古河電工 低誘電材料「SCB-PPS」を開発

 古河電工は7月29日、低誘電材料「Smart Cellular Board(SCB)」の新ラインナップとして、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を用いた「SCB-PPS」の開発を発表した。8月からサンプル提供を開始する。

 SCBは独自のバッチ発泡成形技術により微細発泡した板状素材で、低い比誘電率(Dk)・誘電正接(Df)に加え、軽量性と高耐熱性を特長とする。

 SCB-PPSは、従来のPPSリジッド品と比べ、Dk・Dfを約40%、密度を約70%低減した。PPSが持つ耐熱性、難燃性、機械強度、耐薬品性を生かし、基地局のアンテナ基板やレドームなど高出力・高温環境下でも安全に使用できる。5Gや6Gに用いられる高周波領域での伝送損失を抑えることができ、基地局の構造負荷の軽減や、フレキシブルプリント基板への応用も期待される。

 スマートフォンや生成AIの普及により通信トラフィックが世界的に増加する中、通信インフラの整備とデータセンターの需要が拡大している。機器の性能向上と安全性の観点からも、素材の進化が求められており、同社は今後も独自技術をもとに、Beyond5G/6G社会に貢献する素材開発を進める方針だ。

電線新聞 4402号掲載