昨年度 建設受注4.3%増 設備工事業も好調


国土交通省がこのほど公表した2018年度の建設工事受注高(金額)は前年度比4.3%増と17年(3.1%減)の低迷からやや盛り返した。元請受注、下請受注とも増加し、業種別では職別工事業と設備工事業が好調に推移、総合工事業は伸び悩んだ。民間からの「管工事」受注は大幅に増加した。


同省が建設業許可約1万2000業者を対象に毎月行っている統計調査の昨年度1年分をまとめたもので、建設市場動向を把握するうえで最も指標性が高いとされる。

それによると、18年度の建設工事受注高は前年度比4.3%増の86兆9739億円であった。15年度(8.8%増)から16年度(1.7%増)にかけてペースダウンしたあと、17年度(3.1%減)はついに前年度を割り込み、5年連続増から減少に転じていたが、18年度はやや盛り返した形だ。元請受注高は4.2%増の60兆2323億円、下請受注高は4.5%増の26兆7056億円で、いずれも17年度の低迷から増加に転じた。

業種別にみると、総合工事業は1.8%増の53兆7725億円で、15年度(6.8%増)、16年度(0.2%増)、17年度(1.8%減)の漸減傾向を脱した。職別工事業(鉄骨・鉄筋、大工、とび・土工、塗装など)は8.9%増の10兆6862億円で、15年度(15.7%増)、16年度(14.7%増)の連続好調のあと、17年度(17.7%減)で大きく後退していたが、底打ち感が出た。設備工事業は8.7%増の22兆4792億円で、17年度(2.3%増)から増加幅を広げた。

元請受注を工事種類別にみると、土木工事は2.3%減の15兆6022億円で、17年度(1.4%減)に続いて低迷した。建築工事(建築設備工事を含む)は6.1%増の38兆2115億円で、17年度(2.2%減)の低迷から増加に転じた。機械装置等工事は10.5%増の6兆4186円で、17年度(12.6%増)に続いて好調に推移した。

元請受注のうち公共機関からは2.3%減の15兆5942億円、民間からは6.7%増の44兆6381億円であった。

18年度の建設受注で公共機関からの1件500万円以上の受注工事は3.2%減の14兆8302億円。うち、「国の機関」からは3.7%減の5兆1507億円で、「国」は11.1%減の2兆7462億円、「独立行政法人」は11.1%増の6460億円、「政府関連企業等」は4.6%増の1兆7585億円であった。

「地方の機関」からは3.0%減の9兆6795億円。うち、「都道府県」は1.0%減の3兆7781億円、「市区町村」は2.5%減の4兆4460億円、「地方公営企業」は8.6%減の1兆511億円、「その他」は10.3%減の4043億円であった。

民間からの1件5億円以上の建築工事・建築設備工事受注は16.6%増の11兆6221億円で、14年度(9.5%増)、15年度(10.5%増)、16年度(5.7%増)、17年度(5.3%増)に続いて堅調に推移した。

発注者別にみると、最大のウェイトを占める不動産業からの受注は10.8%増(3兆7758億円)と堅調だったのに加え、主要産業のサービス業からは70.9%増(3兆3701億円)、製造業からは14.4%増(2兆1065億円)と大幅に増加し、全体を牽引した。このほかの主要産業では運輸業・郵便業からは1.2減(7132億円)、卸業・小売業からは23.0%減(5161億円)と振るわなかった。

民間からの1件500万円以上の土木工事・機械設備等工事受注は10.7%増の7兆5717億円で、17年度(10.1%増)に続いて増加した。主要発注者の製造業から12.7%増(2兆3254億円)、電気・ガス・熱供給・水道業から10.8%増(1兆9858億円)、運輸業・郵便業から28.8%増(1兆4479億円)といずれも好調に推移した。

本紙関連業界に影響の大きい民間からの「管工事」受注額(請負額)は21.3%増の1469億円で、17年度(27.6%減)の低迷から大きく盛り返した。主要発注者の電気・ガス・熱供給・水道業からは816億円、製造業からは302億円であった。

商経管材新聞2019年6月5日号掲載