アイキャッチ:「インターホン・オブ・ザ・イヤー」受賞社
第19回インターホン・オブ・ザ・イヤー受賞製品も決まる
インターホン工業会(市川周作会長)は11月27日、東京・港区のTKPカンファレンスセンターにおいて「第19回インターホン・オブ・ザ・イヤー表彰式」を開催し、受賞製品を発表した。インターホンの最新技術を結集した受賞製品を紹介する。
「インターホン・オブ・ザ・イヤー」は、インターホンの技術進歩・市場拡大に貢献または魅力的であると認められた商品を選定、表彰し、インターホン業界の活性化を図る事を目的としている。
表彰商品の選定にあたっては開発・改良によって次の各貢献項目を満たした商品、あるいは各事項のうち特に抜群の成果があると認められた商品を基準とする。
◇システム部門・単品部門
①開発貢献度
製品開発・改良の面で独創的、学術水準の高い優れた技術による斬新かつ画期的なインターホンであること。
②市場貢献度
社会のニーズに合致したヒット商品として市場に受け入れられ、且つ、業界からも評価を得られた優れたインターホンであること。
③社会貢献度
社会の要請に迅速に対応して、業界のイメージ高揚に著しく貢献したインターホンであること。
◇特別賞
①インターホン
当期間に市場拡大貢献、話題性や時流にマッチした商品、特長あるロングラン商品のいずれかに該当すること。
②インターホンに関連する商品
インターホン市場に貢献した商品であること。
今年度は、単品部門の最優秀賞にはパナソニック アプライアンス社の「ワイヤレステレビドアホン VL-SGZ30シリーズ」が選ばれた。
システム部門の最優秀賞は、アイホンの「VIXUS-1Pr(VIXUS HORIZO&らくタッチPlus)」。開発貢献賞にはナカヨの「集合住宅向けIPインターホン」が選ばれた。
インターホンその他部門の特別賞は、アイホンの「見守りカメラ」が受賞した。
各受賞製品の特長と受賞ポイントを紹介する。
単品部門 最優秀賞
「ワイヤレステレビドアホン VL-SGZ30シリーズ」
パナソニック アプライアンス社
【特長】
①ワイヤレスで配線不要
モニター機とワイヤレス玄関子機が無線接続なので配線工事が不要
②集合住宅への一括設置に対応(VL—SGE30KLのみ)
密集して設置をしても干渉しにくい無線仕様に変更することで、集合住宅への一括設置に対応できる
③外出先でもスマホで来訪者(VL—SGZ30Kのみ)
インターネットに接続された無線ルーターにホームユニットをつなぐことで、外出先でもスマホでリアルタイムに映像と音声で来客応対ができる。
【受賞のポイント】
①住宅の防犯性能を簡単に向上できるよう、集合住宅等の密集した環境での利用や、外出先からも来客応対ができる機能を実現することで、インターホンの機能を向上させたことを評価した
②新聞、業界誌への記事化、ラジオ、テレビCMなどで、テレビドアホンを使用していないユーザーへワイヤレステレビドアホンの認知度を高め、ベル・チャイムからの買い替えを促進することにより、テレビドアホンの新規需要を創出し、市場拡大に貢献したことを評価した
③工事を伴うインターホンが設置できないユーザーにも便利で安心な暮しを提供するとともに、電池交換時期を事前にモニター機やスマートフォンに通知、さらに、電池交換方法をモニター機に表示することで、ユーザビリティを向上させたことを評価した
システム部門 最優秀賞
「VIXUS−1Pr(VIXUS HORIZO&らくタッチPlus)」
アイホン
【特長】
同一幹線により共用部機器を共有し、デザイン、機能の両面で、新築向け・既築向け等、それぞれのニーズに対応した商品選定を可能にした。
□VIXUS HORIZO(ヴィクサス ホリゾ)
①コンパクト化を追求した最適な部品採用と配置使用する部品及び部品配置を最適化することにより基板を小型化し、更に操作系をタッチパネル化する事で、メカニカルボタンを減らし、意匠の自由度を上げ、横型かつコンパクトなデザインを実現した
②集合住宅システムでは例を見ない横型かつシンプルモダンなデザイン採用により、照明スイッチや床暖房リモコン等との一般的な配置設計においてバランスよくまとめられる点が、住空間のデザイン性を求める顧客からの高い評価に繋がった
③待機時消費電力の大幅な削減=使用部品・回路構成の見直により電力の高効率化を実現し、待機時消費電力を従来機種に比べ約45%削減した
□らくタッチPlus
①業界初の奥行34・8㎜
従来機種厚さ45㎜から10㎜以上の薄型化を図り、デザイン性を向上させた。加えて取替え時の壁面日焼け跡を隠せるように縦横寸法を設定した
②来客画像記録は高画質のVGA動画
来客映像を動画録画することで、来訪者の顔を任意の位置で一時停止し、人物判別しやすいものとした
