エフ・エー電子(本社・大阪市東淀川区)は、今月21~23日に東京ビッグサイトで開催予定の第28回機械要素技術展に、開発中の新製品「極細線用圧延機」や完全ノンスリップ極細伸線機の最新型「D3ULTUF―10DS」を出展する。巻出し・中間搬送・巻取り装置も実機展示し、そのすべてで動態デモを行う。
同社は張力・速度制御技術をベースとしたファブレスの設備装置ベンダで、コアの基板設計からソフト・機械の設計をすべて自社で行っている。同社のコア技術となる高精度な制御性は、各種搬送装置や伸線機などで完全ノンスリップを実現し、金属材の表面傷を抑止する。
特に、多機能張力・速度コントローラ「DTC―3000A」を搭載した巻取り・巻替えなどの搬送装置ラインナップは、ほぼすべての電線製造工程をカバーしている。同製品群は導体から最終製品に至るまでの高品質と高効率を保証しており、リピート率も100%近い。特に極細線領域では他社の追随を許さない。同社は「極細線ニーズの高まりによって引き合いも増えており、最近では30~50μm向け多芯取り用巻替え装置等も受注している」と語る。
極細線用圧延機について、松永建・営業技術部長は「従来の圧延機は0・3㎜角などの巻線用途が多かったが、近年では10~20μm台の極細線を潰す医療用ブレードやコイリングの需要が高まっている。また、ボンディングワイヤ業界でも極薄平角線の話が出始めた。同機は『厚み測定及びフィードバック機能』による常時一定制御のため、厚み10μm以下の高精度圧延が可能。較正は必要だが、マイクロメータによる測定も不要だ。卓上型各種搬送装置の動態デモで板巻きの緻密さを見れば、制御技術の精度は実感してもらえるだろう。来場者の反応を見ながら仕様を詰めて、早期に市場投入したい」と語る。
スリップ型の機械は金属表面が傷つきがちで、圧延による平角形状は表面積が大きいのでさらに傷つきやすく、捩れも生じやすい。スリップ型伸線後の丸線を圧延する場合は、表面傷がさらに拡がる。従来機の「D3ULTUF―10DT」は巻出しと巻取りが別筐体の3筐体だったが、完全ノンスリップ極細伸線機「D3ULTUF―10DS」は、フレームを一体化することにより約45%の省スペース化と約20%のコストダウンを実現した。構造をシンプルにしたことで操作性も簡便化し、各種オプションによりカスタマイズも容易、伸線速度も毎分1200mに向上している。また、個別駆動する各キャプスタンの後ろにダンサを配置しているので、各ダイスの減面率に合わせた速度で、高速・高精度な制御を実現する。松永氏は「実機を見たほうが制御性という特長を理解しやすいし、その延長線上に伸線機や搬送装置がある。伸線機という一工程で終了ではなく、巻出・巻取を含めた制御ソリューションを提案している」と語る。