【ダイキン工業】HFC―32単体冷媒を用いた空調機の製造・販売等に関し 特許権不行使の誓約を宣言

ダイキン工業はこのほど、HFC-32(R32)単体冷媒を用いた空調機の製造や販売等に関する特許権不行使の誓約を宣言した。この誓約の対象となる特許について、書面による契約をすることなく無償で使用可能にすることで、従来使用されてきた冷媒よりも地球温暖化に対する影響が低いHFC-32の普及をさらに促進することをねらいとしている。

HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、各種エアコンや電気冷蔵庫、各種冷凍機などで広く用いられる代替フロンで、特定フロン(クロロフルオロカーボン・CFC)と違って塩素を含んでおらず、オゾン層破壊係数もゼロである。
2016年10月に、モントリオール議定書のキガリ改正にてHFC冷媒による温暖化影響を段階的に削減していくことが合意され、この改正が2019年に発効した。これを受けて、キガリ改正批准国では低温暖化冷媒への転換に向け動き始めている。
HFC-32は、オゾン層を破壊せず、温暖化係数は従来使用されてきたR410Aの約3分の1であるなど、空調機の環境影響を抑制するための多くの特性を備えている。
また、HFC-32は空調機の運転効率を高めることができ、冷媒自体も広く流通しており容易に入手できる。単体冷媒であるため回収・再生が容易であり、冷媒の新規生産量を削減することができる。これらの特性から同社は、HFC-32を多くの地域における環境負荷低減に有効な冷媒であると考えている。

同社は、HFC-32を使用した家庭用空調機を2012年に世界で初めて発売。現在、HFC-32家庭用・業務用空調機は世界60カ国以上で販売されており、同社は2011年に93件の特許を途上国に対して無償開放し、2015年には全世界で無償開放することでHFC-32の普及を促進してきた。
今回の誓約によって、特許を使用するための同社の事前許可も契約も不要となり、より早く対象特許を使用できる。
対象特許リストに掲載された特許は、将来にわたってリストから取り消されることはなく、誓約も撤回されることがないが、同社および同社グループ会社がHFC-32を単体冷媒として機器に使用する際に他の企業等が特許侵害を訴えるなどの法的行動をとった場合、防御的な観点から当該企業等に対してこの誓約を取り消すことがある。

※対象となる特許のリストおよび今回の誓約の詳細は同社ウェブサイト参照
https://www.daikin.co.jp/patent/r32

電材流通新聞2019年7月25日号掲載