンを繋ぐことをこれから業界全体でやっていかなくてはいけないことだと思っています。

ヨッシーさんは、今後も動画を通じて建設業界のあれこれをわかりやすくご紹介される予定ですので、是非チャンネル登録をして動画をチェックしてください!!

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TikTok: @yoshi_oyakata