【四国経済連合会】令和元年12月 景気動向調査 

四国経済連合会はこのほど、「四経連景気動向調査(令和元年12月)」をまとめた。それによると、四国の景気については「緩やかな回復の動きに足踏み感が出ている」と判断している。

調査結果の概要
企業業績や設備投資・雇用は引き続き良好に推移しているものの、個人消費は消費税率引上げの影響もあって低調となり、生産活動や輸出も弱めの動きとなっている。
四国の景気が「低迷・底ばい」または「下降」とみる企業の割合が55%となり、「既に回復」または「回復傾向」とみる企業の割合を2四半期連続で上回るなど、経営者の景況感に陰りがみられる。
このように四国の景気は、緩やかな回復の動きに足踏み感が出ている。

経営者の景況感

現在の四国の景気について、「低迷・底ばい」または「下降」とみる企業の割合が前回9月調査の52%から55%へ上昇し、「既に回復」または「回復傾向」とみる企業の割合(45%)を2四半期連続で上回るなど、経営者の景況感に陰りがみられる。

生産・消費など経済活動の現況

①生産(四国内の工場の生産動向)
生産の現状(2019年10~12月期)について、前年同期と比べ「減少」とする企業の割合が前回9月調査の16%から23%へ上昇し、「増加」とする企業の割合(21%)を6四半期ぶりに上回るなど、弱含んでいる。
来期(2020年1~3月期)の生産についても、前年同期と比べ「減少」とする企業の割合(26%)が「増加」とする企業の割合(17%)を上回る見通し。

②輸出(四国内の工場の輸出動向)
輸出の現状(2019年10~12月期)について、前年同期と比べ「減少」とする企業の割合が前回9月調査の23%から28%へ上昇し、「増加」とする企業の割合(13%)を2四半期連続で上回るなど、弱い動きが続いている。
来期(2020年1~3月期)の輸出については、前年同期と比べ「減少」とする企業の割合(16%)が「増加」とする企業の割合(15%)とほぼ同じ水準となる見通し。

③在庫
現在の在庫状況について、「過剰」または「やや過剰」とする企業の割合が前回9月調査の19%から23%へ上昇したものの、低い水準で推移している。

④企業業績
現在の業績について、「大変良い」または「良い」とする企業の割合が前回9月調査の30%から32%へ上昇し、「悪い」または「大変悪い」とする企業の割合(24%)を14四半期連続で上回り、良好に推移している。

⑤設備投資(四国内の投資)
2019年度の投資額(計画)について、昨年度に比べ「増加」とする企業の割合が前回9月調査と同じ31%となり、「減少」とする企業の割合(19%)を上回るなど、持ち直しの動きが続いている。

⑥雇用
四国に本社を置く企業で、雇用調整を現在実施している企業の割合が前回9月調査の3%から1%へさらに低下しており、良好な状況が続いている。
人手の過不足の状況について、「不足」または「やや不足」とする企業の割合が前回9月調査(68%)とほぼ同じ67%となり、「適正」とする企業の割合(30%)を大きく上回るなど、引き続き人手不足感は強い。

⑦個人消費
個人消費は、観光・宿泊関連は瀬戸内国際芸術祭などの効果もあり引き続き好調に推移したものの、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動もあって、時計・宝飾品などの高額商品や乗用車、家電が低調となり、全体として弱さがみられる。

(1)百貨店
気温が高めで推移していることから冬物衣料品が振るわず、また消費税率引上げの影響で、これまで好調であった時計・宝飾品などの高額商品やバッグ・靴などの身の回り品の売上げが落ち込み、全体として低調となっている。

(2)スーパー
紙製品などの買い置きが可能な一部の家庭用品で駆け込み需要の反動減がみられたものの、主力の食料品は軽減税率やキャッシュレス決済に対するポイント還元効果もあって底堅く推移したことから、全体として横ばいとなっている。

(3)商店街
インバウンド客を含め来街者数は底堅く、飲食店やドラッグストアなどは堅調なものの、消費税率引上げを境に高額商品や衣料品を中心に低調となり、全体として力強さを欠いている

(4)乗用車販売
消費税率引上げに合わせた自動車減税等の需要平準化策の効果もあって、前回の消費税率引上げ時(2014年6月調査)と比較すると落ち込みは小さいものの、小型車・普通車を中心に販売台数が減少している。

(5)家電販売
4Kテレビやパソコンなどで買い替え需要はみられるものの、暖冬気味となっていることからエアコンが不調で、洗濯機や冷蔵庫も駆け込み需要の反動が続くなど、総じて低調となっている。

(6)観光・宿泊関連
消費税率引上げの影響はほとんどみられず、瀬戸内国際芸術祭などの大型行事の効果もあって国内客およびインバウンド客ともに増勢を維持しており、宿泊施設の客室単価も上昇傾向にあるなど、概ね好調に推移している。

⑧マネーフロー
銀行の貸出について、企業向けは省力化や維持更新を目的とした設備投資の資金需要は引き続き堅調で、個人向けも住宅ローン減税の拡充など政府の需要平準化策の効果もあって住宅ローンを中心に底堅く推移し、持ち直しの動きが続いている。

令和元年10月からの消費税率引上げの影響
 ①現在(2019年10~12月期)の売上げへの影響
消費税率引上げによる現在の売上げへの影響は、「ほとんど影響はない」とする企業の割合が83%と大半を占める一方、前年同期と比べ「かなり減少している」または「少し減少している」とする企業の割合は17%にとどまる。
前回の消費税率引上げ時の調査結果(2014年6月)と比較すると、「かなり減少している」または「少し減少している」とする企業の割合は、ほぼ2分の1(35%↓17%)に低下している。

②消費税率引上げの影響が続くと予想する期間
現在の売上げが前年同期と比べ「かなり減少している」または「少し減少している」とする企業のうち、消費税率引き上げの影響が続くと予想する期間は、「2019年10~12月期まで」とする企業の割合が20%、「2020年1~3月期まで」とする割合が47%となり、合計すると消費税率引き上げ後半年以内とする割合が約7割(67%)を占めている。

電材流通新聞2020年1月10日号掲載