経済産業省資源エネルギー庁の山崎琢矢新エネルギー課長が1日、東京ビッグサイトで開かれた「スマートエネルギーWeek」で講演。太陽光発電などについて「コスト競争力のある主力電源にし、大量導入を進めていく」と、積極的推進の姿勢を明確にした。 このところ若干の停滞が見られ、関連業界では今後を不安視する向きもある太陽光発電市場だが、同課長の発言は、業界にとって明るい材料となりそうだ。
風力発電を含めた再生可能エネルギー(再エネ)をめぐっては、世界的に主力電源化の流れが進む一方で、国内では系統への受け入れ制約圧力や国民負担(再エネ賦課金)の増加など負の側面が顕在化しつつある。
そこで同庁では、再エネ導入の流れを確固たるものにするため、昨年12月に「再生エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会」を設置。以後暫時、事態打開の議論を進めてきた。山崎氏は、そこでの議論を踏まえ、再エネの主力電源化や大量導入の必然性を強調。それを確実に実現するためにも、発電コストの削減や系統制約の克服、事業環境の整備が必要だと訴えた。
発電コストを見ると、日本は下がってきたとはいえ、1kW時あたり20円強(事業用)で、すでに10円を切っている世界的な水準と比べるとまだまだ割高。山崎氏は、2030年に7円という目標に向け、参加しやすい入札制度の実施などによりコストをさらに低減していくことが必須だと強調した。
電力会社が再エネの受け入れを制限しようとする系統制約については、発電事業者も困っているだろうとして「重く見ている」と述べた。”つなげない、接続費用が高い、設備増強が遅い”という問題を解消するため、「新しい系統利用ルールを構築する」とした。
具体的には、安易に新設備の増強に走るのではなく、設備容量の考え方を、火力や原発などすべての電源のフル稼働を前提とした方式から、実際にどのくらいの電気が流れているのかを考慮する方式へ変更する意向などを表明。この春から見直していくと明かした。
事業環境の整備をめぐっては、制度を持続的なものにするため発電事業者にFITからの早期の自立化を促し「FITからいかに早く脱却するかが次の大きなテーマだ」と述べた。