【トップインタビュー】 古河エレコム  福地 光 社長

建販新会社、下地作り WG設立で基盤盤石化

古河エレコム  福地 光 社長


古河エレコムの福地光社長は「19FY通期見通しは売上高400億円(前年度比3.6%減)、営業利益同3倍とした。管路材などの非電線類で好調が望め、建販電線は収益重視の受注策が寄与するとみている」と述べた。また、建販電線のアライアンスについて「公表以上のことは決まっていない。来年4月に新会社の営業開始を目指し、WGを設けた。新会社の基盤を盤石化し、市場変化に対応できる下地造りの最中だ。Al電線事業は新会社に移管する方針。設立後の当社事業計画は、管路材、車及びエレ、防災製品や通信ケーブル・接続材料及び光ケーブル・機器等が主柱になる見込み」と語った。


—御社事業を取り巻く環境から伺いたい。

「東京五輪や都市再開発用途などでIV、CV、CVV(3品種)等を筆頭とした建販電線需要は、好調に推移。特にエコ電線は超繁忙であり、需要に生産が追いつかない状態だ。一連の繁忙は年内または年度内は継続する見込み。管路材は、建販電線市場に連動し好調だが、来年2、3月頃は土木分野が端境期に入るため一旦、踊場状態になるだろう。一方、建販電線の利益面は、全体的に極めて低く、厳しい状態はあまり変わらない」

建販電線が好調適正利益に主眼

 —御社の建販電線等のビジネスの動向は?
「建販電線の受注は好調であり、当社では適正利益を主眼に展開している。さらに管路材の受注(金額ベース)も好調で勢いがあり、前年同月比で10%以上伸びている。管路材は建販電線市場にリンクし、さらに無電柱化、太陽光発電の配備も牽引している。それらもあり、当社19FY第1Qの営業利益は前年同期比3倍以上となった」

 —配送・物流費の値上がりについては?
「小口配送や切り分け配送等を含め、顧客からほぼ値上げのご理解を頂いている。ただ、満足とは言えない。それ以上に物流費が高騰しているためだ。例えば、再三の値上げのほかに、物流量が増え人手不足の状勢で、ドラム巻電線や管路材等の荷姿などが一般的な配送品と異なるせいで、トラックの積載効率が低下するため、敬遠されて配送拒否などが発生する場合もある。そうしたことなどにともなう諸コストも一層上昇している。つまり全ての物流費アップ分をカバーできず、値上げ浸透は道半ばだ。建販電線の業界は、かなり薄利なことから、この物流高で、利益分を呑み込んでしまうケースが散見される」

 —古河電工(グループ)サイドと昭和電線HD(グループ)サイドとの建販電線事業のアライアンスについては?
「今回のアライアンスについて、まだ公取委の審査が終わらず、その手続きを行っている。つまり公表した以上のことは、決まっていない。ただ、両社グループで、来年4月の新会社の営業開始を目指し、準備を進めている。新会社の骨格造りやブランド統合に向けて両社グループ間で営業方針を詰めるとともに、販売、製造、物流・倉庫や人事・総務等の管理部門のワーキンググループを設け、より良い形でアライアンスが進められるように討議している。ワーキンググループでは、新会社の基盤をいかに盤石化し、市場変化に対応できるようにしていくかを、双方の様々な実務担当ごとに意見を出し合いながら、その下地造りに

古河グループと連携し 管路材、車、エレ注力

取り掛かっている最中だ。従って、新会社の人員などは固まっていない。一方、アルミ電線事業は公表時に統合対象で、新会社に移管する方針」

 —御社の今後の注力製品及び技術は?
「大別すると二つある。一つ目が管路材であり、多条配管がコンパクトにできる新タイプの『角形エフレックス』などの新製品を上市し、市場活性化を推進。並行して無電柱化に向け、電線類を地中埋設する場合に、管路材を用いた効率的な工法の提案を実施して、『モノ』売りに留まらず(付加価値がある工法の)『コト』売りも促進している。このなかには、より高効率な『屋内・屋外ALL樹脂プラフレキ露出配管システム』などがある。このシステム等で用いるコネクターなど全ての部材をワンストップで提供できるのが当社の強みである。加えてトレンチャーで掘削しながらエフレックスを敷設する『掘削・管路同時敷設工法』の訴求も行っている。これは長距離にわたって管路を布設するには、最適の工法。通常は管路を埋め込むための溝を掘削したあとに管路を敷設するが、本工法では掘削と管路の敷設を同時進行することで工期短縮し、(掘削費用を比較すると、通常のショベルカーによる従来バックホウの掘削が2千60円に対し、トレンチャーで掘削する本工法は740円になり)コスト低減が図れる。
二つ目は、自動車やエレクトロニクス分野の製品群。例えば、自動車とエレ分野では、サーマル関連の製品や巻線、古河ASの自動車向け製品・部品類などが挙げられる。その他には、防災製品や通信ケーブル・接続材料及び光ケーブル・機器などがある。いずれの事業も古河電工グループとの連携を一段と密にして進める」

 —19FY通期見通しは?
「19FYは売上高400億円で前年度比3・6%減収も、営業利益は同3倍に設定した。米中貿易摩擦の影響でエレ分野の受注は鈍化するが、管路材をはじめ防災品、サーマル製品などの非電線類で好調が望めるほか、建販電線については収益重視の受注策が寄与するとみている。先に述べたように第1Qは当初計画を上回ることができた。今後も、このペースを維持できるように全社一丸となって事業展開する。
また、当然、新会社設立に最大限努力し、支援を行う。同時に、この変化の時期を好機と捉え、全社員が一致団結して積極果敢に事業に取り組む。従って新会社、当社及び昭和電線グループ、古河電工グループとも、一段と発展することを目指す意識は、企業が異なっても共通している。また、当社の今後の営業拠点や物流網については、新会社の動向をみながら、再構築の有無を決める」

建販3品種は新会社 設立後、徐々に移管

 —新生・古河エレコムの20FY通期計画は?
「現在、詰めている。ただ、今述べたように核となる商品群は、管路材、自動車及びエレ分野の製品、さらには防災製品や通信ケーブル・接続材料及び光ケーブル機器等になる。従って、これら製品を主柱とした事業計画になる見込み。
一方、顧客との取り引き上、当社が取り扱う3品種等の建販電線は来年、新会社が設立するとともに、一気に減ることはない模様だ。緩やかに減少し、その分が徐々に新会社へ移って行くだろう。いずれにしても、今回の新会社設立は大事だが、その前に顧客第一主義をモットーに事業展開することは昭和電線&古河電工サイドとも一致。重複するかもしれないが、むしろ今回の再編を機に、少しでも多くの付加価値を、顧客の方々に提供できればと日々、創意工夫を重ねている」

—中期事業戦略は?
「非電線分野の管路材などがメインになる。古河電工グループの製品アイテム数は3万点以上に及び、その中から顧客にメリットがある独自の高付加価値製品を提案していきたい。事例を挙げれば、自動車分野では高機能な装置・部品類、平角線など。エレ分野ではLED照明用放熱製品、クリンプフィン型ヒートシンクやヒートパイプなどの放熱・冷却製品等になるだろう。また、5G向けには光ケーブル、電線及び管路材などの製品が有望である」

—今年度の最重要課題は?
「新会社設立の支援・サポート、同時に当社の黒字体質の安定化・定着化といえる」

電線新聞 4173号掲載