日本配線システム工業会 第5次中期計画 5大テーマを最重点 課題に掲げ活動展開

昨年度の配線器具市場の年間出荷金額は対前年度比101.2%の975.7億円で、プラス伸長となった。そうした中での各メーカーの商品動向や、最終年度となる第5次中期計画を中心とした日本配線システム工業会の取り組みなどについて紹介する。

配線器具と密接に関連する新設住宅着工件数は、減少傾向が続いている。国土交通省資料によると、8月の新設住宅着工件数は対前年同月比9.1%減の6万9101戸で14カ月連続の減少となっており、新型コロナウイルスの影響もあることから、今後についても不透明感は否めない。
昨年度の配線器具市場の年間出荷金額は、対前年度比101.2%の975.7億円で、プラス伸長となった。
日本配線システム工業会による8月の自主出荷統計では、点滅器77.0%、接続器88.0%、住宅用分電盤84.3%、総計86.5%(いずれも対前年同月比)となっている。
同工業会では、2020年度の事業計画の中で、今年度について、「災害復旧工事や国土強靭化工事などの公共工事や、景気回復による設備投資や個人消費による需要増を期待するところである。こうした中、当工業会の扱い品目である感震機能付などの高機能住宅用分電盤、電気自動車充電設備、高機能配線器具の伸びに期待したい。
なお、2020年度の出荷金額は消費税増税や新型コロナの影響を受け、対前年比で点滅器95.9%、接続器97.2%、住宅用分電盤99.8%、その他を含む合計で97.3%、絶対値で949.3億円」と推定している。
このような環境下、各メーカーでは市場ニーズに合わせた製品開発に取り組んでいる。
パナソニック ライフソリューションズ社では現在、「感熱お知らせコンセント」「かってにスイッチ高天井用」「SO-STYLE」などを発売している。感熱お知らせコンセントは、火が出る前の異常発熱の段階で検知して発火を未然に防ぎ、さらなる温度上昇で負荷への通電を自動遮断する。かってにスイッチ高天井用は、倉庫や工場などの10mの高さから人やフォークリフトを検知し滞在中は照明を継続点灯する。「SO-STYLE」は、直線を基調としたシンプルなデザインで存在感を抑え上質な空間との調和を目指し、シンプル・フラットなデザインとやわらかな触感を実現する。

東芝ライテックでは、昨年11月、逆位相制御の「LEDコントルクス(2線式)」に高容量3・2Aタイプをラインアップ。これにより、照明器具の使用台数が多い中規模施設・店舗への提案を可能にした。さらに、この6月には、定格容量2・4Aタイプを新たにラインアップした。3路オフピカスイッチを採用したほか、うなり音の出ない回路設計、大きなツマミで操作性を向上、わかりやすい調光下限設定など、操作性や意匠性を向上した。
アメリカン電機は、現場や工場で電源口を増やしたい際に持ち運びで対応が可能な鋼板製の防水形移動用分岐ボックスに新しい定格帯をラインアップ。入力側にある逆芯タイプの防水形フランジインレットに引掛形 接地形定格のコードコネクタボディを接続することにより、4カ所のコンセントに「引掛形 接地形2P 20A 250V」定格の電源供給ができる。

明工社は、黒いOAタップが舞台・劇場・撮影現場・オフィスビル等で好評を得ているが、さらにハーネスプラグ付タイプへのニーズに応え、OAタップ本体・コンセントの駒・コード・プラグ全てを黒で統一したOAタップのハーネスプラグ付を販売している。ラインアップとしては、横形OA用抜け止め接地タップ・パイロットランプ・マグネット付・ハーネスプラグ付の4コ口と6コ口、VCTの3mと5mの4種類となっている。

神保電器は、主力製品である「Jワイドスリムシリーズ配線器具」を中心に展開している。標準色のピュアホワイトに加え、メタリック調の3色(シルバー・メタリックブラック・ダークブラウンメタリック)をラインアップ。さらに、一昨年から発売を開始した好評のJワイドスリムスクエアもメタリック色を含めて好評だ。ほかには、省エネ志向によるLED照明の一般家庭への急速な普及を受けて開発したLED照明対応調光器。位相制御方式・逆位相制御方式・PWM制御方式の3種類の制御方式のラインアップを揃えることにより「マルチベンダー、マルチタスク」をコンセプトに、スイッチ・コンセントのJIS規格に合わせた大角形、ワイドハンドル形および独自デザインコンセプトのNK SERIEタイプに展開する。

日本配線システム工業会は、第5次中期計画の最終年度を迎えており、引き続き同計画の重点テーマを中心に活動する。
第5次中期計画では、5大活動テーマを最重点課題として掲げる。
1.配線システムからの火災事故を撲滅する「安全品質の追及活動」
2.交換リニューアル市場を構築する「安全・点検リニューアル活動」
3.低炭素社会を配線システムで実現する「環境対応推進活動」
4.新しい配線システムの標準化で安心を造りだす「標準化推進活動」
5.新しい分野の市場を開拓する「新規分野開拓活動」

◇重点項目

1.配線システム及び配線器具に関する生産、流通等の調査及び研究=出荷統計調査(接地極付きコンセント含む)、需要動向・流通動向の早期集計

2.配線システム及び配線器具に関する技術の調査及び研究=技術動向、技術課題等に関する調査及び研究

3.配線システム及び配線器具に関する情報の収集及び提供=市場動向、環境問題等に関する情報収集及び提供

4.配線システム及び配線器具に関する普及及び啓発=日配工の提案する製品の普及と安全点検など使用者への啓発

5.配線システム及び配線器具に関する規格の立案及び推進=各種規格作成委員会活動の推進と取り纏め

6.配線システム及び配線器具に関する内外関係機関等との交流及び協力=国内関係機関及び海外関係機関との協調体制構築
7.前各号に掲げるもののほか本会の目的を達成するために必要な事業の推進

電材流通新聞2020年11月5日号掲載