電工さんの工具箱 第8回「安全靴」オシャレと安全は足元から。

JISの安全靴とJSAAのプロテクティブスニーカー

株式会社シモンWS22黒

主として着用者のつま先を先しんによって防護し、滑り止めを備える靴。」と、JIS(日本工業規格)に定義されている安全靴。わかりやすく簡単にいうと、つま先の部分がつぶれにくくなっていて、かつ滑りにくい靴のこと。JSAA(公益社団法人日本保安用品協会)規格の靴もあるが、厳密にはJISの定める基準を満たした靴のみを「安全靴」と呼ぶ。JSAAのほうは「プロテクティブスニーカー」および「プロテクティブブーツ」という横文字の名称で何だかカッコイイのだが、その名の通り、素材が豊富でデザインやカラーも多彩。オシャレな安全靴といったイメージだ。JISのほうは革製か総ゴム製に限られ、質実剛健という印象だが、安全性や耐久性は高い。安全靴の着用が義務づけられた現場などでは、プロテクティブスニーカーで代用することはできない。ただしそれは、安全靴とプロテクティブスニーカーとの優劣の差というより、JISとJSAAとの基準の違いといったほうがいいだろう。JISの安全靴は重作業用(H種)、普通作業用(S種)、軽作業用(L種)の3種、JSAAのプロテクティブスニーカーも普通作業用(A種)と軽作業用(B種)の2種があり、現場や作業内容に合わせて選ぶことができる。電気工事士の場合、たとえば高所作業では長めのタイプ、内装工事ではスニーカータイプと、履き分けている人も多いようだ。
ちなみに、JISの安全靴の重作業用(H種)がどれくらい安全かというと、質量20kgの鋼製ストライカ(先端を半径3Rに丸く仕上げた90°のくさび形)を51cmの高さから足に落としても、つま先が守られるそうだ。

専門メーカーからファッションブランドまで

株式会社シモン:左 NS811Mイエロー 右 XG-22レッド

安全靴の専門メーカーや作業ユニフォームのメーカーをはじめ、ミズノ、アシックス、プーマといったスポーツ用品メーカーやファッションブランドなどからも、バラエティー豊かな安全靴およびプロテクティブスニーカーが販売されている。特に自由度が高いプロテクティブスニーカーは普通のスニーカーと何ら変わらず、見た目にこだわる若者や女性でなくても迷ってしまうほどのラインナップが揃っているのだ。一方、安全靴も負けてはいない。一昔前の、いかにも安全靴ですというずんぐりした形から、最近はスマートで洗練されたデザインに変わってきており、履き心地も向上しているようだ。もちろんハイカットタイプやブーツタイプなどもあり、革製などは履き古すほどに味が出てカッコイイ。やはり、オシャレも安全も足元からだ。