20暦年推計、合計62.9万㌧(9.7%減) 主要7部門別出荷電線工業会調べ

11月出荷 総計5.56万t、5.7%減
クルマ5.6%増と続伸

電線工業会がまとめた銅電線主要7部門別出荷数量の20年11月分実績及び12月分推定によれば11月分実績は、新型コロナが響き7部門中、主力の建販部門が二桁減になるなど3部門が前年同月を割り込み、総計は5万5千623㌧で前年同月比5.7%減と14カ月連続で減少した。コロナ禍で、新年度(4月)以降二桁減が9月まで続いたものの、10、11月連続で減少幅が一桁台まで圧縮してきた。12月推定を含めると、これが3カ月間続く見通し。電気機械、自動車部門ともクルマの生産台数が、上向いてきたのが寄与した。

逆に光ファイバ・ケーブルを含む光製品出荷は、主力の輸出が欧米向けを軸に上向き、274万6千236㎞Cで同18.9%増と大幅に伸びたほか、国内向けも63万1千666㎞Cで同19.1%増と好調となり、総計は337万7千902㎞Cで同19.0%増と大幅に伸びた。このため4カ月連続で二桁のプラスとなった。8月から垂直で需要が立ち上がり、20年上期は増加に転じ、累計値では増勢傾向が続く。

一方、12月分推定は、電気機械や自動車、電力の3部門が増加するが、銅量ウェイトの大きい建販が減少し、その他内需も大幅に低下するため、総計は5万3千700㌧で同5・3%減と15カ月連続で減少する見通し。

20暦年推定・総計45年ぶりの低水準

結果、20暦年(1~11月実績、12月推定)は、通信と電力を除く5部門が減少し、総計は62万9千154㌧で前年比9.7%減少した。これはオイルショック後の1975年以来45年ぶりの低レベルになった。主力の建販は30万5千265㌧で同11.4%減となり、東日本大震災が発生した11年以来9年ぶりの低水準だった。

11月分の部門別出荷をみると、プラスグループは電力と電気機械、自動車などの4部門となった。電力は、洋上風力発電向けが動いたことやCVへの張り替え需要や保守メンテナンスなども伸び前年同月比2.2%増加した。6月以来、5カ月ぶりのプラスとなった。電気機械は、自動車の電装用途に動き同5.2%増え、久々に3カ月連続で増加となった。ただ、昨年同月が伸び悩んだ数値との比較のため、まだ本調子には至らない。自動車は、一部日系ユーザーの需要が好調なほか、需要が戻りだしたケースもあり同5.6%増え、2カ月連続で増加した。電線メーカーの中には受注が好調な企業も散見される。輸出は10カ月ぶりにプラスに転じ同12.6%増加した。一部スポット需要が発生した。

一方、マイナスは3部門になった。通信は、GIGAスクール用LANケーブルと携帯基地局用高周波同軸が5G向けに動くも、PECなどの鈍化によって同4.7%減と2カ月連続で下降した。

建設電販は、市販ルートと電設ルートとも苦戦し同12.2%減少し、10カ月連続で前年同月を割り込んだ。新型コロナの影響や工事作業者の不足などが左右した。

その他内需は、コロナ禍等による景気低迷で民間企業の設備投資が鈍化して同20.6%低下した。6カ月連続で前年を割り込んだ。

電線新聞 4227号掲載