電線商取引への取引先理解が進展 業界の取り組み、徐々に浸透 電線工業会アンケートで明らかに

電線関連団体が取り組む電線商取引適正化の取り組みが、少しずつ功を奏し始めている。電線関連メーカーでつくる日本電線工業会や販売関係の組合では「取引適正化ガイドライン」を作成して商慣習の改善に取り組んでいるが、その内容に理解を示す取引先が増えているのだ。
日本電線工業会が会員32社に対して実施し、今月6日付けで公表した第3回ガイドラインフォローアップアンケートの結果によると、商慣習の改善を働きかけたところでは、ガイドラインに「理解を示してくれた」取引先が2016〜18年に、53%、62%、89%と顕著に増えていた。
取り組む側の態度も前進している。ガイドラインの内容について社内で共有できているかを聞いたところ「共有化していない」と答えた会社は16年には15%あったが、17年には6%に急減、18年には0%になった。
業界でとくに深刻とされている内容別に見てみると、「新品偏重」の問題でも、問題が「発生している」とした回答は同期間に、30%、29%、22%と減少傾向を見せている。
一方、何らかの形で取引先と契約書を交わしているとしたところは、16年以降の2年間、ほぼ横ばいで推移し、変化は見られない。
契約内容は「十分」と思っているところが同期間に54%、61%、68%と増えていることから、契約書については、個別企業がとくに問題を感じていない様子がうかがえる。
ただ、業界には取引条件が契約書で明確になっていない点が取引上の不公正につながっているとする指摘もあり、今後、さらに検討が求められそうだ。
特殊配送への質問でも、「問題をかかえている」(29%)と回答したうち、その理由は「契約条件の明確化ができていない」としたものが36%に上っている。
昨年3月には、経済産業省と国土交通省が建設関連団体向けに商取引改善の要請書を発行した。その内容を「すでに活用している」「今後活用していきたい」とする回答は17・18年に72%・79%と増えており、前向きに取り組もうとする姿勢が強まっている。

電材流通新聞2018年6月28日号掲載