矢崎エナジーシステム FINETを子会社化

 矢崎エナジーシステムは4日、富士通アイ・ネットワークシステムズ(FINET)の全株式を取得し、グループ会社化した。

 FINETは、山梨県南アルプス市に本社を構え、ネットワーク関連製品(スマートメーター用通信ユニット、PBX/IP-PBX、ルーター/スイッチ)の製造・販売を行っている企業。特に、スマートメーター用通信ユニットは電力メーター向けであるため、電力会社向けのビジネスを強みとしている。設立は1943年で、従業員数は304人、昨年度の売上高は142億円。FINETの株式はこれまで、企業再生ファンドのキーストーン・パートナースが80%、富士通が20%を保有していた。今後は、商号を「矢崎ネットワークシステムズ株式会社」へ変更することを予定しているという。

 矢崎エナジーシステムは、電力、都市ガス、LPガス、太陽熱などの多様なエネルギー関連製品を提供し、エネルギーインフラ分野の事業領域を展開している。エネルギー社会が変化する中、同社はこれをチャンスと捉えて、多様なエネルギーを最適に活用する製品、サービスを提供し「あらゆるエネルギーの総合プロデュース企業」を目指している。

 近年、通信インフラの変化や人手不足を背景に、電力メーターやガスメーターのスマートメーター化が急速に進み、また世界的な潮流として、カーボンニュートラルに向けた取り組みが企業の責任となっている。

 このような状況のなか、矢崎エナジーシステムはFINETをグループ会社化することで、さらなる事業基盤の強化を図る。具体的には以下のようなシナジーを期待しているという。

 まず、矢崎グループの自動車部品、ガスメーター、電線などの開発能力と販売網を活用し、製品開発・供給体制の強化が期待できる。既存の営業・物流ネットワークを活用し、より緻密なサービス提供も可能となる。

 また、ガスの計量技術と通信技術を活かし、電力・ガスの共同検針に対応した新たなサービスの創出を目指す。

 「ソフトウェアファースト」が進む自動車業界において、矢崎グループの電装部品技術を生かし、将来的には自動車用EMS事業への展開も視野に入れる。

 さらに、自然災害の少ない地域における立地や道路拡張計画を踏まえ、重要な物流拠点としての活用も検討しているという。

電線新聞 4400号掲載