キュービクル式 高圧受電設備特集

キュービクル高圧受電設備の市場は、数年来の停滞から打って変わって好調に推移している。昨年夏からの学校空調の特需の影響も少なからずあるとみられるが、来月から「卒FIT」の対象世帯が続出することを考えると手放しで喜べない部分もある。来年開催の東京オリンピックや2025年の大阪万博を視野に入れた設備の増設・更新を浮上の契機にしたいとの思いも強いが、こうした市場の変化に対応するためには、「工・製・販」がお互いに協力しあうことが欠かせない。


昨年7月、愛知県豊田市の小学生が校外学習から戻ったあと熱中症で死亡した事故が発生した。この事故を受けて、政府も公立学校の全普通教室へのエアコン設置を促進すべく補助金を創設し、全国で設置工事が急速に進んでいるのはご承知の通りである。
これにともない、エアコン設置による電源不足を補うべく、キュービクルの新設ならびに増設、取替え工事も数多く実施されているが、そのあたりの動向は統計にも表れている。

日本配電制御システム工業会の8月の閉鎖形配電装置(特別高圧・高圧配電盤)の数値をみると、数量が5296面、金額が前年同月比100.8%の106億8100万円となっている。金額については昨年11月以降、10カ月連続で前年同月を上回っている。2018年度は、数量が6万6007面、金額は前年度比103.6%の1414億8900万円となった。
また、日本電機工業会の統計によると、変圧器の第Ⅰ四半期の受注実績は前年同期比34.8%増の306億7600万円で、2018年度は前年度比3.1%増の1144億9100万円となった。
一方、経済産業省の統計によると、キュービクル設備の主要搭載機器のひとつである標準変圧器(トランス)の直近の生産実績は、令和元年8月の台数が2万5969台と、一昨年1月以来の2万9千台割れとなっている。こちらに関しては、落ち込みが一時的なものなのか、今後の推移を注視する必要がある。
キュービクル市場の現況は、「好況」の部類に入るといえる。とはいえ、好況を後押しする学校のエアコン設置はあくまでも「特需」であり、エアコン設置がひと段落ついたあとの見通しが立っているとはいいがたい。ひとまずは、来年開催の東京オリンピックや2025年開催の大阪万博をにらんでの設備の更新や増強による需要に期待したいところである。

ところで、昨今のキュービクルの需要を支えてきた「再生エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)」は一昨年4月、抜本的な改正が行われた。開始から7年で導入量は大幅に増大した一方、国民負担の増大や未稼働案件の増加、さらには自然災害によるパネル破損などのトラブルも多数発生している。
さらに、2009年11月の太陽光発電の余剰電力買取制度開始から10年が経過し、買取期間の保証が終了するいわゆる「卒FIT」の対象となる世帯が今後続出する。2019年度でみると、卒FIT世帯は53万世帯にのぼるとみられる。
経済産業省は先ごろ、FITの対象を縮小して入札方式を中心とした新制度を2020年度中をめどに導入することを明らかにした。設備のコストが下がっている現状を踏まえ、将来的に大規模事業用太陽光発電、風力発電などをFITの対象から外すことも視野に入れている。
2019年3月分の「再生エネルギー発電設備の導入状況」をみると、非住宅の太陽光発電新規認定分の導入容量が3842万6千kWで、買取り電力量は40億907万kWhとなった。
買取り電力量は、電力の小売り全面自由化が解禁となった2016年4月以降、6カ月連続で30億kWh以上を記録したあと一時20億kWh台に落ち込んだ。
2017年3月に入ってふたたび30億kWh以上に回復し、同年5月にははじめて40億kWhを突破。続く昨年5月には、50億kWhも突破した。2018年度平均では、約41億kWhとなっている。
FIT制度においては、再エネを設置する発電事業者が適正な利潤を得られるよう発電コストや発電能力を基礎として価格等が勘案されることとなっており、基本的には再エネ導入量が増えるにつれて発電コストが下がり発電所の能力も向上するため、年度が経つにつれFIT価格は下がることとなる。実際、太陽光(10kW~500kW未満)のFIT価格については、昨年度の18円/kWhから4円/kwh下落し、14円/kWhとなった。
第5次エネルギー基本計画においては、再エネ主力電源化が掲げられている。とくに太陽光発電は、普及も進んでコストダウンが見込まれるということで、コストの低減と固定価格買取制度からの自立をよりいっそう求められている。
基本計画では、これまで2030年に発電コスト7円/kWhと設定されていた価格目標を5年前倒しして2025年に発電コスト7円/kWhを目指すことを明確にしている。
ちなみに、発電コスト7円/kWhは、買取価格8・5円/kWhに相当する。

主要メーカー各社においても、今後を見通してキュービクルの開発に注力している。大容量に対応する多面体キュービクルからコンビニ規模の店舗に適合する小型省スペースキュービクルまで、用途に応じた製品を発売している。
日東工業は、キュービクルとパワーコンディショナー収納箱の一体化を図り、省施工・省スペースを提案する。中大型ならびに小型変電設備に適した一般キュービクルやコンビニや小規模店舗に適した小型キュービクルのほか、改修時の停電時間を最小限に抑えるべくラグインユニット付ブレーカを搭載したプラグインキュービクル「アイキュービクル」なども発売している。
河村電器産業の新製品「サブステーションコンポ」は、従来のフレーム式高圧受電設備がモデルチェンジしたもので、電気室に必要な機能をユニット化して工場と現場の作業を分けることで効率的な設置が可能となっている。基本性能を徹底的に見直して小型化と軽量化をはかり、マンションでの一括受電向けと電気室のリニューアル向けをラインアップする。
このほか、内外電機では「経済形キュービクル」「汎用形キュービクル」「K形キュービクル」を、日本電機産業も受電用や増設用の製品を開発している。
いずれにしても、市場拡大のためには、「工・製・販」の緊密な連携による積極的な提案を推し進める以外にない。