ウイルス抑制・ 除菌対応製品 特集

虚偽・誇大広告規制への違反に対する課徴金創設


新型コロナウイルス感染拡大の収束は、いまだ見通せない状況にある。緊急事態宣言も早や4度目となっており、もはやその実行力にも疑問符がつけられている。電材業界においては、ウイルス抑制や除菌に対応する製品が相次いで発売されているが、他の電材製品とは違った注意を払うことが欠かせない。


2019年12月4日に公布された医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(改正薬機法)は、昨年9月にその大半が施行され、今年8月には4つの項目が新たに施行された。なかでも、電材業界にも影響するとみられるのが「虚偽・誇大広告規制への違反に対する課徴金の創設」である。
これまで、虚偽・誇大広告に違反した場合の罰金は、個人・法人ともに最高で200万円だったが、今回の改正では売上げに応じた金額が課徴金として計算されることとなる。メーカーにとっては、行政指導や製品回収による損害、企業としての信用失墜など経営に多大な損害を与えることにもなりかねない。
業界としての信用を損なわないためにも、医薬品と誤認させるような機能表示、効能効果をうたうことは厳に慎まなくてはならない。

■虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器等の販売に係る課徴金制度
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で禁止している医薬品、医療機器等の虚偽・誇大広告に関し、虚偽・誇大広告の販売で得た経済的利得を徴収し、違反行為者がそれを保持し得ないようにすることによって違反行為の抑止を図り、規制の実効性を確保するための措置として、課徴金制度を導入する。

 ①対象行為
医薬品、医療機器等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する虚偽・誇大な広告(第1項)

 ②課徴金額
原則違反を行っていた期間中における対象商品の売上額×4.5%(第1項)

 ③賦課
対象行為に対しては課徴金納付命令をしなければならない。(第1項)
業務改善命令等の処分をする場合で保健衛生上の危害の発生・拡大への影響が軽微であるとき等には、課徴金納付命令をしないことができる(第3項)
課徴金額が225万円(対象品目の売上げ5千万円)未満の場合は、課徴金納付命令は行わない(第4項)

 ④減額
同一事案に対して、不当景品類及び不当表示防止法の課徴金納付命令がある場合は、売上額×3%(※景表法の課徴金算定率)を控除
課徴金対象行為に該当する事実を、事案発覚前に違反者が自主的に報告したときは50%の減額

 ⑤除訴期間
違反行為をやめた日から5年を経過したときは、課徴金を賦課しない。

日本照明工業会 紫外線殺菌製品のパンフレット作成

紫外線殺菌製品の選び方

各メーカーは現在、紫外線殺菌技術を用いたウイルス抑制・除菌対応製品を相次いで発売している。
紫外線といえば、長時間あたることで皮膚などにダメージを与えるといったマイナスイメージがつきまとう。しかしながら、コロナ禍が続くなかで人体に影響を与えない紫外線殺菌を追求することは、ある意味自然の流れともいえる。
とはいえ、使い方を間違えると人体に影響を与えることには変わりがない。
そんななか、日本照明工業会はこのほど、今後増加することが確実な紫外線殺菌製品に関するパンフレットを作成した。殺菌作用や紫外線殺菌を利用するうえでの注意点のほか、製品の選び方についても触れている。

■製品の選び方

①安心して簡単に使える製品

一般消費者が安心して簡単に電気工事なしで使える製品は、殺菌ランプの光が装置の外に漏れないような構造になっている。例えば、殺菌ランプを箱の内部に取り付けた消毒箱は以前から広く使われている。このような製品の中でも家庭用コンセントから電源をとって使用する製品は、電気用品安全法によってその電気的そして光生物学的に安全に使えるように設計・製造されている。この箱の中に殺菌したいモノを入れて殺菌する(例:大規模な温泉施設の脱衣場ではくしの殺菌)。箱を開ける際には殺菌ランプは自動的に消灯するので安全に使うことができる。ただし、殺菌ランプの光が当たっていない場所は殺菌されない。例えば、殺菌ランプの取り付け位置や光の広がり方が悪くて殺菌ランプの光が当たっていない場所、モノを重ねて入れた場合の重なっていた部分、モノの裏側は殺菌されない。入れる場所を変えたり、入れ方に工夫したりする必要がある。さらに殺菌に必要な十分な照射線量を与える必要はある。
新型コロナウイルス感染症の蔓延以降は、床やテーブルの上に置き、周りの空気を取り込み、取り込んだ空気に殺菌ランプの光を照射して排出するような製品が多く市販されている。これらの製品の多くも殺菌ランプの光が装置の外に漏れないようになっており、安心して手軽に使える。これらの製品を使う際は、十分な殺菌性能があることを確認するとともに、部屋の広さに対応した殺菌能力をもつ製品を選定する必要がある。ただし、これらの製品の殺菌能力などに関しては製品規格がない。第3者機関による殺菌能力の検証結果を明示した製品を選択するようにしたほうがより安心である。
なお、専門業者による工事が必要な製品だが、殺菌ランプを内蔵したダクトを天井に吊り下げて、そこに周囲の空気を取り込んで殺菌するような製品もある。

