【TDK】サージアレスタの使用例を記載したテックノートを公開

ESD/サージ保護デバイスの使用方法:サージアレスタ

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サージアレスタはGDT(ガス入り放電管)の電圧保護デバイスです。TDKは、電源ライン用の雷保護から信号ライン用の雷保護まで、さまざまなサージ電流耐量を備えた製品を豊富にラインアップして提供しています。
サージアレスタはGDT(ガス入り放電管)の電圧保護デバイスです。TDKは、電源ライン用の雷保護から信号ライン用の雷保護まで、さまざまなサージ電流耐量を備えた製品を豊富にラインアップして提供しています。

サージアレスタの特長

ガス入りサージアレスタは、アーク放電の原理で動作し、電気的には電圧依存のスイッチとして機能します。
アレスタに印加される電圧が放電開始電圧を超えると、ナノ秒間のうちに、密封放電容器内でアークが発生します。発生したアークは短絡回路を形成して全電流を流し、瞬時に過電圧を除去します。放電が散逸すると、アークは消滅し、内部抵抗はすぐに数100MΩの値に戻ります。
このように、サージアレスタは保護素子に必要なすべての要件をほぼ完全に満たしています。サージアレスタは過電圧を許容レベルにまで確実に制限し、通常の動作条件下ではその高い絶縁抵抗と低い静電容量により、被保護システムに実質的に影響を与えません。

アプリケーション例:通信インフラのサージ保護
アプリケーション例:電源用サージ防護デバイス(SPD)
アプリケーション例:太陽光発電システムのパワーコンディショナの電圧保護回路
アプリケーション例:Ethernetインタフェースの過電圧保護

アプリケーション例:通信インフラのサージ保護

ガス入りサージアレスタは、電気通信設備を保護するための基本的な素子です。繊細な電子回路をもつITシステムや電気通信システムを保護するために、通信線との接続点にサージアレスタが使用されています。さらに、これらの保護素子は、携帯電話システムの基地局、中継器や分配システムを備えた広域ケーブルテレビ(CATV)網、また、その他の分野においても、繊細な機器およびシステムを保護するために不可欠です。

図1 通信システムにおけるサージアレスタの主な使用箇所

バリスタとは異なり、サージアレスタは静電容量が小さく(最小0.2pF)、高周波信号には影響を与えません。したがって、CATVや高速通信回線のサージ保護に適しています。以下に、2極アレスタおよび3極アレスタを使用した保護回路の例を示します。

図2 サージアレスタ(2極)によるCATV同軸ケーブルの保護回路例

図3 サージアレスタ(3極)による高速通信回線の保護回路例

アプリケーション例:電源用サージ防護デバイス(SPD)

雷サージや他の過大な過渡現象からデバイスを保護する電源用のサージ防護デバイス(SPD)には、バリスタとともにサージアレスタが使用されています。単相AC電力線および三相AC電力系統への接続の例を以下に示します。プラグインSPDは分電盤や配電盤によく使用され、バリスタやサージアレスタはデバイス内部で使われています。

図4 電源用SPD(単相AC)

図5 電源用SPD(三相AC)

アプリケーション例:太陽光発電システムのパワーコンディショナの電圧保護回路

太陽光発電システムのパワーコンディショナは、DC電源に対するサージ保護のアプリケーションの一例です。ソーラーパネルによって生成されたDC電流はパワーコンディショナに供給され、DC-DCコンバータで昇圧され、インバータによってAC電力に変換され、電力網に供給されます。誘導雷サージや他の激しい過渡現象からパワーコンディショナ回路を保護するため、パワーコンディショナ内にはバリスタとアレスタを組み合わせた電圧保護回路が接続されています。

図6 太陽光発電システムに対するサージ保護のアプリケーションの一例

アプリケーション例:Ethernetインタフェースの過電圧保護

TDKは、データインタフェース保護用に特別設計された、2極および3極のEPCOSサージアレスタを提供しています。これらの素子は、小型SMDハウジング、高サージ電流耐量、高絶縁抵抗、低静電容量を特長としています。
代表的なアプリケーションとして、ルータやスイッチのEthernetインタフェース、パッチパネル、モデム、PCおよびノートPC、セットトップボックス、IPTV、CCTV、無線LANアクセスポイント(WLAN-AP)などがあります。

図7 Ethernetインタフェースの過電圧保護

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■ サージアレスタ 製品情報

TDKグループのサージアレスタについて各種情報を総合的にご案内いたします。


サージアレスタは、アーク放電をすると空気中のギャップの抵抗値が下がることを利用した雷保護装置です。
通常時は気中のギャップにより、アースと回路の絶縁が保たれていますが、異常高電圧が回路に流れ込んだ場合、アーク放電を行うことで異常電圧がアース側へ逃れる仕組みとなっているのがサージアレスタです。
通常のアレスタとの違いは、アースとは完全に切り離されているため、アースからの回り込みがないことが特徴です。
また、静電容量も少ないため、サージアレスタ設置による通信線への影響が最も少ないとことが大きな特徴です。
この特徴より、サージアレスタは電話線の通信線やケーブルテレビの加入者ケーブルなどの避雷器として使用されています。
アレスタは非常時に機材を異常電圧から守るというのも役割ですが、通常時の通信への影響を最小限とするということも同時に満たす必要があります。

公式プレスリリースはこちら: サージアレスタ:「サージ保護デバイスの使用方法:サージアレスタ」が公開されました。