③お薬ベル機能搭載
あらかじめ設定した時間に画面とアラーム音で薬を飲む時間を通知し、忘れがちな薬の服用を促すことで、高齢者の日常生活をサポートできるようにした
④既築市場の高齢化への配慮
既築マンションに在住する高齢者へ配慮し、インターホンの基本性能「みやすさ」「つかいやすさ」を重視しユーザビリティを高めた
⑤待機時消費電力の削減
使用部品・回路構成の見直により電力の高効率化を実現し、待機時消費電力を従来機種に比べ約25%削減した
【受賞のポイント】
□VIXUS HORIZO(ヴィクサス ホリゾ)
新築市場向けとして高機能でデザイン性に優れた点を評価した。
□らくタッチPlus
リニューアル市場においては、高齢者宅の増加に合わせて「みやすさ」「つかいやすさ」を追及し、「あらゆる世代の誰にでも使いやすい商品」を提供することで、業界のイメージアップに貢献した点を評価した。
□共通
使用部品・回路構成の見直しによる電力の高効率化を実現し、待機時消費電力を従来機種に比べ大幅に削減したことで、環境保全に貢献した点を評価した。
システム部門 開発貢献賞
「集合住宅向けIPインターホン」
ナカヨ
【特長】
①システムで3役(インターホン、ナースコール、ビジネスホン)こなす統合システム
サービス付き高齢者向け住宅やシルバー・マンションなど介護サービス付の集合住宅において、従来はインターホン、ナースコール、ビジネスホンと異なる複数のシステムを導入する必要があった。これらを統合して1システムとすることにより、運用の煩雑性など事業者負担を軽減
②ビジネスホン同等の交換機能により情報共有、コミュニティー形成にも有用
インターホンを利用した集合住宅内の内線通話を自由に構築できるのはもちろん、入居者の入退去が多くかつ、特定入居者同士のみの内線通話を許可するような場合も、都度システム設定を変更することなくインターホン通話が出来ることにより、入居者間のコミュニティー形成にも有用
③自由な組み合わせで、テナントや事務所と住居が同居する複合型集合住宅にも最適
システム構成機器の自由な組み合わせが出来るので、1つの集合玄関機から事務所はビジネスホンを、各住戸はインターホンを呼び出すなど、商用と住戸用の両機能を1つのシステムで構築可能
④IP(LAN配線)により、IoT化(インターネット導入)との親和性を確保
幹線を全てLAN配線とし、他のIoTシステムを同一のLAN環境で統一・共有が可能
⑤ミラノ・デザインでインテリアにもエクステリアにもマッチ
インターホン機器はファッションの本場であるイタリアのミラノ・デザインを踏襲。機能面のみならず、設置環境のデザイン性にも配慮
【受賞のポイント】
①異種業界技術の融合(ネットワーク通信技術の取り込み)
ビジネスホンの開発で培った独自のディジタル交換機能、ハイブリッド・アーキテクチャ(アナログ回線、ディジタル回線、IP回線の収容技術)、仮想内線アーキテクチャを取り込むことにより、従来の1対NあるいはN対1のコミュニケーションにN対Nのコミュニケーションを加えることに成功。呼出システムからコミュニティー形成システムに発展させた技術開発面を評価した
②多様化する集合住宅への貢献
サービス付き高齢者向け住宅や商用施設(事務所など)と住居が同居する複合型集合住宅における事業者の運用負担軽減、コスト低減や入居者間コミュニティー形成などを具現化。多様化する集合住宅がかかえる課題の解決に貢献したことを評価した。
特別賞 インターホンその他部門
「見守りカメラ」
アイホン
カメラでとらえた患者の動きを検知して看護師に知らせる、映像見守りシステム
【特長】
①ナースコールシステム(Vi—nurse)との連携
ナースコール子機として機能し、患者の動きを見守り、転落・転倒を未然に通知する
②0ルクス環境下でも患者を検知
赤外線LEDにより、全く光が無い(0ルクス)環境下でも患者の動きを検知し、画像処理による見守り機能(起上がり検知・離床検知)を実現した。また、プレ録画機能により起上がり前、離床前から録画することで、有事の際の適切な対処を可能にした
③ベッド位置自動検出機能
画面タッチによるベッド位置指定方法から、画像解析を用いたベッド位置自動検出を採用した事により、複雑な手動設定が不要となり、看護師による設定操作の大幅な負荷低減を実現した
④自然な外観デザイン
患者を見守る機器としてふさわしくない「監視している」感の強いデザインから、カメラの存在感を抑える色調、造形としたことにより、存在感が気にならないデザインを実現した。
【受賞のポイント】
①0ルクス環境下での撮像技術と、ベッド位置自動検出/自動設定を可能とする画像処理技術により、看護師の負担を軽減したことを評価した
②病室に自然に溶け込み患者を静かに見守る様な外観デザインを評価。