 ②注意して使用しなければならない製品

殺菌ランプの光を外に照射するような構造になっている製品は、注意して購入・使用する必要がある。床やテーブルの上に置いたり、壁や天井に取り付けたりして空間や当たっているモノの表面を殺菌するような製品が該当する。これらの製品を使う際は、製品を使う空間または照射される場所に、人間や動植物が存在しないということが極めて重要となる。これらの製品の一部には、遅延タイマー(スイッチを入れてから数分後に点灯する機能)、点灯時間を制御するタイマー、人感センサーなどの安全装置が、さらに一部の製品には遠隔操作用のリモコンが付属されている。しかし、いずれの安全装置も万能ではない。製品の使い方によっては人がすぐ横にいても点灯し、重篤な傷害が発生する可能性がある。大部分の人感センサーは動いている人間や動物がいた場合に点灯している光源を消す動作をすることはできるが、人間や動植物がいないことを完璧に感知することはできない。小さなお子さんなど事情を知らない第三者が近づく可能性のある空間での使用は控えたい。
特に注意が必要な製品は、製品を自身の手でもってモノの表面を殺菌するような製品(ハンディータイプ)。この中でも消費電力が小さな殺菌灯や冷陰極管(CCFL)を使用した製品は、殺菌に実用的な紫外線照度がある。安全装置として、下向きにしないと点灯せず、上を向けると消灯する機構が装備されている製品もある。しかし、手持ちで使用する以上、人体への直接曝露は避けられない。必ず顔面全体を覆う保護シールド、手袋、長そで長ズボンを着用し、可能な限り短時間の使用で済ませたい。

③選び方の注意

インターネットの通販などで製品が様々販売されている。しかし、購入する際には注意が必要となる。例えば、ウェブサイトでは、つぎのようなうたい文句の製品が市販されている。
a わずか10分間殺菌率は99.99%に達する
b 10秒即効99.9%細菌消滅
c 10秒以内に99.99%の滅菌率
d 10秒快速殺菌、99%細菌消滅、推奨距離は2㎝
e 紫外線は、99%殺菌機能を科学的に証明されている

これらのPR表現をしている製品は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)および景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に抵触する恐れがある。このような製品には十分注意したい。ただし、第3者機関による試験報告書の全文を掲載することは認められている。

UV-LEDを使用した製品は、ピーク波長が280nm前後のUV-LEDが多く使われている。しかし、UV-Cを出すUV-LEDは1個当たりの紫外線出力が小さく、十分な殺菌性能を得るためにはある程度の数が必要であり、高価な製品となる。UV-LEDを使用した極めて安価な製品は、紫外線出力が低く、殺菌効果が得られない恐れがある

では、どのような製品を選べば良いのか? まずUV-C紫外線がしっかり出ていて装置の外に漏れない構造の製品を選びたい。現状では殺菌灯か、冷陰極管を使用した製品が入手しやすい。どちらの製品も波長254nmのUV-C紫外線を放出し、GL15殺菌灯、距離10㎝では1・80mWの放射照度があるため、5・6秒で10mJ/の照射線量となり、インフルエンザウイルスでは99・9%以上の殺菌率と計算できる。ただし、殺菌灯でも中には粗悪な製品があるかもしれない。殺菌されていると信じて使ったモノが実際には殺菌されていない場合、逆に感染を招く恐れもある。これは「単に性能の低い粗悪品」と片付けることの出来ない問題である。
製品の外の空間に向けて紫外線を照射する構造の製品を使用する場合は、より安全性の高い製品と取り扱う上でのスキルが求められる。ハンディタイプの製品を使う際は、人体に直接照射される可能性があり、比較的危険性が高い。アルコールなどの消毒液が使えないなど、この製品を使用せざるを得ない場合は、人等の殺菌対象以外に直接照射しないように、十分注意して使用したい。

紫外線空間殺菌市場
(富士経済・国内照明市場調査より)

以前からUV-Cによるウイルス対策の有用性は認められていたが、利用シーンや安全性の確保がネックとなり、市場は限定的であった。しかし、2020年に新型コロナの感染が拡大して以降、有用性のある技術として注目されたことで、急速に商品開発が進んだ。一方で、紫外線殺菌というキーワードだけが先行し、効果が不明瞭な商品も市場に流通している。今後ガイドラインなどが策定されることで、実証効果が明確な商品が市場に定着していくとみられる。

▽照射殺菌装置
従来、室内環境の清浄化を目的に、清潔かつ快適な環境が求められる食品工場や医療施設など向けに展開されていたが、新型コロナ対策の商品として、店舗やオフィスなど幅広い分野で需要が高まり、2020年の市場は前年比13・0倍の26億円となった。2021年に市場はピークを迎え、2022年には一時的に落ち込むものの、ニューノーマルのソリューションとして定着していくことで、拡大を続けるとみられる。

▽照明器具
以前から低圧水銀ランプを用いた製品はあったが、安全性に課題があり無人環境下での使用に限定されていたことから、2020年の市場は僅少だった。
しかし、2020年にウシオ電機が有人環境下においても使用可能な光源「Care222」を開発し、それを搭載した商品が2021年の1月に発売されたことから、2021年の市場は急速に拡大するとみられる。2024年以降はランプのリプレース需要により、安定した市場推移が予想される。

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