インターホン特集 インターホン工業会 1000億円市場目前

 2017年度のインターホン市場は、第3四半期を終えた時点で前
年同期を上回るなど、着実に成長を続け、1000億円に手が届くところまで来た。昨年、設立50周年を迎えたインターホン工業会は、さまざまな事業を展開することで市場規模拡大を支えている。

HQI制度や劣化診断資格者制度など様々な事業を展開

 インターホン工業会(市川周作会長)が2月に発表した統計資料によると、2017年4月から12月のインターホン出荷金額の総計は、対前年同期比101%の704億円となった。このまま行けば、今年度は900億円半ば近くまで伸び、1千億円の大台がすぐそこまで迫ってきた。
 市場拡大を下支えしているのが、同工業会が展開しているさまざまな事業だ。市川会長は、今年の年頭所感の中で各事業展開について触れ、「戸外表示器(SD)審査制度では過去最高の審査件数となり、インターホン自主認定(HQI)制度も戸建住宅・集合住宅・ナースコールともに認定数は着実に増加し、劣化診断資格者認定制度の資格者も延べ1千名を超えるなど着実な活動ができた」とした。
 このうち、インターホン自主認定制度HQI(High Quality Interphone 以下HQI制度)は、インターホンが普及し、集合住宅はもとより病院や介護施設などで重要な役割を果たすようになる中で、2010年にHQD認定制度から衣替えしたものだ。
 その後、認定機器申請の受付により認定された製品へのマーク表示を開始し、HQI制度の運用を推進している。現在、認定対象品となっているのは、①非常警報付を含むドアホン②テレビドアホン③集合住宅用インターホン④ナースコールインターホン―の4種類。
 このHQI認定制度は、工業会が定めたインターホン認定技術基準に単に適合するだけでなく、品質マネジメントシステムを導入し認証機関から認証・維持され、また、アフターサービス実施体制などが整備されたメーカーの製品を認定しようとするものだ。
 工業会では、今後も各社のHQI認定取得品について積極的に紹介し、顧客に確かな機器選びの情報を提供していき、工業会の事業基盤強化につなげる。
 また、市川会長は、昨年の工業会活動について「当工業会の昨期は、設立50周年を迎え、”ビジョン2025”を発表したことで今後の方向性を示すことができた1年であったかと思う」としている。設立50周年を迎えた昨年、同工業会では、これからのインターホン事業の方向として新たな社会的ポジションを確立しつつ持続的成長を目指すビジョンとして「インターホン工業会Vision2025」を策定した。
 同ビジョンは、多様化するニーズをコミュニケーション技術で解決し、「安全」「安心」「つながり」の社会の実現に貢献することをコンセプトとしている。
 重点施策は以下の通り。
1、お客様との「つながり」を保ち、安心して使える環境を提案
 ①設備更新のしくみの構築②設備更新や保守情報の提供、啓発
2、最新技術との「つながり」による安全、安心、快適、便利の追求
 ①最新技術導入での付加価値拡大②インターホンのグローバル化推進
3、関連業界・システムとの「つながり」に取り組み、多様化するニーズに対応
 ①住宅設備、医療・介護等の他業界、他システムとの連携拡大②新市場、関連市場への拡大検討

4月28日は「インターホンの日」
4月「インターホン月間」に制定

さらに、同工業会では、昨年から新たな3つの取り組みを始めている。
 1つは、工業会のロゴを新しいものに変更した。以前はアルファベットを並べたものであったが、新たなロゴは会話をイメージさせるデザインとなっている。2つ目は「リニューアル=更新」をイメージさせるキャラクターを設けた。いままでのインターホン事業は、新築や新規事業に対して展開していたが、リニューアルのPR活動にも積極的に取り組んでいくためのキャラクターとして活躍を期待している。3つ目は、「インターホンの日」の制定。より「安全」「安心」「つながり」のある社会の実現に重要な「円滑なコミュニケーション」=「良い通話」を支えるインターホンの普及と適切な更新を目指して、4(よい)2(ツー)8(わ)から、4月28日を「インターホンの日」に定めた。
 それに関連して、同工業会では、インターホンの日(4月28日)にちなみ、4月1日~4月30日を「インターホン点検月間」とした。インターホン機器は電子機器であり、長期間の使用で機器が劣化することを周知し、適正な時期での更新の検討を提案。安全点検シートでの家のインターホンの点検を啓蒙している。
 同工業会ではこのほかにも、劣化診断資格者制度にも注力している。この制度は、工業会が主催する劣化診断資格者認定講習会を受講し、劣化診断実務に必要な知識・技能が所定の水準に達した者を資格者として認定するもの。
 平成17年にスタートし、今年で14回目を迎える同講習会は、資格者も延べ1千人を超えるなど着実な活動を続けている。劣化診断資格者になるための要件は、①インターホン設備にかかわる実務経験5年以上②電気工事士(第二種以上)③消防設備士(甲種第4類)④工事担任者〔AI第2種(アナログ第2種含む)以上〕⑤情報処理技術者(基本情報処理以上)―のいずれかに該当しており、講習を受けることが必要となる。
 今年は7月31日、東京・品川区の「TKP 品川カンファレンスセンター」で開催される。
 申込書は以下のURLからダウンロードできる。

◇一般社団法人インターホン工業会
http://www.jiia.gr.jp/

電材流通新聞2018年4月5日号掲載