国交省は、大地震時に防災拠点等となる建築物について、大地震時の安全性確保、機能継続確保のための、企画・設計・管理時におけるガイドラインを取りまとめた。
今後、地方公共団体や建築関係団体等に対し、説明会の開催等により周知していくとしている。
●ガイドラインの概要
熊本地震など、これまでの大地震においては、倒壊・崩壊には至らないまでも、構造体の部分的な損傷、非構造部材の落下等により、地震後の機能継続が困難となった事例が見られた。大地震時に防災拠点等となる
「防災拠点建築物(庁舎、避難所、病院等)」は、大地震時の安全性確保に加え、地震後も機能を継続できるよう、より高い性能が求められている。
このため、国土交通省では、昨年7月に検討委員会を設置し、防災拠点建築物について、大地震時の機能継続を図るにあたり、必要となる事項について検討を行い、今回、建築主、設計者および管理者の参考となる事項をガイドラインとして取りまとめたもの。
●ガイドラインの構成
ガイドラインの構成は、ガイドライン本文・解説と付録 ①、② から構成される。
ガイドライン本文・解説では、ガイドラインの本体と防災拠点建築物の機能継続を図るにあたり、企画・設計・管理の各段階において、参考となる基本的な事項を示す。
電気設備が関連する「8.設備計画」では、大きな補修をせず機能継続できるよう設計することや、機能継続を図ることが必要な部位を特定し、設備システム全体を俯瞰して対策すること、構造体の変形に追従するとともに、地震力等に対し必要な安全性および機能継続性を確保。
また、力の集中や共振を考慮して、余裕を確保することなどが書かれている。
さらに、対象建築物のライフライン(電力、ガス、上下水道等) の途絶時における機能継続、円滑な復旧を実現するため、エネルギー源・水源の確保、仮設設備・補給への対応性の向上等の対策を講ずること。
想定を超えた場合にも対応できるよう、システムの並列冗長化・分散化、また、一部の不具合が全体の機能喪失に波及しにくい構成や、代替設備の導入が容易な構成とすることが書かれている。
また付録 ①では、参考となる既往の指針等がまとめられている(第1 表)。
さらに付録 ②「参考事例集」では、近年建築された庁舎、避難所、病院等の建築物で、防災拠点としての機能継続に配慮されている例(プロジェクト)を紹介。
併せて、個別の建築設備やシステム等の要素技術についても、建築物の機能継続に有用と考えられるものを体系的に整理して紹介。