フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)は11月6~7日の2日間、都内の会場でフュージョンエネルギーの普及に向けた政策提言を目的としたワークショップを開催し、会員21法人約30人が参加した。
ワークショップでは具体的に、日本の核融合における戦略的目標を明確にすること、それを達成するための最適なモデルを検討すること、核融合における日本の役割のストーリーを形作ることを目指した。
冒頭の挨拶でJ―Fusionの小西哲之会長は「フュージョンエネルギー開発は、世界の市場構造を塗り替えるだけでなく、世界のGDPの数十%を占める規模のプロジェクトになるだろう。戦略を組み立てる際には民間企業主導で行っていく必要があり、共に作り上げていきたい」と語った。オブザーバーとして参加した内閣府・文部科学省の澤田和宏参事官は「フュージョンエネルギーの社会実装には、文科省的な研究会議だけでなく、J-Fusion会員の皆さまが持つ技術力や、サプライチェーンの構築が不可欠だ。関連企業・団体が連携していくことがますます重要だろう」と述べた。
今回参加したのは、核融合炉の開発を進めるHelical Fusionや京都フュージョニアリングなどのスタートアップ企業をはじめ、フジクラやアライドマテリアルなどといった素材や部品などを扱うメーカー、商社、金融機関、運輸・エネルギー分野の企業など。ファシリテートを務めたのはフュージョンセクターに特化した戦略コンサルティング会社・ヘリクソス社だ。同社のアレックス・ボロフスキーCEOからは、カナダのフュージョンロードマップ、英国など欧州諸国やオーストラリアでフュージョンプロジェクトに関与したことなどが説明された。
また、第30回国際原子力機関(IAEA)核融合エネルギー会議(FEC2025)に参加した日立製作所からは、中国の核融合開発の現状として、2050年までに核融合炉の商用化達成を目標としていること、熱中性子炉から高速中性子増殖炉、核融合炉につなげるという「三歩走」戦略を採っていること、科学院プラズマ物理研究所が母体の総合研究施設CRAFTの建設が半年弱で完成すること、同国で7月に3千億円規模の核融合研究を進める民間企業が設立されたことなどが共有された。









