未来のオフィス空間づくりに向けた実証実験を開始

会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi」で
「働き方改革」をテーマに理想のオフィス空間実現へ

パナソニック、ダイキン工業など9社はこのほど、東京・丸の内にある会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイントゼロ・マルノウチ)」において未来のオフィス空間づくりに向けた実証実験を開始した。

「point 0 marunouchi」は、空間データの協創プラットフォームCRESNECT(クレスネクト)」の第1弾プロジェクトである「未来のオフィス空間」を実現するための会員型コワーキングスペースで、各社の最新技術やデータ、ノウハウを活用してオープンスペースや会議室、仮眠ブースなどにおいて多様な働き方に合わせた空間コンテンツを導入する。
実際に働く人の動きや生体情報、設置機器等の運転データを収集・分析し、コンテンツの高度化や新しいサービスの創出に取り組む。

■参加企業
オカムラ、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、ライオン、MyCity、アサヒビール、TOA、TOTO、パナソニック

■CRESNECT
空調機をはじめとした機器、各種センサーから得られるさまざまなデータや各パートナー企業が持つデータやノウハウを蓄積・活用しながら空間にまつわる新たな価値やサービスを出創するための協創型プラットフォーム。
最初の取り組みは喫緊の課題である「働き方改革」をテーマに想理のオフィス空間づくりだが、今後ホテルや店舗、高齢者施設、病院、教育施設などの空間においても新しい価値やサービスの創出を目指す。

1、実証実験の概要
喫緊の社会課題のひとつである「働き方改革」をテーマに、理想のオフィス空間の実現を目指して、様々な空間コンテンツの実証実験を開始する。実際に人が働くオフィス空間を活用して、オフィスでの動線や仕事中の姿勢、室内の温湿度や内装のデザイン、照明・音・香りやアルコールも含めた飲食など、様々な要素が働く人に及ぼす効率性や創造性、健康への影響を収集・分析する。
実際にワークスペースの利用者のフィードバック情報も活用し、効果を検証しながら空間コンテンツの高度化をはかり、これらの空間コンテンツを通じて働く人の快適性やウェルネスが重要な評価ポイントとなるオフィス空間の認証制度である「WELL Building Standard」のコワーキングスペースでの国内初の獲得も目指す。

2、導入する代表的な空間コンテンツ
利用者一人ひとりが目的や好みにあわせた働き方ができるよう多彩なコンテンツを備えた様々な空間を準備する。利用者は自身にとって快適な空間を選択し、利用できる。
○オープンスペース
・利用者の好みやオフィスの状況に合わせてその日の仕事に適した執務エリアを推奨
・オープンスペースでも利用者の好みに合わせて空調・照明・香りをコントロール
・立ち仕事・座り仕事を組み合わせることができる上下昇降テーブルで、ストレス軽減や生産性を向上
・オフィス内のノイズをマスキングしリラックスしながら集中できるBGM
○会議室
・会議の目的に応じた調色照明や音響の心理効果で会議をより効率的・創造的に
・会議中の音声の分析から場の雰囲気に合わせた香りを噴霧し会議を活性化
○集中ブース
・外部からの視線や音の刺激を適度に遮りかつ圧迫感がなく居心地のよいパーティション
・文字が読みやすい光・色の照明で目にやさしい環境を実現
・センシング技術により一人ひとりに合わせて最適な集中作業をサポートする環境を空調や照明、香りで創出
○仮眠ブース
・空調・照明・香りがコントロールできる仮眠環境の実現
○その他
・口臭リスクチェックによるコミュニケーションの変化をセンシング
・クリエイティブな発想を生み出すための新しいアルコール飲用方法の提案
・瞑想ルームやシャワールームを完備し業務のスイッチ切り替えやストレスを低減

3、各社の参画目的
〇オカムラ
・センサー搭載のオフィス家具の導入とその実験を通じた商品化推進
・取得したビッグデータを活用した新たなサービス開発の推進
・参加企業とのコラボレーションによる新たな価値提供の可能性の模索
〇ダイキン工業
・空調機をハブとした新たなビジネスソリューションの創出
・異業種の各企業とパートナーシップを結び自社だけでは成し得ない価値ある空間ソリューションを提供
〇東京海上日動
・ストレス度や集中度などを中心とした未来のオフィス空間づくりに関する研究で計測・蓄積されるセンシングデータの分析などを実施しヘルスケア分野などにおける新たなサービス提供や健康経営ソリューションの開発に向けた可能性を検討する
〇ライオン
・同社の技術やソリューションを活用して口腔内のセンシングによる口臭リスクのチェックやメンタルヘルスケアを意識した空間創り等を通じてオフィスワーカーのヘルスケアやエチケットリテラシー向上に貢献する新たな製品・サービスを開発する
〇MyCity
・IoTプラットフォームを活用したワークスペースのパーソナライゼーションと最適化を実現する空間ソリューションの開発と事業化を行う
〇アサヒビール
・IoTを用いた新しい酒類提供方法・飲用シーンの創出
・クリエイティブな発想を生み出す新たな飲み方提案の創出
・コワーキングスペースを活用したリーン“インサイト”アップ方式の新商品開発
〇TOA
・時間、場所、目的に合わせた音声での情報提供や環境音・BGMでの空間演出で快適な働き方の実現に貢献するとともに参画企業との協業による未来のオフィス空間の創造を通して音の新たな価値提供を開発する
〇TOTO
・オフィスにおける水まわり空間での使用実態のデータ収集と分析
・取得データを活用した水まわり空間での新たな価値の創出
・参加企業との協創による水まわり空間への新しい提案の検討
〇パナソニック
・他社共創による実証実験を通じた空間ソリューションの知見創出
・各参画企業との協創による空間パッケージの構築
・上記を基に将来的にはコミュニティ活性化空間の創出を目論む

電材流通新聞2019年7月18日号掲載