苦戦、「増収増益」は1社のみ  中堅電線7社の第1Q業績

米中摩擦の影響大 建販需要 東京五輪など好調


中堅電線メーカー7社の19年度第1四半期連結業績(一部2月期など)は、総じて不調となり、新年度は厳しいスタートを切った。営業損益ベースで「増収増益」は1社のみに留まり、「減収減益」が4社、「増収損失」と「増収減益」は各1社となった。東京五輪や再開発等で建販電線の需要は順当だが、米中貿易摩擦の影響が予想以上に長引いている。各社の主な内容は次の通り。


中堅電線7社の中で増収増益は、オーナンバ1社のみとなった。太陽光発電関連製品や電線・ケーブル部門の売上は減少したが、グローバルでの営業力強化によって、ウェイトが高い自動車用・産業機器用ワイヤーハーネス(WH)の売上高が増加し、増収を確保した。利益面では、太陽光発電関連製品で新興国の賃金上昇などによる生産コストの増加などがあったが、WH部門の売上増加、積極的な原価低減やアジアでの構造改革等で営業利益が2割弱伸長した。
増収減益は、カナレ電気1社になった。前期から国内販売は好調だった。しかし、アジア圏での売上高の落ち込みが響き、増収も僅かな伸びに留まった。利益面では海外での輸送コストアップや全体的な一般管理費増の影響に加え、自社の新基幹業務システム導入計画の変更にともなう減損損失の計上などがあり、営業損益など全てで減益になった。ただ、売上高営業利益率は10%を確保した。
減収減益はタツタ電線、平河ヒューテック(平河HT)、東特電線、三ッ星の4社。うちタツタ電線は、建販を含むインフラ向け電線は、東京五輪や首都圏再開発等があり堅調だった。しかし、米中貿易摩擦でFA・ロボットケーブル等の機器用電線事業が鈍化し、スマホなど携帯端末需要の減少で電磁波シールドフィルム等の機能性フィルム事業が伸び悩んだため減益となった。
平河HTは、医療用特殊チューブや放送機器は堅調なものの、半導体製造装置やエネルギー関連産業及び車用ケーブルの受注が鈍化し、二桁減収になった。利益面では、減収と本社移転による一時費用等で3割強の大幅減益となった。
東特電線は、マイクロウェーブ用同軸ケーブルアセンブリなど高付加価値製品の受注、フィリピン子会社の新工場の操業が安定化したことで原価低減を図ったが、全般的な受注減少が響いた。
三ッ星は、減収は銅価格が5%下落した他、米中問題の影響で半導体、ロボット、FA関連の動きが鈍いため出荷量が10%減少したのが響いた。営業減益は、国内工場の移転で発生した費用や海外子会社の新工場に係る費用増加のためだ。
減収損失は、JMACS社となった。同社では電線の出荷を増やし、電線事業は黒字転換したものの、トータルソリューション事業の人件費や開発費用の増加が響いた。

電線新聞 4172号掲載