働き方改革推進の取組み具現化 など対象範囲や条件明確化
昨年6月に公布された「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が1日、技術検定関連部分を除いて施行された。今回の改正では、働き方改革の推進や生産性向上への取組み、持続可能な事業環境の確保といった趣旨を具現化すべく、対象範囲・条件などが明確化されている。
改正の背景
建設業は、我が国の国土づくりの担い手であると同時に地域の経済や雇用を支え災害時には最前線で地域社会の安全・安心を確保するなど、「地域の守り手」として国民生活や社会経済を支える上で重要な役割を担っている。
一方で、建設業においては、長時間労働が常態化していることから工期の適正化などを通じた「建設業の働き方改革」を促進する必要がある。
また、現場の急速な高齢化と若者離れが進んでいることから、限りある人材の有効活用などを通じた「建設現場の生産性の向上」を促進する必要がある。
さらに、平時におけるインフラの整備のみならず災害時においてその地域における復旧・復興を担うなど「地域の守り手」として活躍する建設業者が今後とも活躍し続けることができるよう、事業環境を確保する必要がある。
このため、「建設業の働き方改革の促進」「建設現場の生産性の向上」「持続可能な事業環境の確保」の観点から建設業法・入契法を改正することとなった。
概要
◇建設業の働き方改革の促進
▽長時間労働の是正(工期の適正化等)
中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告する。
また、著しく短い工期による請負契約の締結を禁止し、違反者には国土交通大臣等から勧告等を実施する。
公共工事の発注者に、必要な工期の確保と施工時期の平準化のための方策を講ずることを努力義務化する。
▽現場の処遇改善
建設業許可の基準を見直し、社会保険への加入を要件化する。
下請代金のうち、労務費相当分については現金払いする。
◇建設現場の生産性の向上
▽限りある人材の有効活用と若者の入職促進
工事現場の技術者に関する規制を合理化する。
元請の監理技術者に関し、これを補佐する制度を創設し、技士補がいる場合は複数現場の兼任を容認する。
下請の主任技術者に関し、一定未満の工事金額等の要件を満たす場合は設置を不要化する。
▽建設工事の施工の効率化の促進のための環境整備
建設業者が工場製品等の資材の積極活用を通じて生産性を向上できるよう、資材の欠陥に伴い施工不良が生じた場合、建設業者等への指示に併せて国土交通大臣等は建設資材製造業者に対して改善勧告・命令できる仕組みを構築する。
◇持続可能な事業環境の確保
▽経営業務に関する多様な人材確保等に資するよう経営業務管理責任者に関する規制を合理化
建設業経営に関し過去5年以上の経験者が役員にいないと許可が得られないとする現行の規制を見直し、今後は事業者全体として適切な経営管理責任体制を有することを求めることとする。
▽合併・事業譲渡等に際し事前認可の手続きにより円滑に事業承継できる仕組みを構築