21年度関東電販組合員業態アンケート 増収も、粗利率減5割弱 価格競争、仕入れ価格高騰

関東電線販売業協同組合(関東電販)は8月、21年度組合員業態調査アンケート(会員数33社で回収率100%)を実施した。

これによると、20~21年度にかけて市況の底打ち感があり、21年度通期業績では増収を見込む回答が増えたものの、粗利率は価格競争や仕入れ価格の高騰から、「減少する」とした回答が5割弱を占めた。利益の確保が難しい環境下、以前に比べて、建設電販分野に携わる問屋が少なくなり、FA・ロボットケーブルなど産業用電線を取り扱う問屋が増えてきた。

20年度の売上高実績は、「増収」が5社(前年度13社減)に留まり、回答数の約8割を占める26社(同14社増)が「減収」となった。「増収」が多かった19年度の回答とは対照的な結果となった。「不変」は2社(同±ゼロ)が回答し、前回と変わらなかった。銅価の高騰やLAN関連、車載部品、半導体装置、WEBシステム、テレワーク商材などの好調が増収要因となったが、コロナ禍の影響、オリパラ特需の減少や工事の延期中止などにより「減収」が増えた。

これに伴い、20年度の粗利率も33社中19社(同9社増)が「減少した」と回答し、需要の停滞と銅価高騰の転嫁不足などで適正な粗利率を確保できなかった。一方、「増加」と回答した7社(同10社減)は、巻線分野、産業機器、情通(WEB、LAN関連など)に携わる。建設電販の粗利率が厳しい環境下、携わる分野によって明暗が分かれた。

次に、21年度通期売上高見込みは、回答数の約半分となる16社(同16社増)が「増加する」とした。銅価の高騰と市況の底打ち感が主因となった。

21年度粗利率の見込みは「減少する」が15社(同1社減)となり、依然、全体の5割弱を占めるものの、「増加する」が9社(同4社増)となった。

増加分は、FA・ロボットケーブルの需要増、在庫関連の差益、加工の増加が主因となっている。一方、「減少する」を選んだ15社は、引き続き小さいパイの中での受注競争激化で、採算は厳しいとみている。価格競争やコロナによる需要減、仕入れ価格の高騰から厳しい業況は続く。

電線新聞 4255号掲載