なぜ、モンキーなのだ?
親しみを込めて、「エテ公」と呼んだりもするらしい。しかしまたどうして「猿」なのだろう?その由来については諸説あるようだ。
『Wikipedia』などいろいろ検索してみると、まず、この工具を発明したチャールズ・モンキー(モンク?)という人の名前にちなんでいるという説。これが本当なら、もうそれで決まりでしょ!と思うのだが、そうではなく、形が猿に似ているからだという説もある。どこがやねん!?とツッコミたくなるが、なるほど、挟む口の部分を閉じて横向きに置くと、猿の横顔に似ているといえば似ている。
というより、工具全体が尻尾をつかまれた猿みたいなのだという見方もある。かと思えば、最初はもっと違う形の工具だったから、その説は当てはまらないという意見もあって。
さらには、昔のアメリカの工場において、天井付近に張り巡らされた油まみれの配管を、まるで猿のように飛び回りながらメンテナンスする作業員たちをグリスモンキーと呼び、その彼らが手にしていた工具だったことからモンキーレンチの名が付いたという話もある。要するに、よくわからない。
ちなみに、JIS(日本産業規格)での呼称はモンキレンチという。モンキーと伸ばさないのだ。
コレクターにも人気らしい
現在使われているような口の幅を調節できるモンキーレンチは、今から130年ほど前の1891(明治24)年にスウェーデンで開発され、翌年に特許が取得されている。今でこそ当たり前に使っているが、当初はその画期的な構造に誰もが驚いたことだろう。開発者であるJ.P.ヨハンソンは、世界的なツールメーカー「BAHCO」の創業者の一人だ。BAHCO製の古いモンキーレンチなどは、ビンテージ工具として多くのコレクターの垂涎の的らしい。確かにモンキーレンチは、猿に似ているかどうかはともかくとして、格好いい形の工具だと思うのだ。
多種多様なタイプがある
ボルトやナットの大きさに合わせて、挟む部分の口幅をウォームギアで調節できるモンキーレンチ。アジャスタブルレンチや自在スパナなどとも呼ばれ、1本で複数のボルトやナットに対応できるため重宝する。サイズにも種類があり、大きいものは少々重いのが難点だが、最近はグリップの部分に穴あき加工が施されていたり、全体的に薄型の造りになっていたりと、軽量化が図られているタイプが多い。また、グリップが短いショートタイプは軽くて携帯しやすいだけでなく、狭い場所でも使いやすいのが利点だ。
他にも、ボルトやナットの大きさを測れる目盛りが付いたノギスタイプ、メガネレンチやギヤレンチが付いたタイプ、早回しが可能なラチェットタイプ、口が大きく開くタイプなど、さまざまな種類が各メーカーから発売されている。
しかし、基本的な構造はシンプルな工具だけに、やはり重要なのはウォームギアによる口幅の開閉だ。スムーズに開け閉めできて、ガタつきの極力少ないものを選びたい。