古河電工 水冷モジュール工場拡張 生産能力2倍以上

 古河電工は11月10日、データセンタ(DC)向け放熱・冷却製品(ヒートシンク)の主力生産拠点であるFURUKAWA ELECTRIC THERMAL MANAGEMENT SOLUTIONS&PRODUCTS LAGUNA(フィリピン/FTL)の水冷モジュール工場の隣接地に工場を拡張し、開発拠点である平塚工場(神奈川県)で関連設備を増強すると発表した。米国のDC向けで、2028年1月の量産開始を目指す。

 この増産により、同工場の総面積は3万6100㎡、生産能力は昨年7月の計画時点と比べ2倍以上となり、受注増加と水冷モジュールの適用範囲の拡大に対応する。

 平塚工場では新機種への対応や製造体制の強化のため、関連設備を増強する。またBCPを踏まえ、これら複数拠点による製造体制の整備をさらに強化する。先行して稼働する製造ラインでの増産対応も含め、同社は、水冷モジュールの売上を、2027年度に500億円以上、2030年度に1000億円にする計画。

 FTLで使用するすべての電力は再生可能エネルギー由来で、新設する製造工場についてもスコープ1・2の温室効果ガス排出量はともにゼロとなる。平塚工場で使用するすべての電力も再生可能エネルギー由来の電力を導入し、スコープ2の温室効果ガス排出量はゼロとなる。

 同社は、DCで用いられる演算装置(CPU・GPUなど)の放熱・冷却を行うヒートシンクを開発・設計し、DC向け製品として展開している。19年には、ヒートシンクに対する国際的な調達ニーズの多様化とBCPを踏まえて安定した製造体制の構築を図るため、FTLを開設し、2020年には追加投資を決定した。

 近年は生成AI市場の著しい成長を背景に、DCの高発熱化に対応する高性能なヒートシンクへの要求が高まっている。従来は、ヒートシンクにファンで風を送って放熱する空冷方式が主流だったが、今後は、流路を設けたコールドプレートを素子面に搭載して水などの液体を循環させて熱を回収する水冷方式が主力になる。同社は従来の空冷方式に加えて、水冷方式によるソリューションについても研究開発を行い、平塚工場とFTLで2026年9月の量産開始に向けた準備を進めてきた。

電線新聞 4413号掲載