6社が増収も、3社が減益 中堅電線7社22FY2Q業績

材料高騰や円安で売上増加 価格転嫁の遅れで減益も


中堅電線メーカー7社の22年度第2四半期業績(一部2月期あるいは暦年第3四半期)が出揃った。営業益ベースで7社中4社が増収増益、2社が増収減益、1社が減収減益となった。銅価高騰や為替変動が、売上高の増加に寄与した一方で、コスト上昇を受けた価格転嫁が上手くいかず、減益となったメーカーも目立った。


 増収増益の4社からみると、平河ヒューテックは、売上高160億600万円(前年同期比14.3%増)、営業利益12億7千300万円(同15.4%増)と堅調だった。車載市場で導体や部材の調達難による生産停滞が生じたものの、半導体関連の設備投資や、産業機器市場が堅調だった。

 JMACSは、売上高25億2千900万円(同12.2%増)、営業利益1億3千600万円(同23.5%増)となった。材料の価格高騰や入手困難は続いたが、計装ケーブルのカスタム製品が好調だった。鉄道信号用ケーブルの売上も伸長した。

 オーナンバ(12月決算第3四半期)は、売上高316億8千600円(同14.8%増)、営業利益15億3千800万円(同67.3%増)だった。ワイヤーハーネスの売上増加に加え、円安による為替影響もあった。製品価格の積極的な改定が、大幅な増益に寄与した。

 カナレ電気(12月決算第3四半期)は、売上高81億3千100万円(同11.9%増)、営業利益7億4千万円(同4.3%増)となった。国内では、地方放送局やラジオ放送局のシステム更新需要、米国市場や韓国市場では、4K放送化需要が堅調だった。

 次に増収減益の2社をみると、タツタ電線は、売上高304億900万円(前年同期比2.7%増)、営業利益8億9千200万円(同47.6%減)で、増収も大幅減益となった。銅価格の高止まりによる買い控えや競争激化により販売量は減少したが、銅価上昇や産業機器電線の需要回復が増収に寄与した。

 三ッ星は、売上高48億7千700万円(同12.0%増)、営業利益9千500万円(同22.1%減)となった。販売量では減少したが、銅価高騰により増収となった。利益面では銅価の急な変動や、円安による材料高などにより減益となった。

 7社中で唯一、減収減益となったのが東京特殊電線で、売上高101億6千100万円(同3.4%減)、営業利益14億4千700万円(同23.2%減)だった。三層絶縁電線、焼付線、自動車シート用ヒータ線が減少し、コンタクトプローブも弱含んだことから、減収となった。利益面では、増加したコストの価格転嫁はおこなっているものの減益となった。

 売上は好調なメーカーが多かったが、利益面では、価格転嫁の成否により明暗が分かれた。

電線新聞 4300号掲載